浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

K・テーヴェライトの「フェミサイド」論――iz3wより

 iz3wというドイツ語圏の「第3世界」研究雑誌があります。

 そのウェブサイトにクラウス・テーヴェライトによる「フェミサイド」(男性による女性の殺人、ジェンダーに基づく憎悪犯罪)についての論説が掲載されました。

 

 

 「右翼の暴力――ファシズムがいたるところで殺す」という特集号への寄稿です。

 クラウス・テーヴェライト(Klaus Theweleit)は Männerphantasien (1977-78) の著者です。1999年、法政大学出版局から日本語訳『男たちの妄想』が刊行されています。

 この論説では、「なぜ右翼の暴力は歴史的にも現在でも極度に男性的に特徴づけられるのか」、それは「右翼の暴力だけ」(強調原文)なのか、と問いかけています。そのうえで、暴力が男性的なものであると自らのテーゼに戻ります。

 やや決定論的な議論にも映りますが、しかしわたしも2019年度歴史学研究会大会全体会「排外主義の時代における歴史学の課題――『排除』と共生を問う」への「大会報告批判」を執筆した際、そのなかで同様の議論を紹介しました。この論説もしっかり読んでみようと思います。