浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

研究ノート

21世紀のグローバルな記憶を議論するドイツ語新刊書について

研究メモです。 2023年10月に、21世紀におけるグローバルな記憶文化を議論する新刊書が出ました。出版社のウェブサイトからの紹介ページをリンクしておきます。 Mirjam Zadoff: Gewalt und Gedächtnis. Globale Erinnerung im 21. Jahrhundert, München: Han…

ドイツ語圏におけるユダヤ史――Clio-Guideより

ミリアム・リュールップさんによる「ドイツ語圏におけるユダヤ史」という論説を見つけました。こちらは、「クリオ・ガイド(Clio Guide)」という歴史学向けのデジタル資料ハンドブックの第3改訂新版に掲載されたものです。 Miriam Rürup, Clio-Guide: Jüdis…

ジェンダー・ペイ・ギャップの歴史と現在についてのドイツ語論文集

研究メモです。 2023年11月、ディーツ出版社より、ジェンダー・ペイ・ギャップの歴史と現在についての論文集が出版されました。 Wiebke Wiede / Johanna Wolf / Rainer Fattmann (Hg.), Gender Pay Gap, Bonn: J.H.W. Dietz Nachf., 2023. 研究だけではなく…

ホロコーストと植民地主義をめぐるシンポジウム

研究メモです。 2023年11月23日に社団法人エーリヒ=ツァイガー=ハウスが "Holocaust und Kolonialismus – Deutungskämpfe um das Erinnern(ホロコーストと植民地主義――記憶をめぐる解釈闘争)"という題目でシンポジウムを開催しました。 Holocaust und Ko…

ドイツのレーテ・コミュニズム人物事典(1920-1960年)について

2023年11月7日、ローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、2023年に出版された、Biografisches Lexikon des deutschen Rätekommunismus 1920-1960(レーテ・コミュニズム人物事典、1920-1960年)についての紹介が掲載されました。 Biografisches Lexiko…

The Palgrave Handbook of Communist Women Activist around the Worldについて

研究ノートです。 2023年1月に、世界における共産主義女性活動家についてのパルグレイヴ版ハンドブックが出版されました。関心をもちまして、出版社へのリンクを貼っておきます。 Francisca de Haan (eds.), The Palgrave Handbook of Communist Women Activ…

ドイツのオーラル・ヒストリー・デジタルについて

オーラル・ヒストリー・デジタルというドイツ語のウェブサイトを知りました。リンクを貼っておきます。 Projekt • Oral-History.Digital 教育・メディア関係の研究・関心をもつ人たちに向けに、インタビュー資料を横断的に検索できるウェブサイトということ…

Moving Workers――オープンアクセスの論文集

今年10月に出版された以下の論文集がオープンアクセスでダウンロードできます。 Clauda Bernardi, Viola Franziska Müller, Biljana Stojić, and Vilhelm Vilhelmsson (eds.), Moving Workers: Historical Perspectives on Labour, Coercion and Im/Mobiliti…

2023年ドイツ歴史家大会セッション「民主主義が労働をつくる――労働が民主主義をつくるか」報告について

9月19日から22日まで開催された今年のドイツ歴史家大会の一セッション "Demokratie macht Arbeit – macht Arbeit Demokratie?" が、10月7日にドイツ語圏の歴史学系総合ポータルサイト H-Soz-Kultに掲載されました。 Irmela Diedrichs, Tagungsbericht: HT 20…

移民概念についての用語目録――Inventar der Migrationsbegriffe

学際的研究グループを謳う「移民にかんする知の学術的生産」のプロジェクト「移民概念の用語目録」というドイツ語のウェブサイトを知りました。 Inventar der Migrationsbegriffe このプロジェクトは、移民をめぐる現在と歴史にかかわる議論の中心的な概念に…

WerkstattGeschichte(歴史ワークショップ)の第88号「お金について語る」

ドイツの日常史研究のジャーナルといえば、WerkstattGeschichteですが、その2023年9月に公刊された第88号の特集は、"reden über geld"(お金について語る)です。リンクを貼っておきます。 reden über geld, in: WerkstattGeschichte, 88 (September 2023). …

キッチン・ポリティクス――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトの書評より

「キッチン・ポリティクス――クィア・フェミニスト的介入」というシリーズ本がドイツ語で刊行されていることを知りました。2023年に刊行された『台所の新秩序』でもう5冊目とのことです。 この本について、ギーゼラ・ノッツさんがローザ・ルクセンブルク財団…

新しい下からの歴史のために――L.I.S.A.より

以前に、このブログで、ゲルダ・ヘンケル財団L.I.S.A.学術ポータルで掲載された「ユートピア――歴史学の未来」というテーマを掲げて、若手歴史家の投稿を呼びかける試みを紹介しました。 そこに「新しい下からの歴史のために」というタイトルの投稿を見かけた…

実践のなかの革命的サンディカリズム――ドイツ自由労働者同盟についての近刊書

2023年1月に、『実践のなかの革命的サンディカリズム――ドイツ自由労働者同盟の経営評議会活動、1918-1933年(Revolutionärer Syndikalismus in der Praxis)』というタイトルのドイツ語の研究書が出版されました。出版社の紹介サイトはこちらです。 Jule Eh…

1848年革命期のフランクフルト国民議会選挙について――ドイツ連邦文書館より

ちょっとした講義・研究メモです。ドイツ連邦文書館ウェブサイト内の「1848年5月」というページを見つけました。 Mai 1848, in: Bundesarchiv - Internet 3点の図像史料が掲載されています。解説では、フランクフルト国民議会選挙の経緯が要約されています。…

Twentieth Century Communismの反人種主義・反植民地主義特集(2023年第24号)

