浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

「排除された者たちの同盟か」――『他者たちの社会』の著者へのインタビュー記事

 2021年5月、ウェブサイト「ルクセンブルク――社会分析と左翼の実践(Luxemburg. Gesellschaftsanalyse und linke Praxis)」に、ヤナ・ヘンゼル(Jana Hensel)と共著で『他者たちの社会(Die Gesellschaft der Anderen)』(2020年)を刊行した、ナイカ・フォールタン(Naika Foroutan)とのインタビュー記事が掲載されました。

 

 

 記事のタイトルは、「排除された者たちの同盟か――東ドイツの人びとと移民を結びつけうるもの」という意味です。

 

 『他者たちの社会』(Naika Foroutan/ Jana Hensel, Die Gesellschaft der Anderen, Aufbau Verlag, 2020)は、かなり話題になった本ということを、いま知りました。YouTubeチャンネルなど色々な媒体で、著者との討論映像がアップされています。

 

 

 上記のオンライン雑誌『ルクセンブルク』に掲載された、インタビュー記事では以下のような質問に著者が応えています。

 とくに最後の質問には、ジェンダーと人種問題を階級問題に反らさず、それらが密接に結びついていること、そしてすでに日常の現実に多様性(ジェンダー、人種主義など)が存在することを認識し、真に周縁化されている人たちに語りかけることを訴えています。

 

  • 東ドイツの人たちとムスリムの排除経験を比較した理由
  • その方法の政治的可能性は何か
  • 研究のもっとも重要な成果は何か
  • ムスリムが経験する不平等について
  • ほかに似たような排除の経験もまた連帯を導くことはないのか
  • 「支配社会(Dominanzgesellschaft)」について繰り返し語る理由は何か
  • どのような政治的要求が周縁化された集団の利益を結びつけ、強化するのか
  • この研究が人種主義に付着する特殊性を相対化する恐れはあるか
  • 「カーキ色(ナチの隠喩)の東」のステレオタイプを回避するために、東部での右翼の脅威について語らないことが望ましいのか
  • 別の著書『ポスト移民社会』で、「移民問題は社会問題である」と述べているが、何を意図しているのか
  • 反人種主義闘争は「アイデンティティ政治」として批判されており、階級問題と切り離されている
  • どのような情況にいわゆるアイデンティティ問題と階級問題は立っているのか
  • 2020年の『他者たちの社会』では、周縁化された集団どうしの「戦略的な同盟」が提案されている
  • もし幅広い同盟が望まれるならば、様々な立場とどうつきあっていいくのか
  • アイデンティティ政治への一つの戦略的なアクセスが問題なのか
  • 左翼は「社会問題」を前面に押し出したいと思っている。しかし、多くの周縁化された者たちと移民は呼びかけられていると感じていない。なぜか。何を変えなければならないのか。