浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

「理論」ポッドキャスト――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

 本だと長すぎて読めない、という人向けに、ローザ・ルクセンブルク財団が左派理論家の古典を解説するポッドキャスト "too long, didn't read?" のプロジェクトを進めています。リンク先はこちらです。

 

 

 現時点までにアップされた一覧を作成しました(2022年5月20日時点)。

 

 

【2023年3月30日追記】

 

 

ドイツの「女性文書館の日」について

 5月11日はドイツでは「女性文書館の日(Tag der Frauenarchive)」ということを知りました。2021年5月11日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページにこの日についての解説記事が掲載されています。*1

 

 

 この記念日構想は、1987年のフェミニズム系文書館の会合で生まれたそうです。ブレーメンの女性協会ベラドンナbelladonna)の創設者マーレン・ボック氏の回想が引用されています。

 

問題は女性文書館が 世論にほとんど知られていないことでした。・・・私たちはフェミニズムの歴史のための可視性をもっと作りたく、また自立的な関係の外側にある女性に手が届くようにしたかったのです。

 

 翌年から女性文書館の日が個々の関係文書館によって始まったとのことです。デジタルドイツ女性アーカイブに掲載された記事には、当時のポスターなどの画像が掲載されています。

 この5月11日は、ユダヤ系詩人ローゼ・アウスレンダー(Rose Ausländer, 1901–1988)の誕生日であり、もちろんその日を意識したことが記されています。ローゼ・アウスレンダー協会のホームページへのリンクをつけておきます。

 

 

 そのうえで、ベルリン・フンボルト大学学際的ジェンダー研究センターのジェンダー図書館創設者であるカーリン・アレクサンダー氏の論考が紹介されています。

 

 

 「なぜ、そしてどのような目的で女性・レズビアンジェンダー図書館があるのか」というタイトルです。

 

 2021年の女性文書館の日の標語は "alles digital(みんなデジタルに)" ということで、各文書館がその存在を可視化させるために、様々なオンラインでの取り組みが紹介されています。紹介されている文書館のホームページへのリンクを貼っておきます。

 

 

【2022年6月27日追記】

 2022年5月11日の催しについての案内が、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページに掲載されています。こちらでは、「フェミニズム文書館の日」になっています。

 

 

【2023年8月28日追記】

 2023年5月11日、デジタルドイツ女性アーカイブに、ドイツ語圏のレズビアン・女性アーカイブ・図書館・資料センター連合 i.d.a. の設立を振り返る論説が掲載されました。リンクは以下の通りです。

 

 

*1:こちらは 2021年5月3日にドイツ語圏レズビアン・女性アーカイブ・図書館・資料センター連合 i.d.a. のホームページに掲載された記事の転載です。https://www.ida-dachverband.de/aktuelles/aktuell/article/frauenarchive-digital-entdecken/

*2:英語の人物事典はこちらをどうぞ。Kirsten Krick-Aiger, Rose Ausländer, in: The Encyclopedia of Jewish Women. また詩の朗読サイトにも彼女の詩がありました。Rose Ausländer, Bukowina I, in: Lyrik-line: listen to the poet.

ドイツ堕胎罪をめぐる150年――デジタルドイツ女性アーカイブより

 2021年5月、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページにドイツ堕胎罪をめぐる女性運動を特集したサイトが開設されました。

 

 

 4月末に、すでにこのホームページ上に、この特集についての解説記事が掲載されています。

 

 

 1871年5月15日、妊娠中絶に関する規定が最初のドイツ帝国刑法に議決されました。刑法218条は妊娠中絶した女性に5年間の懲役刑、同219条は中絶を補助した者を10年間の懲役刑に処すものでした。

 この解説記事のリード文では、いまだに女性による自らの身体の自己決定が自明ではないこと、またこれをめぐって世界的に闘わなければならないことを指摘しています。そして、この218条をめぐる闘争に、どのように赤い糸がドイツ語圏の女性運動史の150年を貫いていたかを問いかけています。

 

ドイツ連邦文書館の画像資料を検索する――ドイツ太平洋植民地を事例に

 ドイツ連邦文書館のSNSで、ドイツの太平洋植民地、ドイツ語ではしばしば「南洋植民地」と表記されますが、その図像資料を多く含む、ハインリヒ・ハーゲドルン(Heinrich Hagedorn)関連資料についての情報提供がありました。

 それに関連して、ドイツ連邦文書館ホームページのウェブサイトからドイツ太平洋植民地に関する画像を検索してみました。テーマごとに体系的に同館の画像を検索する練習の目的です。*1

 

 まず、ドイツ連邦文書館のトップページへのリンクです。

 

 

 次に、"Finden" をクリックして、"Digitales Bildarchiv" を選択します。

 

 

 もう一度、"Digitales Bildarchiv" をクリックします。

 

 

 右欄の "Funktionen" から "Themensuche" をクリックします。

 

 

 右欄の "Klassifikation" の "Sachklassifikation" → "A {Norddeutscher Bund, Kaiserzeit 1867-1914}" → "Aa {Staat, Politik, Vorgeschichte}" → "Aa 700 {Kolonien*}" →  "Aa 760 {Ozeanien; GND=4044257-3}" の順にクリックします。275件のヒットがありました。

 

 

 ちなみに、冒頭のハーゲドルン資料の所蔵番号は、Bild 223 なので、その番号で検索すると、281件のヒットになりました。

 

 

 役立ちそうです。

 

ドイツの自然科学系専門職女性たち MINT-Mütter の足跡をたどるプロジェクトについて

 2021年5月3日、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトで、同アーカイブが助成する自然科学系の研究職・技術職に就いた女性たちの足跡をたどるプロジェクトの紹介記事が掲載されました。

 

 

 このプロジェクトはブレーメンの女性協会 belladonna が進めているものです。国際ICTガールズデーを機に作成されたbelladonna のプロジェクト紹介はこちらのリンクをどうぞ。紹介動画もあります。

 

 

 MINT-Mütter とは、Mathematik(数学)、Informatik(情報学)、Naturwissenschaft(自然科学)、Technik(技術)の頭文字と、ドイツ語の母親 Mutter の複数形を掛け合わせたものです。

 デジタルドイツ女性アーカイブの紹介記事では、1970年代以降、技術系・自然科学系の職種に就くドイツ連邦共和国の女性たちが、自ら組織化し、この分野で継続した家父長主義的な構造を変えてきた、といいます。

 MINT-Mütter の運動については、Frau+Technik というウェブサイトが参考になりそうです。