浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

2024-01-01から1年間の記事一覧

1945年以降の右翼テロリズムを想起する展示――ナチ記録センター・ミュンヒェンより

2024年4月18日から7月28日まで、ナチ記録センター・ミュンヒェンで、「右翼テロリズム――1945年から今日まで」が開催されていることを知りました。 Rechtsterrorismus, in: NS-Dokumentationszentrum München. 上記のリンクをスクロールしていくと、展示の紹…

ドイツ民主共和国期工場経営における性差別についての書評

sehepunkte(視点、観点の意)というドイツ語圏の歴史学におけるオンライン書評ジャーナルの2024年第6号に、ヘンリケ・フォークトレンダーさんの近著についての書評が掲載されました。テーマはドイツ民主共和国期の工場経営にみられた性差別についてです。 H…

フライブルクのフェミニズム文書館について

2024年2月19日、taz紙のオンライン版にフライブルクのフェミニズム文書館で活動する歴史家カサンドラ・ハンメルさんを取り上げた記事が掲載されました。 Johanna Treblin: Der Hausbesuch. Nicht Mitglied, sondern „Mitklit“, in: taz, 19. Februar 2024. …

移民流入国としてのドイツ連邦共和国――ローザ・ルクセンブルク財団より

2024年5月20日、「移入国ドイツ連邦共和国――移民社会において争われた民主主義75年」というタイトルの論説が、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページに掲載されました。 Massimo Perinelli: Einwanderungsland BRD. 75 Jahre umkämpfte Demokratie in ei…

日本学術会議「法人化」問題シンポジウムについて

2024年7月27日(土)に「日本学術会議の法人化は社会と学問をどう変えるのか」が早稲田大学で、オンライン併用形式で開催されます。詳細は大学フォーラムのXアカウントよりこちらからどうぞ。 【ご案内】共同企画シンポジウム 「日本学術会議の法人化は社会…

バウハウスと成人教育についてのオープンアクセスの論文集

とくにバウハウスにそれほど関心があるわけではないのですが、このブログでたびたびとりあげるテーマですね。 今回は、成人教育、なかでも「改革教育学(Reformpädagogik)」、労働者運動との関係がテーマです。 Anke Grotlüschen/Anette Richter-Boisen (Hg…

『社会史年報』第63巻特集「1945年以降の極右」について

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が出版している学術誌『社会史年報(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻は「1945年以降の極右」です。リンクを貼っておきます。 Rechtsextremismus nach 1945, in: Archiv für Sozialgeschichte, Bd.…

2023年11月時点での中東紛争についてのドイツ世論調査

ドイツ連邦政府のイスラエル政策と今回のガザ紛争へのドイツ世論の反応について、何らかのデータを知りたいと思いまして、色々と検索していたら、2023年11月23日に公表されたアレンスバッハ世論調査研究所(Institut für Demoskopie Allensbach)の「中東紛…

マイ・アイムの「下からのコスモポリタニズム」――History Workshopより

先日、第40回日本ドイツ学会大会シンポジウムで報告してきました。「植民地主義、ホロコースト、想起の文化――いま『負の歴史』にいかに向き合うか」というものです。 そこで、マイ・アイム(May Ayim)について触れましたが、報告を準備している過程で、Hist…

ドイツ社会民主党系労働組合のポッドキャスト「歴史は作られる」――ハンス=ベックラー財団ウェブサイトより

以前にこのブログで、ハンス・ベックラー財団が提供する労働組合の歴史についてのポータルサイトを紹介したことがあります。 「ドイツ労働組合の歴史についてのポータルサイト」浅田進史研究室/歴史学ブログ、2021年4月9日 その財団が提供するウェブサイト …

B.テイラー「E.P.トムスンと『女性問題』」――History Workshopより

2024年5月14日、バーバラ・テイラーさんが、"E. P. Thompson and the 'Woman Problem'"という論説を、History Workshopのウェブサイトで発表しました。 Barbara Taylor, "E. P. Thompson and the ‘Woman Problem’," History Workshop, 14. May 2024. この論…

I.G.ファルベンとブーナ=モノヴィッツ強制収容所――ニュルンベルク裁判記念館展示より

「記念館フォーラム(Gedenkstättenforum)」というウェブサイトの新着情報で、2024年6月18日に『ニュルンベルガー・ナーハリヒテン』紙に掲載された、「ニュルンベルク記念館展示――I.G.ファルベンとブーナ=モノヴィッツ強制収容所」というタイトルの記事…

ザクセンのライヒスビュルガーについてのハンドブック

1998年に設立されたアマデウ・アントニオ財団のホームぺージに、『帝国なき市民――ザクセンのライヒスビュルガー(帝国市民)のミリュー』と題したハンドブックが公表されました。 紹介ページのリンクはこちらです。 Bürger*innen ohne Reich, in: Amadeu Ant…

イスラエル・ガザ戦争とドイツにおける学問の自由・言論の自由について

ガザ戦争へのドイツ連邦政府によるイスラエルへの関与に抗議した、ベルリン自由大学での抗議活動のキャンプ撤去以降、学問の自由・言論の自由をめぐって、いくつか気になる声明や記事をピックアップしてみました。 もちろん網羅的ではなく、備忘録的なもので…

1980年代のドイツ連邦共和国における母親センター運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し以前の記事ですが、2024年2月12日にデジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「母親センター運動へのスポットライト――モニカ・イェッケルの遺稿」という記事が掲載されました。 Lisa Schug, Spotlight auf die Mütterzentrumsbewegung: Der Nachl…

