浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ホロコースト研究者ヨーゼフ・ヴルフについての論説――ローザ・ルクセンブルク財団より

 2024年10月に発表された論説ですが、ローザ・ルクセンブルク財団のHPに、ユダヤ系のホロコースト研究の先駆者として、ヨーゼフ・ヴルフという人物の紹介を知りました。

 

 

 タイトルは「片隅に追いやられて」という意味です。

 冒頭では、ナチのリガ・ゲットーで殺害されたユダヤ系歴史家シモン・ドゥブノフが、射殺の現場へと移送される前に周囲にイディッシュ語で「ユダヤ人よ、すべて書き留めよ」と書きつけた逸話が紹介されます。

 この論説で取り上げられるヨーゼフ・ヴルフもその呼びかけに応えた一人だったと指摘されます。そして、いまでは過去の記憶への取り組みで「世界チャンピオン」になったと語られても、その真実はより複雑だったと述べ、ヴルフの足跡をたどっています。

 導入のあと、「生存と破局の調査」と「排除の空気のなかでの研究と啓蒙」の二つの見出しが続きます。