浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

フランツ・メーリングの諸論考の解説付きオープンアクセス――ローザ・ルクセンブルク財団より

 2023年1月、フランツ・メーリングの「軍の保護検束」ほかの論考を整理したオンライン冊子が、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトで公開されました。そのオンライン版へのリンクがついた短い解説ページはこちらです。

 

 

 ヨルン・シュトルンプフさんの解説に続いて、以下のメーリングの論考が収録されています。

 

  • Militärische Schutzhaft: Eine Gefängnisarbeit von Franz Mehring(軍の保護検束――フランツ・メーリングの獄中の論考)
  • Gefängnispoesie(獄中詩、エルンスト・マイアーとの共作、ローザ・ルクセンブルク作を含む)
  • Die deutsche Bürokratie(ドイツ官僚制)
  • Vom Militärstaat(軍事国家について)

 

 メーリング全集未収録の論考に解説を付したものです。以下にオンライン版へのリンクが貼られたページの紹介を要約します。

 

 1914年9月10日、ドイツ社会民主党の4名の党員が、スウェーデン、イタリア、スイスの各新聞に、ある声明を送付した。その声明のなかで、その4名は、ドイツ社会民主党執行部が中立国に数週間前から広めた、ひと月前に始まった第一次世界大戦の評価から距離を取っていた。そのうち3名、ローザ・ルクセンブルク、クラーラ・ツェトキン、カール・リープクネヒトは、今日でもヨーロッパで記憶に残る著名人としての地位を保っている。それに対して、よくても付け足しのように言及されるにすぎない一名、ほかの3名よりも年輩のフランツ・メーリング(1846-1919年)である。その4名はすべての地の「インターナショナル・グループ」の中核となり、「スパルタクス団」として歴史に名を残した。

 歴史家・ジャーナリストであるフランツ・メーリングは、ほかの3名とことなり、15巻本の全集でのみ評価される人物である。その量にもかかわらず、その全集は完全ではない。それにはメーリングが、1917・18年に、最近まで忘れられていたシュトゥットガルトの『社会民主主義者(Sozialdemokrat)』のために執筆した論考だけではなく、また理由は簡単には分からないものの、東ドイツドイツ社会主義統一党の官僚たちによって全集に収録されなかったテクストもある。軍事国家についてのメーリングのテクストも好まれなかった。