浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

フランツ・ノイマンと『ビヒモス』について――ローザ・ルクセンブルク財団より

 2024年10月2日、本だと長すぎて読めない、という人向けに、ローザ・ルクセンブルク財団が左派理論家の古典を解説するポッドキャスト tl;dr("too long, didn't read?")の第42回に、フランツ・ノイマンの『ビヒモス』がアップされました。

 

 

 国家理論・ファシズム理論の古典として紹介されています。1942年にロンドンで出版されましたが、上記の解説では、米国での1944年出版を指摘しています。

 

 この解説によれば、神話的怪物であるビヒモスの題名は、ナチ支配が混沌、無法、破壊を内包するものであったことを意味しています。そのうえで、ノイマンはナチ支配の4つの柱、すなわち政治組織をともなう経済、軍事、官僚制、党を分析します。ノイマンによれば、「総統」ヒトラーは、これらの権力ブロックに反応し、抵抗を阻止するために仲介する存在であり、そのために支配は「無定形」でした。その体制は利益、暴力、大衆への恐れによって構成されており、暴力・テロ・強奪による原始的な蓄積だったといいます。

 

 同財団HPには、2014年9月にフランツ・ノイマンの死後60年を記念した冊子が、公刊されています。リンク先はこちらです。

 

 

 ローザ・ルクセンブルク財団の「理論」ポッドキャスト tl;dr については、このブログで紹介したことがあります。第25回までリストをつくってみましたが、もう第42回まで来たんですね。