浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

小冊子『初心者のための文書館学』――ドイツ連邦文書館ウェブサイトより

 2020年6月26日にドイツ連邦文書館ウェブサイトで、文書館学についての入門的な小冊子PDFが掲載されました。小冊子についての説明とPDFへのリンクが貼ってあるページはこちらからどうぞ。

 25の専門的な概念が写真とともに分かりやすく説明されています。

 この小冊子はコブレンツにある3つの文書館、コブレンツ市文書館(Stadtarchiv Koblenz)、コブレンツ州中央文書館(Landeshauptarchiv Koblenz)、コブレンツ連邦文書館(Bundesarchiv Koblenz)によって共同で作成されたものです。

 たしかに、"Akten" 、"Archivgut"、 "Archivalien" など、あまりよく理解せずに使っていました。解説文も分かりやすく、日本の歴史学を専攻する大学院生のドイツ語学習にもちょうどよいと思います。

 この小冊子よりも前に、ドイツ連邦文書館のウェブサイトでは、文書館で用いられる専門用語についての解説ページが作成されていました。

 2018年3月8日にアップされたものですが、すでにこのときに2020年の小冊子刊行の予告を見つけることができます。この小冊子が入念に編まれたことがわかります。

 より詳しい解説については、以前にこのブログで紹介したEHRI Online Course in Holocaust Studies(ホロコースト研究オンライン講座)の以下のプログラムが推奨されています。こちらにリンクを貼っておきます。

 史料は大切です。過去を検証可能にすることは、民主的な社会の根幹です。こうした認識はこの数年で社会的に深まったのではないでしょうか。政権の担い手が作成した資料が公文書学の訓練を受けた専門家のチェックなしに廃棄されることはその根幹を崩す行為にほかならないでしょう。