浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ女性運動文書館とアリーセ・マッツドルフ(1877-1932)―― #femaleheritage によせて

 カッセルにあるドイツ女性運動文書館(Archiv der deutschen Frauenbewegung)がブログ・パレード #femaleheritageによせて、デジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)のウェブサイトに以下の記事を寄稿しました。

 

 

 この記事は女性写真家アリーセ・マッツドルフ(Alice Matzdorff, 1877-1932)を事例に、ある女性の経歴を調べる際の著作権上の問題について述べています。

 ここでは成功した女性職業写真家としてアリーセ・マッツドルフが紹介されており、彼女はドイツ女性運動文書館が所蔵する多くの写真の著作権を持っていたとのことです。第一次世界大戦のさなか、男性が圧倒的な職種にあって、彼女はとくに女性に焦点をあてて写真を撮影しており、当時の著名な雑誌、Die Welt der Frau や Gartenlaube の付録用に活動していました。その生涯を調べた経緯が記されており、参考になります。

 

 ドイツ女性運動文書館のウェブサイトのリンクも貼っておきます。

 

 

 実は、すでにこの文書館のプロジェクトを紹介する記事を書いています。

 

 

 また、同館が #femaleheritage にこれまでよせた論説をふくむ投稿記事一覧は、"Unsere Leseecke" に掲載されています。リンクはこちら。

 

 

ヘレーネ・シュテッカーとデジタルドイツ女性アーカイブの活動紹介―― ブログ・パレード #femaleheritage によせて

 2020年11月11日から12月9日にかけて、ミュンヒェン市立図書館のモナツェンシア・イム・ヒルデブラントハウス(Manacensia im Hildebrandhaus)フェミニズム運動としてのブログ・パレード Blogparade #femaleheritage を呼びかけました。

 

 

 デジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)はそれに応えて、そのウェブサイトにヘレーネ・シュテッカー(Helene Stöcker, 1869-1943)を紹介しつつ、同アーカイブの活動を紹介する記事を掲載しました。

 

 

 ヘレーネ・シュテッカーについて、まさに女性の自己決定権を要求した女性として紹介されています。どの人間も自己目的をもち、道具とみなされていはならないはずであるにもかかわらず、女性は旧来の性道徳のなかでこれまで「人間として、魂として、人格としてではなく、物として、肉体として、享楽あるいは出産する者として価値づけられてきた」と批判する彼女の言葉を紹介しています。

 その後、この論説では、「女性参政権と性の自己決定」の見出しでヘレーネ・シュテッカーについて解説した後、「女性活動家、ネットワーク、史料」、「フェミニズム的歴史叙述」の見出しを設けて、同文書館の取り組みが紹介されています。

 ヘレーネ・シュテッカーについては、同アーカイブのウェブサイトでより詳細な伝記が掲載されています。

 

 

 また、日本語でもいくつも研究があります。

 

  • 水戸部由枝「ヘレーネ・シュテッカーと帝政ドイツの堕胎論争」『西洋史学』第198号、2000年
  •  同   「ヴェーバー・サークルにおける性倫理論争――H.シュテッカーの『新しい倫理』とO.グロースのエロス論をめぐって」『政治学研究論集』第21号、2004年
  • 太田恭子「近代ドイツにおけるヘレーネ・シュテッカーの『新しい倫理』」『日本ジェンダー研究』第7号、2004年
  • 掛川典子「ヘレーネ・シュテッカーのエルバ―フェルト時代(1862-1892)」『学苑』第828号、2009年
  •  同  「ヘレーネ・シュテッカーの学問修行時代(1892-1901)」『学苑』第850号、2011年

 

第30回西日本ドイツ現代史学会(2021年3月29-30日)のご案内

 第30回西日本ドイツ現代史学会の2日目の合評会に評者として登壇することになりました。インターネットでの案内が見当たらないので、問い合わせたところ、案内の転載を許可いただきました。というよりも協力したほうがよさそうでしたので、こちらに転載します。

*********

第30回 西日本ドイツ現代史学会

第30回西日本ドイツ現代史学会を、下記の要領で開催いたします。年度末の慌ただしい時期ではありますが、奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

【日時】

  2021年3月29日・30日(諸般の事情を考慮しまして、Zoomでの開催となります)

【参加申し込みフォーム】

 https://forms.gle/H7vmnjiFtM1eXuPu9

【参加費】
 無料 

1日目:3月29日(月)

12:30分~ 総会

小シンポ (13:00~)「東ドイツ」通史の現状と課題:日本で東ドイツを語る意義とは

ウルリヒ・メーラート(伊豆田俊輔訳)『東ドイツ史―1945~1990』(白水社、2019年)、河合信晴『物語 東ドイツの歴史―分断国家の挑戦と挫折』(中央公論新社、2020年)によせて

星乃治彦(福岡大学)50分 (~13:50)
伊豆田俊輔(獨協大学)20分(~14:10)
河合信晴(広島大学)20分 (~14:30)
自由討論30分 (~15:00)

休憩(10分)

個別報告(15:10~)

