浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

いかにバンドン会議の精神を現在のために維持できるか――ローザ・ルクセンブルク財団より

 先日、ここのブログでバンドン会議について触れましたので、ちょっと前になりますが、2020年2月にローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに掲載された、バンドン会議をテーマとした論考へのリンクを貼っておきます。

 

 

 タイトルは「非同盟インターナショナリズムの解放的遺産――わたしたちはバンドン精神について、現在のために何を維持できるか」という意味です。著者はクロアチアザグレブ経済学研究所の上級研究員です。

 

 ドイツ語で非同盟諸国運動は Blockfreien-Bewegung 、略記号は BfB なんですね。

 

 以下、記事の冒頭部分を紹介します。

 

 非同盟運動は、アゼルバイジャンのバクーで2019年に第18回首脳会談が開催されたように、今日でも存続していますが、それでも1989年の冷戦終焉とともに、重要性を失った、と指摘されています。また、1991年以降のユーゴ紛争の結果、非同盟運動を創始した最も重要な国の一つであるユーゴスラヴィアが解体され、内部に紛争を抱えた国民国家に分裂したことが、その要因として挙げられています。そして、旧ユーゴスラヴィア地域では、意識的にこの非同盟運動が、とくに政策レベルで忘れようとしている、と述べます。

 その一方で、研究者や活動家の間では、ふたたびこの非同盟運動への関心が強まっていると言います。なぜなら、それが当時の新自由主義的プログラムとは異なる、もう一つのグローバル化の形態であったからだ、と主張しています。

 そのうえで、この論説では、この運動が「交渉技術と生存戦略」であって、そこにどれほど新左翼理論と政治議論に思われるような議論、たとえばポストコロニアリズム、反人種主義、インターセクショナリティ、あるいはグローバルな社会的公正のような言説のようなものを再活性化させたことに重きが置かれています。

 

 見出しは以下の通りです。

 

  • Dekolonialismus und Antirassismus(脱植民地主義と反人種主義)
  • Globale sozioökonomische Gerechtigkeit(グローバルな社会経済的公正)
  • Für eine friedliche Welt ohne Atomwaffen(核兵器のない平和な世界のために)
  • Reform der Vereinten Nationen(国際連合の改革)
  • Blockfreiheit von unten: Kulturell Austauschprozesse(下からの非同盟主義――文化的な交流過程)
  • Multilateralismus, wohin des Weges?(多文化主義はどこに行くのか)