浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|戦後史・冷戦史・現代史

ロシア人権団体メモリアルへの連帯の動きについて――ドイツ連邦政治教育センターへの投稿論説

ロシアの人権団体で、おもにソ連時代の人権侵害を記録する活動を行ってきたメモリアル(Memorial)は、2021年12月28日にロシア最高裁の決定によって解散が決まり、翌日、その判決が下されました。そのおよそ一年後、そのメモリアルは、2022年12月10日、オス…

ブレーマーハーフェンの「ドイツ移民の家」博物館とキューバ=ドイツ関係史特別展

東ドイツ時代から今日までのキューバ=ドイツ関係史を扱った展示が、ブレーマーハーフェンにある博物館「ドイツ移民の家(Deutsches Auswandererhaus)」で開催されています(2023年2月28日まで)。 „… bisschen anders, aber genauso.“ Kubanisch-deutsche …

1990年代の右翼の暴力――ドイツ連邦政治教育センターより

ドイツ連邦政治教育センターが発行する雑誌 Aus Politik und Zeitgeschichte(APuZ、政治と現代史から)の2022年12月号の特集は、「1990年代における右翼の暴力」です。無料でPDF版がダウンロードできます。 Rechte Gewalt in den 1990er Jahren, in: Aus Po…

東フェミニズムは存在するか――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年11月9日、デジタルドイツ女性アーカイブに、「東フェミニズムは存在するか」というタイトルの記事が掲載されました。 Gibt es einen Ostfeminismus? in: Digitales Deutsches Frauenarchiv, 9. November 2022. リード文を紹介します。 1989年11月9日、…

ポツダム現代史研究所ライプニッツ・センターが提供する現代史ポッドキャスト番組

歴史研究者・歴史研究機関のポッドキャスト番組を知る機会が多くなりました。 今回は、ポツダム現代史研究所ライプニッツ・センター(ZZF、Leibniz-Zentrum für Zeithistorische Forschung Potsdam)が提供するポッドキャスト番組を紹介します。 まずリンク…

第二次世界大戦後のドイツ連邦共和国エリート官僚のナチ経歴――ドイチュラントフンクより

2022年11月2日、ドイツのラジオ放送、ドイチュラントフンク(Deutschlandfunk)のウェブサイトに、「1949年後の西ドイツ・エリート官僚――どのように元ナチと協力者が新国家を建設したか」というタイトルのプログラムを放送しました。 Maximilian Brose, West…

ベルリナーレとアルフレート・バウアーのナチズムの過去

2022年10月、ベルリナーレの創設以来のディレクター、アルフレート・バウアーのナチズムの過去を調査していた、ミュンヒェン=ベルリン現代史研究所の委託研究の結果が公表されました。研究所の紹介ページへのリンクは以下の通りです。 Schaufenster im Kalt…

連邦情報局に関する独立歴史家委員会によるナチとの連続性を明らかにした研究について

2022年をもって、ドイツ連邦共和国の諜報機関である連邦情報局の1968年までの歴史を分析してきた連邦情報局歴史家委員会の事業として、最後の刊行物が出版されたとの報道がありました。2022年11月26日のフランクフルター・アルゲマイネ紙オンライン版に掲載…

東欧の癒えない傷――ドイツ語圏の書評サイト sehepunkte より

研究ノートです。 ドイツ語圏の書評サイト sehepunkte に『東欧の癒えない傷――第二次世界大戦の記憶の場への旅』という本の書評が掲載されました。 Offene Wunden Osteuropas, in: Sehepunkte, 22: 11 (2022), rezensiert von Bert Hoppe. 2022年に刊行され…

ライプツィヒ権威主義研究――ハインリヒ・ベル財団より

2022年11月9日、ライプツィヒ権威主義研究の2022年版が、ハインリヒ・ベル財団のウェブサイトに掲載されました。 Leipziger Autoritarismus-Studie 2022, in: Heinrich-Böll-Stiftung PDF版が自由にダウンロードできます。テーマは「不確かな時代における権…

