浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

2024-01-01から1年間の記事一覧

戦後ドイツにおける人種主義的暴力の過去を問い直す2つのイニシアチブ

このブログでは、1945年以降の東西ドイツにおける人種主義的・排外主義的暴力の過去を検証するさまざまな取り組みを紹介してきました。今回も東西ドイツそれぞれに発生した暴力的な過去を検証・追悼する二つの取り組みを知りましたので、リンクを貼っておき…

反ファシズムと冷戦――近刊書のオープンアクセス

2024年7月、冷戦期のヨーロッパにおける反ファシズムをテーマにした研究書が公刊されました。オープンアクセス版があります。以下に出版社ウェブサイトの該当ページへのリンクを貼っておきます。 Maximilian Becker, Antifaschismus und Kalter Krieg: Die i…

社会学の歴史のなかの女性――Soziopolisの特集ページ

ドイツ語圏の社会学情報ポータルサイト Soziopolis を知りました。 Soziopolis 関連する新刊書評、論説、インタビューのほか、講演原稿や会議報告なども掲載されています。ハンブルク社会研究所(Hamburger Institut für Sozialforschung)のプロジェクトで…

国際歴史学会議関係の国際会議のご案内 "Crossings and Connections: East Asia and the World, c1800-1945" につきまして

以下、宣伝です。 国際歴史学会議(ICHS/CISH)関連の国際会議のご案内 2024年10月25日、東京で、というより日本で、はじめて国際歴史学会議の総会が開催されます。その翌26日に、以下の国際会議が開催されます。 Crossings and Connections: East Asia and …

ドイツ連邦共和国の移民女性についての近刊書評――H-Soz-Kultより

2024年7月29日、ドイツ語圏の歴史系総合ポータルサイト、H-Soz-Kultに、1960ー1990年のヴォルフスブルクへ移住した女性についての研究の書評がアップされました。 Thasia Cäsar: Ungesehen. Weibliche Migration in die Bundesrepublik 1960 bis 1990, in: H…

第一次世界大戦以前のドイツ社会民主党における植民地問題――フリードリヒ・エーベルト財団より

2024年7月25日に、ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団ホームページに、「『万国のプロレタリアよ、団結せよ」』か――ドイツ社会民主主義の植民地問題の論議」というタイトルの論説が掲載されました。1884年のドイツ帝国の植民地獲得による領土…

Historiker*innen-Unconferenceの報告について

2024年6月7-8日にスイスのベルンで、スイス女性歴史家ネットワークが主催した(非?)会議の報告書を知りました。会議のHPへのリンクを貼っておきます。 Historiker*innen-Unconference 2024, in: infoclio.ch その「報告(Bericht)」のタブから、報告を読…

シンポジウム、国際会議情報――Everyday Questions、Deutsche Justiz im (Post)Kolonialismus、ドイツ現代史学会第24回大会

だいぶ投稿が空いてしまいました。 研究メモです。気になった、あるいは教えていただいた学会・国際会議・大会情報を列挙しておきます。 1)Everyday Questions 2024年9月15日デッドラインのCall for Papersしています。 Everyday Questions: Gender, Econom…

ワファ・ムスタファのツァイト紙オンライン版への投稿について

2024年8月11日の朝日新聞デジタルに、インタビュー記事「つながるガザとホロコーストの記憶 ドイツの歴史家論争2.0とは」が掲載されました。また、関連して8月15日付の朝日新聞の文化面に「ドイツ、岐路に立つ『過去の克服』」でも、コメントを載せてもらい…

移民の歴史についての近刊論集 Migrant Actors Worldwide について

研究メモです。 Brill社から移民史についての論文集が公刊されました。以下に出版社のウェブサイトのリンクを貼っておきます。 Dirk Hoerder/Lukas Neissl (eds.), Migrant Actors Worldwide: Capitalist Interests, States Regulations, and Left-Wing Stra…

ミヒャエル・ヴィルト "Volk, Volksgemeinschaft, AfD"(2017年)のオープンアクセス版について

2017年に、ドイツ近現代史研究者のミヒャエル・ヴィルトさんが、人民、国民、民族など文脈によって多義的に訳し分けられる「フォルク(Volk)」概念を、テーマにした本を公刊しました。そのオープンアクセス版を知りました。 出版社のウェブサイトより、同書…

イスラエルとドイツの関係についての近刊書評――ローザ・ルクセンブルク財団より

メモです。 2024年6月19日、ローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、『赦し?――イスラエルとドイツの国是』という本の書評が掲載されました。 Marwecki: Absolution? Israel und die deutsche Staatsräson, Göttingen 2024, in: Rosa-Luxemburg-Stiftu…

地域視点からの1989・1990年の東西ドイツ統一の歴史について

2024年6月20日、ドイツ語圏の歴史学の総合ポータルサイト H-Soz-Kult に、「転換を脱中心化する」というタイトルで、地域の視点から1989・1990年のベルリンの壁崩壊から統一までの体制移行の歴史を検討するシンポジウムについてのレポートがアップされました…

1945年以降の右翼テロリズムを想起する展示――ナチ記録センター・ミュンヒェンより

2024年4月18日から7月28日まで、ナチ記録センター・ミュンヒェンで、「右翼テロリズム――1945年から今日まで」が開催されていることを知りました。 Rechtsterrorismus, in: NS-Dokumentationszentrum München. 上記のリンクをスクロールしていくと、展示の紹…

