浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|戦後史・冷戦史・現代史

第二次世界大戦後ドイツにおける女性の平和運動――デジタルドイツ女性アーカイブより

2024年8月8日、デジタルドイツ女性アーカイブ(DDF)のホームページに、第二次世界大戦後のドイツ平和運動に取り組んだ女性活動家ゲルダ・ヴェーバー(1923-2021年)が遺した資料を整理するDDFプロジェクトを紹介する記事が掲載されました。 Barbara Krautw…

ドイツ連邦文書館の歴史ギャラリー

これまでドイツ連邦文書館のヴァーチャル展示など紹介してきましたが、「歴史ギャラリー」と題されたウェブページをみつけました。 Geschichtsgalerien, in: Bundesarchiv 直近のテーマは、ナチズムに対する「抵抗の闘士」であり、最初に処刑された女性リー…

2024年の第59回リンツ会議「デジタル労働の世界」について

2024年9月26-28日に開催された第59回労働運動史家国際会議、通称リンツ会議のテーマは、「デジタル労働の世界」でした。リンクを貼っておきます。 59th ITH Conference: Worlds of Digital Labour, in: ITH - Internationale Tagung der HistorikerInnen de…

1960-1980年代の小児性愛・児童虐待をめぐる議論へのインタビュー記録保存の取り組み――デジタルドイツ女性アーカイブより

2024年6月27日、デジタルドイツ女性アーカイブより、同機関が1年間助成する「沈黙された暴力――当事者保護のための闘い」という研究プロジェクトの紹介が公表されました。 Berti Schallner, Verschwiegene Gewalt: Der Kampf für Betroffenenschutz, in: Digi…

デジタルドイツ女性アーカイブのオードリー・ロード紹介

2024年2月21日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページの女性活動家紹介欄に、アメリカ合州国の作家・詩人であり、フェミニスト・人権活動家として著名なオードリー・ロードが掲載されました。 Marion Kraft, Audre Lorde, in: Digitales Deutsches Fr…

帝政期から冷戦期にいたるまでのドイツ政治・行政エリートのプロフィールとキャリア形成――オープンアクセスの近刊書

ドイツ連邦文書館のホームページに、帝政期以降のドイツの政治・行政エリート層の社会的プロフィールとキャリア形成の過程について分析した研究書がアップされました。ナチ期にとくに着目しているとのことです。オープンアクセスです。 Sylvia Veit, Politis…

忘却に抗う移民史ブログについて

Gegen Vergessen – Für Demokratie e. V.(忘却に反対―民主主義に賛成)という団体のブログ「移民史(Migrationsgeschichten)」を知りました。リンクを貼っておきます。 Migrationsgeschichten - Ein Blog von Gegen Vergessen e. V. たくさんの興味深い投…

「神話の代わりに歴史を」――テューリンゲンの歴史修正主義を記録するウェブサイト

2024年8月、ドイツ東部テューリンゲン州の歴史修正主義を記録するウェブサイトが開設されました。とくに、AfDをはじめとしたホロコーストの矮小化・歪曲に対抗することが意図されています。 Geschichte Statt Mythen ブログ、地図によるテューリンゲン州での…

ブレーメンでの植民地ジェノサイドへの追悼と「植民地的現在」――taz紙より

2024年8月12日、ドイツの左派系新聞、taz紙より "Koloniale Gegenwart(植民地的現在)"という記事が掲載されました。 Benno Schirrmeister, Gedenken an Völkermord: Koloniale Gegenwart, in: taz, 12. August 2024. リード文では、120年前にナミビアでド…

戦後ドイツにおける人種主義的暴力の過去を問い直す2つのイニシアチブ

このブログでは、1945年以降の東西ドイツにおける人種主義的・排外主義的暴力の過去を検証するさまざまな取り組みを紹介してきました。今回も東西ドイツそれぞれに発生した暴力的な過去を検証・追悼する二つの取り組みを知りましたので、リンクを貼っておき…

反ファシズムと冷戦――近刊書のオープンアクセス

2024年7月、冷戦期のヨーロッパにおける反ファシズムをテーマにした研究書が公刊されました。オープンアクセス版があります。以下に出版社ウェブサイトの該当ページへのリンクを貼っておきます。 Maximilian Becker, Antifaschismus und Kalter Krieg: Die i…

ミヒャエル・ヴィルト "Volk, Volksgemeinschaft, AfD"(2017年)のオープンアクセス版について

2017年に、ドイツ近現代史研究者のミヒャエル・ヴィルトさんが、人民、国民、民族など文脈によって多義的に訳し分けられる「フォルク(Volk)」概念を、テーマにした本を公刊しました。そのオープンアクセス版を知りました。 出版社のウェブサイトより、同書…

イスラエルとドイツの関係についての近刊書評――ローザ・ルクセンブルク財団より

メモです。 2024年6月19日、ローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、『赦し?――イスラエルとドイツの国是』という本の書評が掲載されました。 Marwecki: Absolution? Israel und die deutsche Staatsräson, Göttingen 2024, in: Rosa-Luxemburg-Stiftu…

地域視点からの1989・1990年の東西ドイツ統一の歴史について

2024年6月20日、ドイツ語圏の歴史学の総合ポータルサイト H-Soz-Kult に、「転換を脱中心化する」というタイトルで、地域の視点から1989・1990年のベルリンの壁崩壊から統一までの体制移行の歴史を検討するシンポジウムについてのレポートがアップされました…

