浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ歴史家連合によるハラスメント対策の取り組み

 ドイツ歴史家連合(Verband der Historiker und Historikerinnen Deutschlands, VHD)が同団体ホームページに「歴史学における職権乱用」というページを設置したことを知りました。

 

 

 同ウェブサイトによると、職業倫理にかんするワーキンググループが設置され、VHDの委託により同グループは、歴史学における職権乱用の可能性についての構造と要因を分析し、個々の誤った振る舞いや構造的に間違った展開が生じることを防ぐための勧告を作成する、とのことです。

 

 このワーキンググループは、2024年12月17日から2025年2月28日にかけて、歴史学における権力乱用の構造的な観点から作成されたアンケート調査を行ったとのことです。

 アンケート作成に際して、ドイツ心理学会のアンケートを参照し、同学会の責任者と協議し、心理学の同僚の協力をえて、歴史学に適したものにしたそうです。

 ただ、アンケート結果について、個人レベルで具体的な行動を採ることはせず、具体的な問題事例に対応するものではない、と注記しています。その一方で、経験的なデータが今後の活動の助けとなって、今後の活動と計画の方向性を道ぶくことが期待されています。

 

 最後に、学界でパワハラやセクハラを経験している人に対して、専門的な支援が受けられる問い合わせリストがアップされています。

 

 2023-2024年にベルリン・フンボルト大学のある歴史学講師による長年の言葉によるセクシュアル・ハラスメントが問題となりました。ドイツの歴史学界で、#metoohistoryをキーワードに運動が広がりましたが、VHDのワーキンググループの活動は、それへの一つの反応といえるでしょう。いくつかリンクを貼っておきます。