浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

2022-01-01から1年間の記事一覧

ベルリナーレとアルフレート・バウアーのナチズムの過去

2022年10月、ベルリナーレの創設以来のディレクター、アルフレート・バウアーのナチズムの過去を調査していた、ミュンヒェン=ベルリン現代史研究所の委託研究の結果が公表されました。研究所の紹介ページへのリンクは以下の通りです。 Schaufenster im Kalt…

ウィーンと反ユダヤ主義についての論争――ルエーガーをめぐって

2022年11月30日、ドイツ語圏の歴史系ウェブサイト「現在の歴史(Geschichte der Gegenwart)」に、ハプスブルク帝国時代のウィーン市長で、反ユダヤ主義者として知られるカール・ルエーガーとその過去をめぐる歴史政策についての記事が掲載されました。 Benj…

労働組合の歴史――ローザ・ルクセンブルク財団歴史ポッドキャストRosalux Historyより

ローザ・ルクセンブルク財団の歴史ポッドキャスト Rosalux History の第20回放送が同ホームページにアップされています。今回は、「労働組合の歴史」です。リンク先はこちら。 Rosalux History - Rosa-Luxemburg-Stiftung 説明欄の内容を要約します。 資本主…

東ドイツにおける反ファシズムの30年――出版社の紹介より

『東ドイツにおける Antifa 30年――ある自立した運動への視角』という本を知りました。2017年に初版が発行され、2022年には第5改訂版が刊行されています。出版社へのリンクを貼っておきました。 Christin Jänicke/ Benjamin Paul-Siewert (Hrsg.), 30 Jahre A…

連邦情報局に関する独立歴史家委員会によるナチとの連続性を明らかにした研究について

2022年をもって、ドイツ連邦共和国の諜報機関である連邦情報局の1968年までの歴史を分析してきた連邦情報局歴史家委員会の事業として、最後の刊行物が出版されたとの報道がありました。2022年11月26日のフランクフルター・アルゲマイネ紙オンライン版に掲載…

東欧の癒えない傷――ドイツ語圏の書評サイト sehepunkte より

研究ノートです。 ドイツ語圏の書評サイト sehepunkte に『東欧の癒えない傷――第二次世界大戦の記憶の場への旅』という本の書評が掲載されました。 Offene Wunden Osteuropas, in: Sehepunkte, 22: 11 (2022), rezensiert von Bert Hoppe. 2022年に刊行され…

ショアー・メモリアル・フランクフルトについて

昨日に続いて、ナチズムの犠牲者のオンライン検索関連の話題です。 フランクフルト・アム・マインにあるショアー・メモリアル・フランクフルトのウェブサイトでは、ナチによるショアーによって強制移送され殺害された、1万2000人以上のユダヤ系の犠牲者につ…

プレッツェンゼー記念館のオンライン死亡者名簿について

ひと月ほど前に、プレッツェンゼー記念館(Gedenkstätte Plötzensee)のオンライン死亡者名簿 Totenbuch を知りました。この名簿について解説したページへのリンクを貼っておきます。もちろん名簿へのリンクがあります。 Die Totenbuch von Plötzensee 1933…

ライプツィヒ権威主義研究――ハインリヒ・ベル財団より

2022年11月9日、ライプツィヒ権威主義研究の2022年版が、ハインリヒ・ベル財団のウェブサイトに掲載されました。 Leipziger Autoritarismus-Studie 2022, in: Heinrich-Böll-Stiftung PDF版が自由にダウンロードできます。テーマは「不確かな時代における権…

ホロコーストを記憶し、研究するための資料一覧――現代史オンラインより

2022年11月7日、ドイツ語圏の現代史専門ウェブサイト、zeitgeschichte | online(現代史オンライン)に、ホロコーストを記憶し、研究するための資料リストが掲載されました。 Alina Müller, Erinnern an und forschen über den Holocaust. Eine Materialsamm…

ローザ・ルクセンブルク著作集の完全オンライン版公開について

2022年11月8日、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトで、ローザ・ルクセンブルクの著作のオンライン化が完成したというニュースが掲載されました。カール・ディーツ出版社がデジタル版を公表しました。オープンアクセスです。 Luxemburg-Werke jetzt v…

ナチ期ベルリンからの強制移送の道をたどる音声ガイドについて

1941年10月18日、ベルリンからユダヤ系の人びとに対する体系的な強制移送が始まりました。その強制移送の道すじをたどる音声ガイドのウェブサイトを知りまして、リンクを貼っておきます。 Audiowalk: "Ihr letzter Weg" ダウンロードできる音声データ、関連…

ドイツ民主共和国におけるANC(アフリカ民族会議)メンバーの亡命について――近著紹介

ドイツにリット出版社(Lit Verlag)という学術向け出版社があります。今年、その出版社から、『ドイツ民主共和国におけるアフリカ民族会議(ANC)のメンバーの亡命――冷戦期における連帯をめぐるトランスナショナルな交差の歴史』というタイトルの本が刊行さ…

ナチズムと「国民社会主義」概念について――ローザ・ルクセンブルク財団より

2022年10月、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、「ナチズムと『国民社会主義』――二つの基本概念の波乱に満ちた歴史」というオンライン冊子が掲載されました。PDF版を自由にダウンロードできます。 Rüdiger Hachtmann, Nazismus und "Nationalsozi…

フェミニズムと音声・映像資料――ドイツ語圏のレズビアン・女性文書館・図書館・資料館連合組織 i.d.a. より

10月27日は世界視聴覚遺産の日ということで、30以上のレズビアンおよび女性に関する文書館・図書館・資料館の上部組織である i.d.a. (Dachverband deutschsprachiger Lesben-/Frauenarchive, -bibliotheken und -dokumentationsstellen)のホームページに、…

