浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

オーストリアの女性・レズビアン運動文書館STICHWORTについて

 STICHWORT (キーワードの意)という名前の女性・レズビアン運動に関する文書館があります。2021年5月17日にデジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに同館の取り組みとオーストリアにおける中絶法問題についての論説が掲載されました。

 

 

 STICHWORTのリンクも貼っておきます。

 

 

 この論説では、同館にはオーストリアにおける中絶問題についての史資料が多く所蔵されていることが説明されています。オーストリアで新しい女性運動が始まってから、常に女性の自己決定権に関する取り組みが進められ、とくに1970年代、1975年の人工中絶期限の導入によって関心が高まったと指摘されています。

 同館所蔵の資料では、1972年に雑誌 Rotstrumpf の第一号と第144条廃止行動委員会の報道資料に確認できるとのことです。その第144条はマリア・テレジア時代に由来する条項で、妊娠中絶にごくわずかな例外を除いて禁固刑を科すものでした。

 

 この論説では、第144条廃止に向けた運動についての簡単な解説、当時のポスターや写真、そして史料状況について説明されています。

 オーストリアの戦後女性運動と妊娠中絶をテーマにした話を初めて読みました。卒論や修論によいテーマではないでしょうか。

 

 ドイツでの中絶法といえば、刑法218条がテーマとなります。こちらについてのデジタルドイツ女性アーカイブの論説のリンクをまとめた記事を以前に書きました。参考までにどうぞ。