ドイツ民主共和国におけるANC(アフリカ民族会議)メンバーの亡命について――近著紹介

ドイツにリット出版社(Lit Verlag)という学術向け出版社があります。今年、その出版社から、『ドイツ民主共和国におけるアフリカ民族会議(ANC)のメンバーの亡命――冷戦期における連帯をめぐるトランスナショナルな交差の歴史』というタイトルの本が刊行さ…

東ドイツ時代のモードから過去の多様性を問う映画――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年10月6日より、ドイツで上映開始された In einem Land, das es nicht mehr gibt(もう存在しないある国で)の紹介記事が、デジタルドイツ女性アーカイブに掲載されました。 Subkultur & Modeszene: Untypische DDR-Bilder auf großer Kinoleinwand, in:…

ルクセンブルク協定についてのドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示

2022年は「ナチズムの不正の補償」のための国際協定、いわゆる「ルクセンブルク協定」の調印から70周年ということで、ドイツ連邦文書館がヴァーチャル展示を開催しています。 背景説明によれば、ルクセンブルク協定は、1952年9月10日に、ユダヤ系のナチ迫害…

Mal nach den Rechten schauen――法分野におけるナチ期との連続性を問うポッドキャスト

ドイツの法分野および司法関係者養成におけるナチ期との連続性を問う興味深いドイツ語ポッドキャストを知りました。 Mal nach den Rechten schauen 「右翼/法律をちょっと見てみよう」といった意味です。右翼と法・権利の複数形が同じ die Rechte なので、…

ベルリンのカール・マルクス通りとハンザ地区の世界文化遺産登録への呼びかけ

冷戦期東ベルリンの大通り、つまり今日のカール・マルクス通り(Karl Marx Allee)と西ベルリンのハンザ地区をユネスコ世界文化遺産に登録しようという呼びかけがあることを知りました。 2022年10月22日、ベルリンのラジオ放送局 rbb Kultur のオンラインサ…

ウクライナにおける戦争とドイツ記憶文化―― Jacobin 紙より

2022年10月11日、ドイツ語圏の左派系オンライン・ジャーナル、ジャコバン紙に「新たなドイツの戦闘用意か」という趣旨の論説が掲載されました。 Christian Dietrich, Neue deutsche Kampfbereitschaft? in: JACOBIN Magazin, 11. Oktober 2022. ロシアによる…

1945年以降の反ファシズム特集号――ドイツ語圏の労働運動史雑誌より

2022年10月8日、ドイツ語圏の労働運動史雑誌である、Arbeit-Bewegung-Geschichte (労働-運動-歴史)の2022年10月に刊行された第21巻第3号の目次がアップされました。特集テーマは、「シーシュポスとなる運命――1945年以降の反ファシズム」です。 21. Jahrg…

1982年、サブラ・シャティーラの虐殺から40年――taz紙より

2022年9月16日、ドイツの左派系メディア taz 紙より、40年前に起きたレバノンの首都ベイルート近郊のパレスチナ難民キャンプ、シャティーラとサブラで3日間に及んだ虐殺事件、いわゆる「サブラ・シャティーラの虐殺」(1982年9月16-18日)についての記事が…

女性の権利・平和運動家マリアンネ・コンツェへのインタビュー動画――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2022年5月13日に撮影されたマリアンネ・コンツェさんへのインタビュー動画がローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトで公開されています。 Marianne Konze – Frauenrechtlerin, Friedensaktivistin, Kommunistin, in: Rosa-Luxemburg-Stiftung YouTubeでのイ…

1960年代末・1970年代初頭は右翼的な転換期か――H-Soz-Kultのシンポジウム報告より

2022年10月5日、ドイツ語圏の歴史系の総合ポータルサイト H-Soz-Kult に、「右翼的な転換期か――1960年代末・1970年代初頭における極右政治の移行段階」というタイトルのシンポジウム報告が掲載されました。 Linn Sofie Børresen, Rechte Zeitenwende? Die Tr…