1945年以降の右翼テロリズムを想起する展示――ナチ記録センター・ミュンヒェンより

2024年4月18日から7月28日まで、ナチ記録センター・ミュンヒェンで、「右翼テロリズム――1945年から今日まで」が開催されていることを知りました。 Rechtsterrorismus, in: NS-Dokumentationszentrum München. 上記のリンクをスクロールしていくと、展示の紹…

ドイツ民主共和国期工場経営における性差別についての書評

sehepunkte(視点、観点の意)というドイツ語圏の歴史学におけるオンライン書評ジャーナルの2024年第6号に、ヘンリケ・フォークトレンダーさんの近著についての書評が掲載されました。テーマはドイツ民主共和国期の工場経営にみられた性差別についてです。 H…

移民流入国としてのドイツ連邦共和国――ローザ・ルクセンブルク財団より

2024年5月20日、「移入国ドイツ連邦共和国――移民社会において争われた民主主義75年」というタイトルの論説が、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページに掲載されました。 Massimo Perinelli: Einwanderungsland BRD. 75 Jahre umkämpfte Demokratie in ei…

『社会史年報』第63巻特集「1945年以降の極右」について

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が出版している学術誌『社会史年報(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻は「1945年以降の極右」です。リンクを貼っておきます。 Rechtsextremismus nach 1945, in: Archiv für Sozialgeschichte, Bd.…

マイ・アイムの「下からのコスモポリタニズム」――History Workshopより

先日、第40回日本ドイツ学会大会シンポジウムで報告してきました。「植民地主義、ホロコースト、想起の文化――いま『負の歴史』にいかに向き合うか」というものです。 そこで、マイ・アイム(May Ayim)について触れましたが、報告を準備している過程で、Hist…

ザクセンのライヒスビュルガーについてのハンドブック

1998年に設立されたアマデウ・アントニオ財団のホームぺージに、『帝国なき市民――ザクセンのライヒスビュルガー(帝国市民)のミリュー』と題したハンドブックが公表されました。 紹介ページのリンクはこちらです。 Bürger*innen ohne Reich, in: Amadeu Ant…

1980年代のドイツ連邦共和国における母親センター運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し以前の記事ですが、2024年2月12日にデジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「母親センター運動へのスポットライト――モニカ・イェッケルの遺稿」という記事が掲載されました。 Lisa Schug, Spotlight auf die Mütterzentrumsbewegung: Der Nachl…

ベルリンと反アパルヘイト闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ出身者に関する展示会について

2024年は南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の終焉から30年であり、またアフリカ分割で知られるベルリン会議から140年になります。それに関連して、「闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ人(1884-1994年) 反植民地抵抗110年」という展示会が、5月9日…

インゲボルク・ガイスラーについて――ドイツ民主共和国期キリスト教平和運動の女性芸術家

2024年1月25日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代のキリスト教平和運動のなかで積極的に活動した女性芸術家、インゲボルク・ガイスラー(1941-2020年)について紹介する記事が掲載されました。 Ingeborg Geißler: Ein L…

アイデンティティ・ポリティクスとしてのドイツ歴史建造物――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトの書評より

ちょっと興味がわいたので、ここにメモしておきます。 2024年5月2日にローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、"Bauen am nationalen Haus: Architektur als Identitätspolitik(国民の家を建てる――アイデンティティ・ポリティクスとしての建築)"とい…

IGメタルのナチズムからの解放70年――同時代証言プロジェクトのYouTube動画

ちょっとしたことから、IGメタルの同時代証言プロジェクト「始まりからの記憶」というYouTube動画を知りました。 Zeitzeugenprojekt: "Vom Erinnern an den Anfang", in: YouTube, 6. November 2015. この動画は、ナチズムからの解放から70年を経て、IGメタ…

ナチ司法の不正の検証についての歴史――ターゲスシュピーゲル紙より

2024年4月19日のTagesspiegel紙オンライン版で、「法学史――ナチ不正の時効に抗う競争」というタイトルの記事が掲載されました。 Jochen Staadt, Rechtsgechichte: Ein Rennen gegen die Zeit und die Verjährung, in: Tagesspiegel, 19. April 2024. 最初の…

ドイツ民主共和国の女性作家を新/再発見する――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し前の記事ですが、2023年12月22日と29日に、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代の3人の女性作家を紹介する記事が相次いで掲載されました。以下にリンクを貼っておきます。 Reimann, Wander, Morgner: Autorinnenschaft …

世界革命の旅行者と苦い泉――ローザ・ルクセンブルク財団の討論会動画

2024年3月12日、ローザ・ルクセンブルク財団が主催となって、以下の2冊にの著者を交えた討論会が開催されました。 Brigitte Studer, Reisende der Weltrevolution: Eine Globalgeschichte der Kommunistischen Internationale, Berlin: Suhrkamp, 2020. Regi…

ハンブルクの女性移民の「抵抗の歴史」について――デジタルドイツ女性アーカイブより

2023年11月27日に、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「抵抗の(諸)歴史」というタイトルの論説が掲載されました。 Cäcilia Maag, Geschichte(n) des Widerstands, in: Digitales Deutsches Frauenarchiv, 27. November 2023. リード文では、…

「下からの反ファシズム」特集――Partecipazione e Conflittoより

イタリアの社会科学・政治学系のジャーナル、Partecipzione e Conflitto の第17巻第1号(2024年)に「下からの反ファシズム」という特集が組まれました。ちょっと興味がわきましたので、リンクを貼っておきます。 Partecipazione e Conflitto, Vol. 17, No. …