浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ植民地主義関連記念碑の地図化プロジェクト――taz紙よりSimone Dede Ayivi氏インタビュー記事

 今年はブラック・ライヴズ・マター運動が世界的に広がりました。それは同時にかつての植民地支配国に残存する植民地主義的痕跡を再検討する契機にもなっています。

 ドイツ植民地主義に関しては、関連する記念碑をインターネット上で地図化するプロジェクト "Tear This Down. Kolonialismus jetzt beseitigen(植民地主義をいまこそ撤去する)" があります。ドイツ各地の30弱の団体が協力して進めているものです。銅像だけではなく、地名・通り名も含まれた網羅的なマップになっています。

 

 

 2020年6月25日にtaz紙ウェブサイトにこの取り組みを進める団体の一つ、Initiative Schwarze Menschen in Deutschland (ドイツ黒人イニシアティヴ)のSimone Dede Ayivi 氏へのインタビュー記事が掲載されました。

 

 

 この記事のタイトルが「加害者への眼差しからの脱却」とあるように、Ayivi氏は「見方を変えることを要求」しています。ある通りをたんに「美しいベルリン通り」と変えるのではなく、「アントン・ヴィルヘルム・アモ(Anton Wilhelm Amo)通り」とするなど、つまり「加害者と植民地犯罪者への眼差し」から離れて「反植民地的・反人種主義的な見方へ」と変わることを提案しています。

 ちなみに、アントン・ヴィルヘルム・アモ(1703年頃-1759年)は、現在のガーナ出身で、ハレ大学、ヴィッテンベルク大学で学び、博士号を取得しました。ヴィッテンベルク、ハレ、イエナの各大学で講義も担当しました。

 彼については、ひとまず Black Central Europe の紹介とFootprintsによるYoutube動画をどうぞ。

 

 

【追記 2020年12月18日】

 2020年8月21日のツァイト(Zeit)紙オンライン版に、差別的と批判されていたベルリン・ミッテ地区の通り名「モーレン・シュトラーセ」が上記の記事で紹介した「アントン=ヴィルヘルム=アモ・シュトラーセ」に変更されるとの記事が掲載されました。

 

  • Berliner Mohrenstraße wird umbenannt, in Zeit Online, 21. August 2020.

 

 上記の記事も要点が整理されていてわかりやすいですが、以下の2つの記事も参考になりました。四半世紀もの運動の成果です。