浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

2020-01-01から1年間の記事一覧

東西ドイツ統一と東ドイツ女性の多様な経験――MONAliesAのインタビュー・プロジェクト

1989・90年のドイツ統一から30年ということで、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトでは、現在、色々な取り組みがアップされています。 今回は、1990年の東西ドイツ間の「通貨・経済・社会同盟」がドイツ民主共和国の女性にとっていかに多様な意味を…

ドイツ植民地主義関連記念碑の地図化プロジェクト――taz紙よりSimone Dede Ayivi氏インタビュー記事

今年はブラック・ライヴズ・マター運動が世界的に広がりました。それは同時にかつての植民地支配国に残存する植民地主義的痕跡を再検討する契機にもなっています。 ドイツ植民地主義に関しては、関連する記念碑をインターネット上で地図化するプロジェクト "…

デジタルドイツ女性アーカイブ――「今日は何の日」ドイツの女性活動家紹介(2022年6月25日更新)

はじめに Digitales Deutsches Frauenarchiv(デジタルドイツ女性アーカイブ)のウェブサイトには、「Akteurinnen der Frauenbewegung(女性運動の女性活動家)」というページがあります。「女性なくして女性運動なし」という文言からリード文が始まります。…

『インド日記』――1912・13年ベルリンの女権論者アナ・パップリッツの旅行記について

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ベルリンでの売春禁止運動に積極的に関与した女権論者で文筆家アナ・パップリッツ(Anna Pappritz, 1861-1939)という人がいます。 1912年11月から1913年2月にかけて、パップリッツはセイロン・インド・カイロに旅行してお…

第一次世界大戦後の帰属をめぐる東西プロイセン地域での住民投票――ドイツ連邦文書館ウェブサイトより

ドイツ連邦文書館のウェブサイトには、「ヴァイマル共和国――最初のドイツ民主政」と題した、同文書館所蔵の関連資料についての特集ページが作成されています。 Weimarer Republik - Die erste deutsche Demokratie. Ein Themenportal des Bundesarchivs mit …

戦後75年、ドイツの記憶をめぐる政治について――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2020年7月に、戦後75年を記念して戦争とナチ支配をめぐる記憶に関する小冊子が、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに掲載されました。リンク先は以下の通りです。PDFのマークがあるアイコンをクリックしてください。 Jan Korte, Umkämpftes Gebiet: …

「世界で最も美しい本屋」――デア・シュピーゲル紙より

2020年7月23日、ドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル(Der Spiegel)』誌のホームページに「世界で最も美しい本屋」という記事が掲載されました。リンク先はこちらになります。 Die schönsten Buchläden der Welt von Stuart Husband und Horst A. Friedrich…

家族の問題としての普仏戦争――Hypothesesより

「人文社会科学系の研究ブログのためのプラットフォーム」を掲げるHypothesesというサイトを、ローザ・ルクセンブルク財団の情報から知りました。英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語の各論説がオープンアクセスで閲覧できます。 Hypotheses そのサイト…

『ドイツ再統一後の東ドイツの歴史家たち』(2017年)について

研究のためのメモ書きです。 Sunny Pressから2017年にハードカバー版、2018年にペーパーバック版として、以下の論集が公刊されています。 Axel Fair-Schulz/ Mario Kessler (eds.), East German Historians since Reunification: A Discipline Transformed, …

ドイツ革命期労働運動の地域史――現ザクセン=アンハルト州の事例から

2020年7月18日、ローザ=ルクセンブルク財団のウェブサイトに以下の冊子が掲載されました。自由にダウンロードできます。リンク先は以下の紹介ページからどうぞ。 Vincent Streichhahn, Zur Geschichte der Arbeiterbewegung im heutigen Sachsen-Anhalt 191…

ドイツにおけるブラック・スタディーズの緊急性にかんする7つのテーゼ――Generation Adefraより

Generation Adefraというウェブサイトを知りました。このサイトを運営するADEFRA e. V. はドイツの黒人女性による、黒人女性のための「文化政治フォーラム(ein kulturpolitisches Forum)」と説明されています。 Generation Adefra - Home ドイツにおける黒…

ハインリヒ・ヒムラーの業務日誌(1941・42年)のフリーアクセス――ハンブルク現代史研究所より

2020年7月20日、ハンブルク現代史研究所(Die Forschungsstelle für Zeitgeschichte in Hamburg)のウェブサイトに、ハインリヒ・ヒムラーの業務日誌(1941・42年)の公刊史料がアップされました。自由にダウンロードできます。 Der Dienstkalender Heinrich…

フランツ・ファノンについて――ドキュメンタリーほか

Piet Hansenさん――とくに知人でも何でもありませんが――が、2020年7月20日にフランツ・ファノン(Frantz Fanon, 1926年7月20日ー1961年12月6日)の95回目の誕生日に寄せて、1996年に撮影されたドキュメンタリー映像の情報を発信していました。 FRANTZ FANON: …

ファシズム理論の本――Mathias Wörsching, Faschismustheorien (2020)

日本学術会議会員候補者の任命拒否問題の対応、歴史学の若手研究者問題関連の企画、またふつうに原稿の締切、校正など、ちょっと頭が追いつかない日々になってしまいました。 久しぶりの投稿です。2020年7月14日にローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイト…

エルバーフェルトで開かれた最初の共産主義者の集会――西ドイツ新聞の記事より

いつものように、ローザ・ルクセンブルク財団からのニュースで知った記事です。2020年7月3日、『西ドイツ新聞』のウェブサイトに、エルバーフェルトで最初に開催された共産主義者による集会についての記事が掲載されました。 Reiner Rhefus, Die ersten komm…

