浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ローザ・ルクセンブルク理解のために――zeitgeschichte | onlineより

 2021年4月27日、「ルクセンブルクへの中傷、あるいはパブリック・ヒストリはどれだけ不正確であるこことが許されるのか」という意味のタイトルを掲げた論説が掲載されました。

 

 

 2021年1月5日、ヴェルト(Welt)紙オンライン版に、スヴェン・フェリックス・ケラーホフ編集長による論説 "Sie wollte den Bürgerkrieg in Deutschland – um jeden Preis(「彼女はドイツでの内戦を望んだ――どんな代償でも」の意)"が掲載されました。上記の論説は、これに対する批判です。

 

 以下、冒頭の内容を紹介します。

 ケラーホフの論説には重大な誤りがあり、それはローザ・ルクセンブルクが殺害される前の数日間、彼女が「ボルシェヴィキ的国家転覆」を追求していたとするものでした。現実には、ルクセンブルクは当時、一定の勢力をもっていた急進左派に属し、十月革命に希望をもっていましたが、1917年にロシアでおきたボルシェヴィキ体制が自国に樹立されることに反対していましたし、そして革命理論家であったものの、レーニンボルシェヴィキと自らを線引きしていました。

 そのルクセンブルクがボルシェヴィズムを批判していた例証として、1918年12月に『スパルタクス団は何を望むか』という彼女が共著した綱領で、「プロレタリア革命はその目的のためにテロルを必要としない」、プロレタリア革命は「虐殺を憎み、嫌悪する。」と述べていたことを指摘しています。

 注記も指示されていて、ローザ・ルクセンブルク理解に役立ちそうです。