ドイツ民主共和国期工場経営における性差別についての書評

sehepunkte(視点、観点の意)というドイツ語圏の歴史学におけるオンライン書評ジャーナルの2024年第6号に、ヘンリケ・フォークトレンダーさんの近著についての書評が掲載されました。テーマはドイツ民主共和国期の工場経営にみられた性差別についてです。 H…

フライブルクのフェミニズム文書館について

2024年2月19日、taz紙のオンライン版にフライブルクのフェミニズム文書館で活動する歴史家カサンドラ・ハンメルさんを取り上げた記事が掲載されました。 Johanna Treblin: Der Hausbesuch. Nicht Mitglied, sondern „Mitklit“, in: taz, 19. Februar 2024. …

移民流入国としてのドイツ連邦共和国――ローザ・ルクセンブルク財団より

2024年5月20日、「移入国ドイツ連邦共和国――移民社会において争われた民主主義75年」というタイトルの論説が、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページに掲載されました。 Massimo Perinelli: Einwanderungsland BRD. 75 Jahre umkämpfte Demokratie in ei…

日本学術会議「法人化」問題シンポジウムについて

2024年7月27日(土)に「日本学術会議の法人化は社会と学問をどう変えるのか」が早稲田大学で、オンライン併用形式で開催されます。詳細は大学フォーラムのXアカウントよりこちらからどうぞ。 【ご案内】共同企画シンポジウム 「日本学術会議の法人化は社会…

バウハウスと成人教育についてのオープンアクセスの論文集

とくにバウハウスにそれほど関心があるわけではないのですが、このブログでたびたびとりあげるテーマですね。 今回は、成人教育、なかでも「改革教育学(Reformpädagogik)」、労働者運動との関係がテーマです。 Anke Grotlüschen/Anette Richter-Boisen (Hg…

『社会史年報』第63巻特集「1945年以降の極右」について

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が出版している学術誌『社会史年報(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻は「1945年以降の極右」です。リンクを貼っておきます。 Rechtsextremismus nach 1945, in: Archiv für Sozialgeschichte, Bd.…

2023年11月時点での中東紛争についてのドイツ世論調査

ドイツ連邦政府のイスラエル政策と今回のガザ紛争へのドイツ世論の反応について、何らかのデータを知りたいと思いまして、色々と検索していたら、2023年11月23日に公表されたアレンスバッハ世論調査研究所(Institut für Demoskopie Allensbach)の「中東紛…

マイ・アイムの「下からのコスモポリタニズム」――History Workshopより

先日、第40回日本ドイツ学会大会シンポジウムで報告してきました。「植民地主義、ホロコースト、想起の文化――いま『負の歴史』にいかに向き合うか」というものです。 そこで、マイ・アイム(May Ayim)について触れましたが、報告を準備している過程で、Hist…

ドイツ社会民主党系労働組合のポッドキャスト「歴史は作られる」――ハンス=ベックラー財団ウェブサイトより

以前にこのブログで、ハンス・ベックラー財団が提供する労働組合の歴史についてのポータルサイトを紹介したことがあります。 「ドイツ労働組合の歴史についてのポータルサイト」浅田進史研究室/歴史学ブログ、2021年4月9日 その財団が提供するウェブサイト …

B.テイラー「E.P.トムスンと『女性問題』」――History Workshopより

2024年5月14日、バーバラ・テイラーさんが、"E. P. Thompson and the 'Woman Problem'"という論説を、History Workshopのウェブサイトで発表しました。 Barbara Taylor, "E. P. Thompson and the ‘Woman Problem’," History Workshop, 14. May 2024. この論…

I.G.ファルベンとブーナ=モノヴィッツ強制収容所――ニュルンベルク裁判記念館展示より

「記念館フォーラム(Gedenkstättenforum)」というウェブサイトの新着情報で、2024年6月18日に『ニュルンベルガー・ナーハリヒテン』紙に掲載された、「ニュルンベルク記念館展示――I.G.ファルベンとブーナ=モノヴィッツ強制収容所」というタイトルの記事…

ザクセンのライヒスビュルガーについてのハンドブック

1998年に設立されたアマデウ・アントニオ財団のホームぺージに、『帝国なき市民――ザクセンのライヒスビュルガー(帝国市民)のミリュー』と題したハンドブックが公表されました。 紹介ページのリンクはこちらです。 Bürger*innen ohne Reich, in: Amadeu Ant…

イスラエル・ガザ戦争とドイツにおける学問の自由・言論の自由について

ガザ戦争へのドイツ連邦政府によるイスラエルへの関与に抗議した、ベルリン自由大学での抗議活動のキャンプ撤去以降、学問の自由・言論の自由をめぐって、いくつか気になる声明や記事をピックアップしてみました。 もちろん網羅的ではなく、備忘録的なもので…

1980年代のドイツ連邦共和国における母親センター運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し以前の記事ですが、2024年2月12日にデジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「母親センター運動へのスポットライト――モニカ・イェッケルの遺稿」という記事が掲載されました。 Lisa Schug, Spotlight auf die Mütterzentrumsbewegung: Der Nachl…

ベルリンと反アパルヘイト闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ出身者に関する展示会について

2024年は南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の終焉から30年であり、またアフリカ分割で知られるベルリン会議から140年になります。それに関連して、「闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ人(1884-1994年) 反植民地抵抗110年」という展示会が、5月9日…

インゲボルク・ガイスラーについて――ドイツ民主共和国期キリスト教平和運動の女性芸術家

2024年1月25日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代のキリスト教平和運動のなかで積極的に活動した女性芸術家、インゲボルク・ガイスラー(1941-2020年)について紹介する記事が掲載されました。 Ingeborg Geißler: Ein L…