ドイツにリット出版社(Lit Verlag)という学術向け出版社があります。今年、その出版社から、『ドイツ民主共和国におけるアフリカ民族会議(ANC)のメンバーの亡命――冷戦期における連帯をめぐるトランスナショナルな交差の歴史』というタイトルの本が刊行されました。
出版社の紹介文を要約します。
ドイツ民主共和国は、南アフリカ共和国の人種隔離政策(アパルトヘイト)の時代に、南アフリカの共産主義者とANCの解放運動メンバーの政治亡命の地となりました。亡命者たちは、ドイツ民主共和国での生活、労働、勉学を通じて、社会主義的日常へ豊富な洞察を得ました。
著者は、これらの亡命者の多くが、社会主義をモデルとしてポスト・アパルトヘイト社会を見なす一方で、その不足経済および言論・旅行の自由の機能不全を見落としたといいます。同書では、当時の政治亡命者の東ドイツについての語りのなかで、これらの経験がどのように反映しているかが論じられているとのことです。
この本は、「ドイツ民主共和国と第三世界」というシリーズの一冊です。このシリーズの既刊一覧はこちらをどうぞ。
アパルトヘイトと東西ドイツの関係については、以前にこのコラムでも取り上げたことがあります。関心のある方は以下をどうぞ。