ドイツ連邦文書館を紹介するパンフレット『社会の記憶』オンライン版

ドイツ連邦文書館の活動を紹介するパンフレット『社会の記憶――ドイツ連邦文書館簡解』(2022年)のオンライン版(PDF、フリーダウンロード)を知りましたので、こちらにリンクを貼っておきます。 Bundesarchiv (Hg.), Gedächtnis der Gesellschaft: Das Bund…

女性運動関係文書館・図書館横断検索サイトMETA創設10周記念によせて――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年10月10日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページに、ドイツ語圏を中心に女性運動に関わる文書館・図書館の横断検索サイト META の創設10周年を記念する記事が掲載されました。 META feiert Jubiläum, in: Digitales Deutsches Frauenarchiv, 10…

東ドイツ時代のモードから過去の多様性を問う映画――デジタルドイツ女性アーカイブより

2022年10月6日より、ドイツで上映開始された In einem Land, das es nicht mehr gibt(もう存在しないある国で)の紹介記事が、デジタルドイツ女性アーカイブに掲載されました。 Subkultur & Modeszene: Untypische DDR-Bilder auf großer Kinoleinwand, in:…

ルクセンブルク協定についてのドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示

2022年は「ナチズムの不正の補償」のための国際協定、いわゆる「ルクセンブルク協定」の調印から70周年ということで、ドイツ連邦文書館がヴァーチャル展示を開催しています。 背景説明によれば、ルクセンブルク協定は、1952年9月10日に、ユダヤ系のナチ迫害…

植民地のための権利請願――ブログ・民主主義の歴史(Blog Demokratiegeschichten)より

日常の小さな歴史から民主主義の歴史を確立させることを目的に掲げた、「ブログ・民主主義の歴史(Blog Demokratiegeschichten)」を知りました。リンク先はこちらです。 Blog Demokratiegeschichten 歴史(Geschichte)を複数形にすることで、民主主義が、…

オルガ・ベナリオ・プレステスについて

フェアブレッヒャー出版社の近刊書『オルガ・ベナリオ・プレステス――伝記的アプローチ』を紹介します。 Anita Leocádia Prestes, Olga Benario Prestes: Eine biografiische Annäherung, Berlin: Verbrecher Verlag, 2022. Aus dem Portugiesischen vom Cole…

Mal nach den Rechten schauen――法分野におけるナチ期との連続性を問うポッドキャスト

ドイツの法分野および司法関係者養成におけるナチ期との連続性を問う興味深いドイツ語ポッドキャストを知りました。 Mal nach den Rechten schauen 「右翼/法律をちょっと見てみよう」といった意味です。右翼と法・権利の複数形が同じ die Rechte なので、…

エクスプレス誌について――社会主義的経営・組合事業のためのドイツ語ジャーナル

『エクスプレス――社会主義的経営・組合事業のための新聞』という月刊誌を知りました。 express: Zeitung für sozialistische Betriebs- und Gewerkschaftsarbeit 自己紹介欄によれば、この雑誌は、1962年に前身となる express international が設立され、197…

HerStory――女性史のためのドイツ語ポッドキャスト

以前にこのブログでも、一部の放送を紹介した気がしますが、歴史上の女性を紹介するドイツ語ポッドキャスト、HerStory へのリンクを貼っておきます。 HerStory 最新の放送は、スペイン人征服者コルテスの通訳を担った女性、マリンチェについてです。これまで…

ダッハウ強制収容所とスペイン内戦――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2022年10月26日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、「ダッハウ強制収容所におけるスペイン人収容者――迫害された者たちの視点からの基礎研究」というタイトルの短い書評が掲載されました。 Meerwald: Spanische Häftlinge in Dachau, Göttingen 20…

ベルリンのカール・マルクス通りとハンザ地区の世界文化遺産登録への呼びかけ

冷戦期東ベルリンの大通り、つまり今日のカール・マルクス通り(Karl Marx Allee)と西ベルリンのハンザ地区をユネスコ世界文化遺産に登録しようという呼びかけがあることを知りました。 2022年10月22日、ベルリンのラジオ放送局 rbb Kultur のオンラインサ…

反ユダヤ主義と闘う社会主義――レオ・トロツキーについての近刊書紹介

2022年10月21日、ドイツ語圏の左派系オンライン・メディア nd 紙に、「逃亡ではなく、闘争を」という趣旨で、レオ・トロツキーの反ユダヤ主義への闘争に焦点を当てた論説が掲載されました。 Nathaniel Flakin, Nicht Flucht, sondern Kampf: Mario Keßler er…

ドイツ青年運動についての近刊書――歴史学系書評ジャーナル Sehepunkte より

研究ノートです。ドイツ語圏の歴史学系書評ジャーナル Sehepunkte のウェブサイトに、ドイツ青年運動についての研究書が紹介されました。 Antje Harms, Von linksradikal bis deutschnational: Jungendbewegung zwischen Kaiserreich und Weimarer Republik,…

ウクライナにおける戦争とドイツ記憶文化―― Jacobin 紙より

2022年10月11日、ドイツ語圏の左派系オンライン・ジャーナル、ジャコバン紙に「新たなドイツの戦闘用意か」という趣旨の論説が掲載されました。 Christian Dietrich, Neue deutsche Kampfbereitschaft? in: JACOBIN Magazin, 11. Oktober 2022. ロシアによる…

Lost Woman Art――絵画史を書き直すフェミニズム的ウェブサイト

あるSNSで、シャルロッテ・ザーロモン(Charlotte Salomon, 1917-1943)という女性画家のことを知りました。 ナチ支配から逃れてフランスのコート・ダジュールで亡命生活を送った彼女は、その18ヵ月の間に、1300以上のグワッシュ画を描きました。その略歴と…