西ドイツの女性平和運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し前の記事になりますが、2020年3月3日に、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブページに「西ドイツ女性平和運動(WFFB)」と題した紹介記事が掲載されました。 Helke Dreier: Westdeutsche Frauenfriedensbewegung (WFFB), in: Digitales Deutsches Frau…

1972年ミュンヒェン・オリンピックとテロ事件について――ドイツ連邦文書館のヴァーチャル展示

1972年に開催されたミュンヒェン・オリンピックから50周年ということで、最近、とくにテロ襲撃事件に焦点を当てたテレビ番組がドイツでよく放送されていました。 ドイツ連邦文書館のウェブサイトにも、ヴァーチャル展示「1972年オリンピック――テロ襲撃が『オ…

歴史家は論争する――アインシュタイン・フォーラムより

2022年9月29日に、ズーザン・ナイマンさんとミヒャエル・ヴィルトさんによって編集された論文集、Historiker streiten: Gewalt und Holocaust - die Debatte(歴史家は論争する――暴力とホロコースト、その議論)が出版されました。出版社のウェブサイトはこ…

移民史視点の1970・80年代西ドイツ労働運動について

研究メモです。 このブログでも、移民史の視点から第二次世界大戦後のドイツ連邦共和国における労働運動・労働組合・ストライキが移民史の視点から問われるようになってきたことを紹介してきました。*1 また関連書籍を目にしましたので、ここにリンクを貼っ…

マルゲリータ・フォン・ブレンターノについて

2022年9月9日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、マルゲリータ・フォン・ブレンターノを紹介する記事が掲載されました。 Susan Neiman, Politik, Marxismus und Universiätsreform: Die Philosophin Margherita von Brentano (1922 – 1995) , in…

フェミニズム図書館MONAliesAの研究プロジェクトについて――デジタルドイツ女性アーカイブより

ドイツ・ザクセン州の都市ライプツィヒに女性とジェンダーをテーマにしたフェミニズム図書館 MONAliesA Leipzig があります。2022年9月1日、その図書館が進めるデジタルドイツ女性アーカイブの研究助成プロジェクトについての紹介が掲載されました。 Scheidu…

1970・80年代ドイツにおける新しい女性運動とナチ加害女性との関係――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年8月16日、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「誰もが知らなかったのか――新しい女性運動とそのナチ加害女性との関係」という趣旨のタイトルで、女性教育センター・デンクトロイメ(Frauen*bildungszentrum DENKtRÄUME)が、このアーカイ…

ベルリンの壁の建設――ドイツ連邦文書館のヴァーチャル展示より

ドイツ連邦文書館ウェブサイトのヴァーチャル展示シリーズについてです。今回は、「1961年8月13日――ベルリンにおける東西国境閉鎖と壁の建設」です。 13. August 1961: Schließung der Sektorengrenzen in Berlin und Bau der Mauer, in Bundesarchiv Intern…

1992年ロストック=リヒテンハーゲンでのポグロムについて

1992年8月、ロストック=リヒテンハーゲンで起きた大規模なポグロム、人種差別的な排斥運動・暴動から30年目ということで、当事者の経験を回顧するインターネットラジオ放送や論説を紹介します。 まず、Radio Dreyeckland というインターネットラジオ放送か…

ナチ犯罪を裁く法廷のアウシュヴィッツ生存者について――近刊書紹介へのリンク

近刊の研究書の紹介です。 『法廷を前にした生存者たち――ナチ裁判における証人としてのアウシュヴィッツ収容者(1950-1976年)』という本の紹介を目にしましたので、メモ代わりにリンクを貼っておきます。 Katharina Stengel: Die Überlebenden vor Gericht…