ベルリンと反アパルヘイト闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ出身者に関する展示会について

2024年は南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の終焉から30年であり、またアフリカ分割で知られるベルリン会議から140年になります。それに関連して、「闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ人(1884-1994年) 反植民地抵抗110年」という展示会が、5月9日…

インゲボルク・ガイスラーについて――ドイツ民主共和国期キリスト教平和運動の女性芸術家

2024年1月25日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代のキリスト教平和運動のなかで積極的に活動した女性芸術家、インゲボルク・ガイスラー(1941-2020年)について紹介する記事が掲載されました。 Ingeborg Geißler: Ein L…

ドイツの「知のネットワーク・極右研究」WI-rexについて

現実の政治社会状況を反映して、ドイツで極右研究がさかんになっていますが、Wissensnetzwerk Rechtsextremismusforschung(知のネットワーク・極右研究、 WI-rex)というウェブサイトを知りました。 WI-rex ドイツ各地の極右研究の拠点がマップ化され、それ…

労働運動史関係文書館・図書館支援サークルの会報第65号について

ドイツ語圏の労働運動史関係文書館・図書館の支援団体、Förderkreis Archive und Bibliotheken zur Geschichte der Arbeiterbewegung e.V. (労働運動史関係文書館・図書館支援サークル)の会報第65号がオンラインで公刊されました。 Mitteilungen/Debatte …

アイデンティティ・ポリティクスとしてのドイツ歴史建造物――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトの書評より

ちょっと興味がわいたので、ここにメモしておきます。 2024年5月2日にローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、"Bauen am nationalen Haus: Architektur als Identitätspolitik(国民の家を建てる――アイデンティティ・ポリティクスとしての建築)"とい…

IGメタルのナチズムからの解放70年――同時代証言プロジェクトのYouTube動画

ちょっとしたことから、IGメタルの同時代証言プロジェクト「始まりからの記憶」というYouTube動画を知りました。 Zeitzeugenprojekt: "Vom Erinnern an den Anfang", in: YouTube, 6. November 2015. この動画は、ナチズムからの解放から70年を経て、IGメタ…

ドイツ植民地における抑圧と抵抗――ドイツ連邦文書館より

2024年4月23日にドイツ連邦文書館のウェブサイトから、プレスリリースが公表されました。ドイツ連邦文書館の新しい出版シリーズとして "Im Fokus(焦点に、の意)" が始まるとのことです。その最初の出版物が、『「この問題は持ちこたえられない」――ドイツ植…

ジェンダー・ペイ・ギャップの歴史と現在についてのドイツ語論文集

研究メモです。 2023年11月、ディーツ出版社より、ジェンダー・ペイ・ギャップの歴史と現在についての論文集が出版されました。 Wiebke Wiede / Johanna Wolf / Rainer Fattmann (Hg.), Gender Pay Gap, Bonn: J.H.W. Dietz Nachf., 2023. 研究だけではなく…

ナチ司法の不正の検証についての歴史――ターゲスシュピーゲル紙より

2024年4月19日のTagesspiegel紙オンライン版で、「法学史――ナチ不正の時効に抗う競争」というタイトルの記事が掲載されました。 Jochen Staadt, Rechtsgechichte: Ein Rennen gegen die Zeit und die Verjährung, in: Tagesspiegel, 19. April 2024. 最初の…

ヘンリエッテ・オーバーミュラー=ヴェネダイについて――ドイツ連邦文書館より

ドイツ連邦文書館では、2023年から1848・49年革命の125周年という企画を継続的に進めていますが、ヘンリエッテ・オーバーミュラー=ヴェネダイという女性運動家を取り上げる講演が、2024年4月18日に開催されました。 Henriette Obermüller-Venedey (1817-189…

フェミニズム文書館が始める長期の史料保存について――デジタルドイツ女性アーカイブより

これもだいぶ経ってしまった記事ですが、2023年11月22日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ語圏のフェミニズム関連文書館がデジタル化による長期の史料保存プロジェクトを開始するという案内が掲載されました。 Susanne Knoblich (Hele…

ワルシャワ・ゲットーでの抵抗運動とある少女の経験についての本

メモです。 ローザ・ルクセンブルク財団のSNSの案内で、2023年に『炎のなかの若者――ワルシャワ・ゲットーにおける少女の抵抗と生存闘争』というタイトルの本について知りました。もとは2015年に出版された英語の本のドイツ語訳です。 Aliza Vitis-Shomron, J…

「再移民」概念についての批判的な歴史学に向けて――ローザ・ルクセンブルク財団テューリンゲン局より

研究メモです。 2024年4月5日、ローザ・ルクセンブルク財団のテューリンゲン局より、「再移民(Remigration)」という概念の歴史的な展開について討論したYouTube動画がアップされました。 Kritische Geschichte des Begriffs "Remigration" - Annegret Schü…

ドイツ民主共和国の女性作家を新/再発見する――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し前の記事ですが、2023年12月22日と29日に、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代の3人の女性作家を紹介する記事が相次いで掲載されました。以下にリンクを貼っておきます。 Reimann, Wander, Morgner: Autorinnenschaft …

世界革命の旅行者と苦い泉――ローザ・ルクセンブルク財団の討論会動画

2024年3月12日、ローザ・ルクセンブルク財団が主催となって、以下の2冊にの著者を交えた討論会が開催されました。 Brigitte Studer, Reisende der Weltrevolution: Eine Globalgeschichte der Kommunistischen Internationale, Berlin: Suhrkamp, 2020. Regi…