2020年、ナチ・ドイツが設置した女性向けの強制収容所のうち、最大の施設であったラーフェンスブリュック強制収容所に送られ、生き延びた女性労働者の自伝が出版されました。*1
- Katharina Jacob, Widerstand war mir nicht in die Wiege gelegt, hrsg. v. Hamburg Kindern des Widerstands, Hamburg: Galerie der abseitigen Künste, 2020.
2020年9月3日、本書についての紹介記事がローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに掲載されています。
著者であるカタリーナ・ヤーコプさんは、1907年にケルンの労働者層の家庭で生まれました。ケルンでの生活、共産主義運動に触れたこと、そして1910年代・20年代のラインラントでの労働者層の男女の若者の社会条件・文化・政治について詳細に触れているとのことです。そして、女性としての構造的な劣位と不利から、徐々に自ら解放していったことを伝えていると紹介されています。
1926年に共産主義青年組織に、さらに翌27年ドイツ共産党に加入し、同年ハンブルクに移り住みます。1933年以降、ナチ党によって何度も逮捕されました。1941年以降、ハンブルクの反ナチ抵抗グループのメンバーとなっています。1931年と1942年にそれぞれ2人の娘を出産しました。最後の章で、ラーフェンスブリュック強制収容所での経験――1945年4月の「死の行進」を含めて――を詳細につづっているとのことです。1989年にハンブルクでカタリーナ・ヤーコプさんは亡くなりました。
このカタリーナ・ヤーコプさんの回顧録は、次女のイルゼさんが編集し、注釈をつけたとのことです。本書は反ファシズム抵抗における一人の女性の歴史以上の価値があると評価されています。
ラーフェンスブリュック強制収容所については、すでに日本語で色々と知ることができます。