ベルリンの博物館島(Museumsinsel)にある ジェームズ・サイモン・ギャラリー(James-Simon-Galarie)と新博物館(Neues Museum)で「ゲルマン人――ある考古学的目録調査」展が2021年3月まで開催されています。新型コロナ感染の再拡大で今後、どうなるかはわかりませんが。
この展示評「ベルリンのゲルマン人展――文明化された野蛮人」がデア・ターゲスシュピーゲル紙のオンライン版に掲載されました。
「その呼称からすでに問題が始まる」との書き出しで筆が進むこの評論では、「ゲルマン人という民族は決して存在せず、ローマ人によって発明された」ものであるといいます。
カエサルの『ガリア戦記』によって、ライン川より東のすべての種族を「ゲルマン人」と名づけられたにすぎず、のちにタキトゥスの『ゲルマニア』でその風俗・慣習が記述されました。しかし、いずれも伝聞に過ぎないと指摘しています。
この展示会では、カエサルの時代から諸民族の移動までを扱っています。その神話と現在まで明らかにされた歴史的現実を提示しているとのことです。
考古学的調査の成果と並んで、19世紀の国民主義・民族主義的な「美化」についてもテーマとしています。近代の人文学における「ゲルマン人」の受容については、わたしもやはり興味がありますね。
展示のリンク先は以下です。Youtubeでの紹介動画もあります。カタログは書店で購入すると50ユーロとのことです。