日歴協若手研究者問題特別委員会の取り組み――10月19日ウェブ・アンケート最終報告&討論会動画公開

2020年10月19日、日本歴史学協会若手研究者問題特別委員会はYouTube上で、若手研究者問題に関するウェブ・アンケート最終報告&討論会を開催しました。 www.youtube.com 立場別報告は動画を順次公開して、皆さんに視聴してもらい、またその後も好きな時間に…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(14)――「歴史学と若手研究者問題」歴史学研究会編『第4次現代歴史学の成果と課題』(2017年)の振り返り

はじめに 1 人文科学系・社会科学系および「史学」の大学入学者数の推移 2 人文科学系学科別大学入学者数の推移 3 国公私立別の「史学」大学入学者数の推移 4 国公私立大学の授業料・入学料の推移(1975-2017年度) 5 2013・2016年度人文社会科学系大学教員…

日本学術会議の任命拒否問題について――図にしてみました

2020年10月1日、日本学術会議候補者6名の任命が内閣総理大臣によって拒否されました。日本学術会議はもとより、各学会・団体・個人が次々と批判しています。わたしもいくつかの取り組みに関わっています。 すでに批判の論点は出そろっていると思います。とく…

W・E・B・デュボイスのヨーロッパ旅行ルート(1892-1894年)――Helmut Walser Smithさんのウェブサイトより

数多くの研究業績をもつドイツ近現代史研究者、Helmut Walser Smithさんのホームページに、W. E. B. デュボイスが1892年から1894年にかけてヨーロッパを旅行したルートを記した地図がアップされました。HWS Mapsと題されたページに掲載されています。 The Tr…

日歴協若手研究者問題特別委員会の取り組み――ウェブ・アンケート調査立場別報告書

2020年10月19日に日本歴史学協会若手研究者問題特別委員会は、YouTube配信によるウェブ・アンケート調査最終報告&討論会を行います。 日本歴史学協会若手研究者問題ウェブ・アンケート調査最終報告&討論会 ひとまず、ようやくこの委員会が取り組んできたウ…

1972年BMW工場でのイタリア人労働者によるストライキについて

2020年7月11日、Abendzeitung紙のウェブサイトに、1972年にBMW工場でのイタリア人労働者ストライキを研究したジーモン・ゲーケ(Simon Goeke)さんへのインタビュー記事が掲載されました。 リンク先はこちらになります。 Der BMW-Streik, von dem kaum jeman…

「植民地なき植民地主義」としてのスイス――Neue Züricher Zeitungのインタビュー記事より

2020年7月10日、Neue Züricher Zeitung(新チューリヒ新聞)のウェブサイトに、植民地期インドを主な研究領域として、トランスナショナル史・グローバル史に取り組むハラルド・フィッシャー=ティネ(Harald Fischer-Tiné)氏へのインタビュー記事が掲載され…

東ドイツの中近東政策――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトの書評

2020年7月1日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブ・サイトにドイツ民主共和国の中近東政策についての2冊の専門書を取り上げた書評が掲載されました。 Angelika Timm, Zwei Publikationen zur Nahostpolitik der DDR: Kritische Würdigung zweier Neuersche…

金属製の拘束具と手錠――人種差別的な警察行動における英米間「特別な関係」について

2020年7月9日、History Workshopのウェブ・サイトに人種主義的な警察行動についての歴史を振り返る論説が掲載されました。 Joseph Yannielli and Christine Whyte, "Shackles and Handcuffs: The 'Special Relationship' of Racist Policing", July 9, 2020,…

リンツ・アム・ライン市文書館の新ホームページ

2020年7月7日にリンツ・アム・ライン市文書館のホームページが新しくなったという情報を知りました。リンツ・アム・ライン(Linz am Rhein)はボン南東にある都市です。 Linz am Rhein: Stadtarchiv コンテンツは、以下の通りです。 Kontakt(連絡先) Bestä…

2020年度歴研大会特設部会準備ノート(13)――「歴史学のなかの若手研究者問題」『歴史評論』第804号(2017年4月)の振り返り

はじめに 1 1980~2016年度人文社会科学系本務教員数・兼務教員数および1人当たり学生数の推移 2 2019年度人文社会科学系博士課程卒業者の進路状況 3 全国大学院生協議会『2019年度大学院生の研究・生活実態に関するアンケート調査報告書』について 4 研究資…

K・テーヴェライトの「フェミサイド」論――iz3wより

iz3wというドイツ語圏の「第3世界」研究雑誌があります。 そのウェブサイトにクラウス・テーヴェライトによる「フェミサイド」(男性による女性の殺人、ジェンダーに基づく憎悪犯罪)についての論説が掲載されました。 Klaus Theweleit, Mörderische Anti-We…

ドイツの大学で歴史学を学びたい人に

2020年7月7日にドイツ歴史学者の団体、Verband der Historiker und Historikerinnen Deutschlandsより、歴史学が学べるドイツ高等教育機関の一覧サイト案内が配信されました。 各学問分野別の大学情報を集めたポータルサイト、Studium.org のなかの Geschich…

スイスの社会民主主義者・労働運動活動家ロベルト・グリムの旅行記(1902年)

いつもローザ・ルクセンブルク財団からお役立ち情報を入手しています。 社会民主主義者で、20世紀前半にスイスの労働運動の指導的人物であったロベルト・グリム(Robert Grimm、1881年4月16日-1958年3月8日)の旅行記が、ロベルト・グリム協会ウェブサイト…

フレデリック・ダグラス「奴隷にとっての独立記念日」演説についてのあれこれ

2020年7月4日、ローザ・ルクセンブルク財団「歴史」部門からの情報で、「奴隷にとっての独立記念日」の意味を問う、フレデリック・ダグラスの演説史料がインターネットで公開されていることを知りました。 Frederick Douglass, "What to the Slave Is the Fo…