浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ヴァイマル共和国期の貴族財産没収にかんする国民投票――ドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示より

 昨日のブログで、民主主義の歴史の一つとして財産の均等化をとりあげた講演について紹介しました。それと関連するドイツ連邦文書館ホームページで「諸侯財産没収についての国民投票」というヴァーチャル展示を知りました。

 

 

 19点の史料が掲載されています。

 

 以下、リード文を要約します。

 

 11月革命とともに、帝政としてのドイツの旧秩序は終わりを迎えました。ドイツの諸侯は、自発的というよりもしばしばその意思に反する形で権力を奪われました。結果として、彼らの全資産が押収されましたが、所有権は残されました。その後、各州政府と旧諸侯家との間で土地・財産の返還をめぐる長い交渉が始まりました。

 交渉のポイントは、諸侯の財産について、私的な資産と国家の資産をどう線引きするかということでした。はっきりさせることが困難なため、1926年3月、国民投票の要求を受けて、1926年6月20日に補償なしの財産没収をめぐる国民投票が行われました。

 これに対して、政府は憲法を改正する法律を宣言し、投票の過半数ではなく、有権者過半数を要件としました。結果として、国民投票による補償なしの諸侯財産の没収は挫折しました。

 

 この紹介文では、国民投票に至る経緯とその失敗について、簡潔に説明されています。ドイツ連邦文書館所蔵に資料されている関連ポスターや「生きた博物館オンライン(Lebendiges Museum Online (LeMO)」へのリンクも貼られています。後者へのリンクを貼っておきます。経済史の講義で紹介できそうです。