浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

グローバル化のなかの農業問題――ワークショップ報告

 2022年12月14日、スイスの歴史学専門ポータルサイト、infoclio.chに、「グローバル化のなかの農業問題――新しい農業史に照らした視角」と題したワークショップ報告書が掲載されました。リンク先はこちらです。

 

 

 上記のページには報告書のPDF版のリンクも貼られていますが、こちらにも貼っておきます。

 

W.E.B.デュボイス、ナチ・ドイツへの旅、1936年

 アメリカ黒人解放運動、パン=アフリカニズムの指導者として名高い、W.E.B.デュボイスは、1936年、ナチ支配下のドイツを訪れました。2022年、その旅行記のドイツ語訳が出版されました。

 

 

 その書評が、オンライン誌、jungle.world に掲載されています(2022年12月15日)。こちらもリンクを貼っておきます。

 

 

 こうした出版企画も、ドイツにおけるナチ・ドイツの歴史も、たんに世界史的な視点からではなく、抑圧された側からの世界史的な視点から問う機運の高まりの現れと言えるでしょう。

 

ティナ・モドッティ展――ベルリン・クロイツベルクの写真展示場 f³ – freiraum für fotografieより

 ベルリン・クロイツベルク地区のオラーニエンプラッツにある写真展示場  f³ – freiraum für fotografie (写真のための自由空間)で、「革命と情熱――ティナ・モドッティ」展が開催されています(2022年11月19日-2023年2月5日)。

 

 

 上記の展示紹介では、彼女は、写真の歴史のなかでもっとも多彩な人物の一人であり、役者・写真家・革命家であったと説明されています。以下、要約します。

 

 貧困家庭に生まれ、12歳で家計を助けるようになり、17歳でより良い生活を求めて、ジェノヴァから渡米しました。1923年にサンフランシスコで著名な写真家エドワード・ウェストンと知り合います。その後、政治と革命の高揚する雰囲気に包まれて、ウェストンとともにメキシコへ渡りました。

 そのメキシコ滞在中に彼女の写真家としての代表作が生まれます。彼女はより公正な世界のために取り組んだ、自己の政治色をもった写真を撮影し、それらは唯一無二の貴重な価値をもつ歴史資料となりました。政治面でも積極的に活動し、1930年に国外退去を命じられます。ベルリン、モスクワ、スペインでの滞在の後、1939年にふたたびメキシコに戻りますが、1942年にタクシーでの移動中に、心臓発作によって、46歳の若さで亡くなりました。

 

 彼女のことは初めて知りました。ニューヨーク近代美術館にも紹介ページがありましたので、リンクを貼っておきます。

 

 

グローバル権威主義研究――IRGACより

 2022年11月、権威主義と対抗戦略についての国際研究グループ(International Research Group on Authoritarinism and Counter-Strategies、IRGAC)が、transcript社より『グローバル権威主義――南からの視点と異議申し立て』と題した論文集を刊行しました。オープンアクセスで、PDF版をダウンロードできます。

 

 興味深い論文タイトルが並んでいます。

 この研究グループについては、以前にこのブログで言及したことがあります。関心のある方は以下をどうぞ。

 

 

第一次世界大戦以前のドイツ社会民主主義がもった凝集力――フリードリヒ・エーベルト財団より

 2022年にフリードリヒ・エーベルト財団より公刊された、第一次世界大戦以前のドイツ労働運動とドイツ社会民主主義の歴史を振り返る論文集が、オープンアクセスになっています。

 

 

 ヘートヴィヒ・リヒター、アンドレアス・ファールマイアー、トーマス・ヴェルスコップなどの寄稿者を、以下に掲げた目次をみると、ちょっと見逃せないですね。

 

  • Peter Beule/Stefan Müller: Einleitung (5)
  • Hedwig Richter: Demokratisierung in der internationalen Reformära.
    Inklusion und Exklusion im Kaiserreich (11)
  • Andreas Fahrmeir: ›Befremdliche Praktiken‹ mit ›gespenstischen‹ Folgen?
    Britische Perspektiven auf Wahlen im Kaiserreich (23)
  • Thomas Welskopp: Von der Klassenstruktur zur bipolaren Gesellschaft (35)
  • Jürgen Schmidt: Sozialdemokratie, Arbeiterschaft und Klassenidentität
    im Deutschen Kaiserreich (41)
  • Anna Strommenger: »Heimat Arbeiterbewegung«? Zwischen sozialdemokratischer Selbstbeschreibung im Kaiserreich und nostalgischer Rückprojektion in der Weimarer Republik (53)
  • André Biederbeck: »Ist’s da ein Wunder, daß ich anhänglich bin an das alte Stübchen??« – Die Bedeutung von Räumen und Orten für die Konstituierung eines sozialistischen Milieus (67)
  • Ernst Piper: Sozialreform oder Revolution. Rosa Luxemburg und die programmatischen Debatten in der SPD vor 1914 (77)
  • Jörn Schütrumpf: In Opposition zur Politik des SPD-Vorstands. Mitglieder, die nicht gewillt waren, die Partei zu verlassen (89)
  • Mirjam Sachse: »... daß es die Revolution gewesen ist, die auch in Deutschland die alten Vorurteile überwunden hat.« – Die SPD und das Frauenwahlrecht (99)
  • Gottfried Niedhart: Gustav Mayers Blick auf die Sozialdemokratie 1890–1914 (111)
  • Mike Schmeitzner: Ein Medium der innerparteilichen Integration? Die Dresdner Tageszeitung der Arbeiterbewegung als Fallbeispiel (1890–1914) (123)
  • Walter Mühlhausen: Geschlossenheit als Handlungsprinzip – Friedrich Ebert als Parteiführer (135)
  • Andreas Biefang: Konflikthafte Vergemeinschaftung. Wahlkämpfe und Wahlen als Agenten der Identitätsbildung in der Sozialdemokratie vor 1914 (145)