Twentieth Century Communism という学術誌の第24号(2023年)が公刊されまして、「コミンテルン時代における共産主義反人種主義・反植民地主義」特集です。 "Communist anti-racism and ant-colonialism in the Comintern era," Twentieth Century Communis…

植民地主義批判からみた1848年革命とフランクフルト国民議会――ローザ・ルクセンブルク財団より

2023年6月16日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、「帝国的アリーナとしてのパウロ教会」という論説が掲載されました。 Andreas Bohne, Die Paulskriche als imperiale Arena, in: Rosa-Luxemburg-Stiftung, 16. Juni 2023. 著者のアンドレアス・…

『歴史家論争2.0』、『ムベンべの彼方』へのH-Soz-Kult掲載書評

2023年6月15日、ドイツ語圏の歴史学総合ポータルサイト、H-Soz-Kultに、以下の2冊についての書評が掲載されました。 Neiman, Susan/ Michael Wildt (Hrsg.): Historiker streiten. Gewalt und Holocaust – die Debatte. Berlin: Propyläen Verlag, 2022. Böc…

ポストコロニアルな高等教育を目指して――ドイツの学術フォーラム誌 Forum Wissenschaft よりsenschaft

Forum Wissenschaft(フォーラム・学術)というドイツ語雑誌を知りました。2023年6月に刊行された号の特集は、Postkoloniale Hochschule: Zwischen Amnestie und Aufarbeitung(ポストコロニアル大学――赦しと検証のはざまで)です。リンクを貼っておきます。…

ホブズボームの論考 The Historians' Group of the Communist Party のオンライン公開――Verso社より

Verso社のウェブサイトに、エリック・ホブズボームが1978年に出版された論文集 Rebels and Their Causes: Essays in Honour of A. L. Morton に寄稿した論文が初めてオンライン公開されました。 以下にリンクを貼っておきます。 Eric Hobsbawm, "The Histori…

Arbeit-Bewegung-Geschichte(労働・運動・歴史)誌のプロレタリア女性運動特集

ドイツ語圏の学術雑誌、Arbeit - Bewegung - Geschichte(労働・運動・歴史)の2023年5月に刊行された第22巻第2号は、ドイツ帝政期・ヴァイマル期のプロレタリア女性運動特集です。 Töchter ihrer Klasse? Die proletarische Frauenbewegung im deutschen Ka…

スパルタクス団共同設立者ケーテ&ヘルマン・ドゥンクラー書簡集

ローザ・ルクセンブルク財団SNSより、2016年に刊行された、スパルタクス団共同設立者ケーテ・ドゥンクラーとヘルマン・ドゥンクラーの二人の書簡集の紹介を目にしました。出版社の紹介ページへのリンクを貼っておきます。 Heinz Deutschland (Hrsg.), Käte u…

ドイツにおける難民政策についての歴史的位置について――Geschichte der Gegenwartより

2023年5月24日、ドイツ語圏の現代史をテーマとしたウェブサイト、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「『難民妥協』――現在の調停の試みの歴史的位置づけ」というタイトルの論説が掲載されました。 Stefan Zeppenfeld, Der „Asylkompromiss“. Histor…

博物館の脱植民地化についてのドイツ語近刊紹介――sehepunkteより

ドイツ語圏の歴史学系オンライン書評誌 sehepunkte(視点の意)に、ブリュッケ博物館、ドイツ技術博物館、ベルリン市博物館が編集した、Das Museum dekolonisieren? という論文集の書評が掲載されました。 Tanja-Bianca Schmidt, Rezension von: Das Museum …

マリア・ミースの追悼記事について

2023年5月15日、日本でも『国際分業と女性――進行する主婦化』(奥田暁子訳、日本経済評論社、1997年)や共著の『世界システムと女性』(古田睦美・善本裕子訳、藤原書店、1995年)で知られる、マリア・ミースさんが亡くなりました。 エラスムス・ロッテルダ…

マルセル・ファン・デア・リンデンのグローバル労働史のオープンアクセス版

2023年5月、グローバル労働史研究を掲げるオランダの労働史家マルセル・ファン・デア・リンデン氏がこれまでに発表してきた論文を一冊にまとめた論文集がオープンアクセスで刊行されました。 Marcel van der Linden, The World Wide Web of Work: A hisotry …

ゾーリンゲン放火殺害事件から30年――オープンアクセス論文集

1993年5月29日の夜間にゾーリンゲンでトルコ人移民家庭に対する放火殺害事件が発生しました。2023年はそれからちょうど30年になります。その事件を振り返る論文集が、4月に刊行されました。オープンアクセスです。 Birgül Demirtas / Adelheid Schmitz / Der…

労働と性――オーストリア歴史学雑誌の特集より

2023年4月11日、オーストリアの歴史系学術雑誌、Österreichische Zeitschrift für Geschichtswissenschaften (OeZG) のホームページに、「OeZGにおける性、労働、不平等」というタイトルの記事が掲載されました。 Jessica Richter/ Tim Rütten, Geschlecht, …

戦時の新自由主義と権威主義的転回――IRGACより

このブログでも、これまで IRGAC、すなわち International Research Group on Authoritarianism and Counter-Strategies(権威主義と対抗戦略に関する国際研究グループ)について紹介してきました。 「権威主義と対抗戦略に関する国際研究グループについて――…

Sozial.Geschichte Onlineのジャック・ランシエール特集

2023年5月にインターネット公開された、Sozial.Geschichte Online(社会史オンライン)の第35号は、ジャック・ランシエール特集です。1975年から1980年の間に発表された論考を扱うものです。それらは1981年に発表された博士論文『プロレタリアの夜』へと発展…