1 大谷実 (同志社大学)「戦後西ドイツ社会とシンティ・ロマ」

   発表:35分 質疑:15分 (~16:00)

2 小野竜史(神奈川大学・非)「西ドイツ・カトリックの「民主化」を遅らせた68年運動?―兵役拒否問題にみる運動のアンビヴァレントな影響―」

      発表:35分 質疑:15分 (16:00~16:50)

3 長田浩彰(広島大学)「1930年代のパレスチナにおけるドイツ・ユダヤ人社会ーエゴ・ドキュメントを中心に(仮)」

      発表:35分 質疑:15分(16:50~17:40)


2日目:3月30日(火)

9:30~12:00

合評会 熊野直樹『麻薬の世紀』(東京大学出版会、2020年)をめぐって

評者:浅田進史(駒澤大学)ドイツ史の側から 40分(~10:10)
   中村江里(広島大学)日本史の側から 40分(~10:50)

休憩:10分(~11:00)

リプライ:熊野直樹(九州大学)30分(~11:30)

自由討論:(30分)(~12:00)

 

ドイツ女性参政権の歴史を短く解説――デジタルドイツ女性アーカイブより

 デジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)のウェブサイトに、ドイツ女性参政権の歴史を簡単に解説したページがアップされました。

 

 

 1919年にドイツで女性の参政権が実現するまでの歴史を、主に重要な女性運動家の足跡を取り上げることで振り返ります。

 ヘレーネ・ランゲ、ルイーゼ・オットー=ペータース、へートヴィヒ・ドーム、アニータ・アウクスプルク、クラーラ・ツェトキン、ローザ・ルクセンブルク、そしていくつかの関連史料が掲載されています。

 一読の価値があります。ぜひご覧ください。

 

ドイツの「運命の日」について――ドイツ歴史博物館より

  ドイツでは、11月9日は歴史上重要な出来事が起きた特別な日として、「運命の日(Schicksalstag)」と呼ばれます。すでに、日本語でも色々なウェブサイトで紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。

 さて、ドイツ歴史博物館(Deutsches Historisches Museum)のウェブサイトには、この日についての画像資料を加えた解説ページがあります。

 

 

 解説リード文では、11月9日とドイツ近現代史、つまり1848年3月革命の挫折、1918年11月革命、1923年のヒトラーによるミュンヒェン一揆の失敗、1938年の11月ポグロム、そして1989年のベルリンの壁崩壊が列挙されています。

 その後にそれぞれに関連する数多くの画像資料が掲載されています。この画像から講義に使うことも考えてしまいますね。

 

 以下、掲載された画像資料のタイトルを列挙します。

 

1848年3月革命の挫折

  • Robert Blum vor dem Kriegsgericht am 8. November 1848

  • Gedenkblatt für Robert Blum

  • Medaille auf die Erschießung Robert Blums

 

1918年11月革命

  • Demonstration in der Straße Unter den Linden

  • Verladen der Särge der Revolutionsopfer bei der Trauerfeier auf dem Tempelhofer Feld

  • Extra-Blatt zur Abdankung von Kaiser Wilhelm II.

  • Tonaufnahme Philipp Scheidemanns: Ausrufung der Republik

 

1923年ヒトラー一揆

  • Urteil im Hitler-Ludendorff-Prozess zum gescheiterten Hitler-Putsch 1923 (Durchschlag)

  • Nationalsozialistisches Flugblatt zur Niederschlagung des Hitler-Putsches

  • Aufruf der Deutschnationalen Volkspartei zur Reichtagswahl am 7. Dezember 1924

  • Aufrufe zum Judenboykott vor dem Warenhaus Tietz in Berlin

  • Denkmal für die Toten des Hitlerputsches in der Feldherrnhalle in München

  • Postkarte zur Erinnerung an den Hitler-Putsch

  • Adolf Hitlers Zelle in der Festung Landsberg am Lech

  • Historisch-propagandistische Abhandlung über den Hitler-Putsch

 

1938年11月ポグロム

  • Die Synagoge in Wilhelmshaven nach der Pogromnacht

  • Brand der Synagoge in Eberswalde während der Pogromnacht

  • Das "Berliner Tageblatt" zum Attentat auf den deutschen Diplomaten vom Rath in Paris

  • In der Pogromnacht zerstörtes jüdisches Geschäft in Berlin

  • Der Bürgerbräukeller in München nach dem Sprengstoffanschlag von Georg Elser

  • Der "Völkische Beobachter" zur Rechtfertigung der Pogrome in der "Reichskristallnacht"

  • Der "Völkische Beobachter" zum Attentat auf Adolf Hitler im Bürgerbräukeller in München

  • Nationalsozialistische Propagandaschrift über die angebliche englische Beteiligung am Hitler-Attentat 1939

 

1989年ベルリンの壁崩壊

  • Segment der Berliner Mauer

  • Transparent zur Demonstration auf dem Berliner Alexanderplatz vom 4. November 1989

  • Ausreise der Prager Botschaftsflüchtlinge

  • Button "Ich bin frei"

  • Programmheft zu Veranstaltungen zum 25. Jahrestag des Mauerfalls