浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|戦後史・冷戦史・現代史

1945年以降のハンブルクにおける右翼の暴力を記録するウェブサイト

「1945年以降のハンブルクにおける右翼の暴力」というウェブサイトを知りました。リンクを貼っておきます。 Rechte Gewalt in Hamburg 「地図」、「年表」、「テーマ」、「用語集」の項目が立てられ、それぞれのページで整理されています。 "Hamburg rechtsa…

創設から1990年までのドイツ連邦憲法裁判所の訴訟資料が利用可能に

かなり以前のニュースですが、2023年9月11日にドイツ連邦文書館のプレスリリースで、ドイツ連邦憲法裁判所に関する、1951年の創設から1990年までの期間の訴訟資料が利用可能になったことが発表されました。 Verfahrensakten des Bundesverfassungsgerichts v…

ブレーメン・アフリカ資料館の検証作業終了報告書について

ブレーメン大学のワーキンググループ「ブレーメンの植民地史と現在(Bremens koloniale Geschichte & Gegenwart | Bremen's Colonial History Working Group)」というホームぺージに、ブレーメン・アフリカ資料館(Bremer Afrika Archiv)の収蔵物を検証す…

21世紀のグローバルな記憶を議論するドイツ語新刊書について

研究メモです。 2023年10月に、21世紀におけるグローバルな記憶文化を議論する新刊書が出ました。出版社のウェブサイトからの紹介ページをリンクしておきます。 Mirjam Zadoff: Gewalt und Gedächtnis. Globale Erinnerung im 21. Jahrhundert, München: Han…

左翼、近東紛争、反ユダヤ主義についての解説付き文献目録――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2014年にローザ・ルクセンブルク財団の 「分析(Analysen)」 シリーズの一冊として、ペーター・ウルリヒさんによる『左翼、近東紛争、反ユダヤ主義――一つの論争を通じた道案内』という解説つき文献目録の第3版が公刊されました。オンライン版のみでオープン…

東ベルリンの環境図書館について

東ベルリンにある環境図書館(Umwelt-Bibliothek)のホームぺージを知りました。 Die Ostberliner Umwelt-Bibliothek この図書館は、1986年に設立されたとのことです。それから12年の間、この図書館は、左派のドイツ民主共和国反対派の待ち合わせ場所、図書…

1945年以降の極右――Archiv für Sozialgeschichteより

社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が刊行する年報『社会史アーカイヴ(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻(2023年)は、「1945年以降の極右」特集です。 リンクを貼っておきます。 Archiv für Sozialgeschichte - Aktuelle Bände 巻頭論文…

フーアマン『共同決定の歴史のなかの女性』――オープンアクセスの近刊書について

ドイツ労使関係における共同決定の歴史について、女性に焦点を当てた本を知りました。フーゴ・ズィンツハイマー労働・社会法研究所のシリーズの一冊でして、以下にリンクを貼っておきます。オープンアクセスになっています。 Uwe Fuhrmann, Frauen in der Ge…

1945年以降のドイツにおける極右についての連続講演――ハンブルク現代史研究所より

2023年10月19日より、ハンブルク現代史研究所では、"Mehr als eine Randnotiz. Die extreme Rechte nach 1945(欄外の注より以上の――1945年以降の極右)"という題の連続講演が開催されていることを知りました。主催者による企画趣旨についてのリンクを貼って…

ドイツ民主共和国期の労働現場における性差別について――ドイツ連邦政治教育センターより

2023年10月4日、Deutschland Archiv (ドイツ・アーカイブ)オンライン版に、ドイツ民主共和国の工業経営における性差別の問題を取り上げた論説が掲載されました。 Henrike Voigtländer, Sexismus unter gleichberechtigten Werktätigen: Geschlecht und Her…

50年前のドイツ労働総同盟の不一致決議について――フリードリヒ・エーベルト財団ブログより

2023年9月29日に、フリードリヒ・エーベルト財団のブログで、「寛容の限界――ドイツ労働総同盟の不一致決議50年」という記事が掲載されました。 Marcel Bois/ Alexandra Jaeger, Die Grenzen der Toleranz: 50 Jahre Unvereinbarkeitsbeschlüsse des DGB, in:…

経営トップに占める女性の割合についての東西ドイツ比較――ターゲスシャウより

2023年7月25日、北ドイツ放送が制作し、第1ドイツテレビジョン(Der Erste)で放映されるターゲスシャウ(tagesschau)のホームぺージに、「西ドイツよりも東ドイツに多い女性上司」という番組の内容を説明する記事を知りました。 Warum gibt es im Osten me…

メルン、1992年――現在の歴史より

体調を崩してしばらく寝込んでいました。ようやく少しずつ日常に戻りつつあります。このブログも無理しすぎずに更新していきたいと思います。 だいぶ前の記事ですが、2022年11月23日に、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「メルン、1992年――暴力と…

ドイツ民主共和国におけるユダヤ――ベルリン・ユダヤ博物館の展示について

ベルリン・ユダヤ博物館で2024年1月14日まで、ドイツ民主共和国におけるユダヤ系の人びとの経験をテーマにした展示会が開催されています。 Ein anderes Land, in: Jüdisches Museum Berlin タイトルをどう訳すかは悩みますね。「(かつてと)違う国を」あた…

偽造されたヒトラー日記についてのドイツ連邦文書館ヴァーチャル展示

2023年4月24日、メディア事業を展開するベルテルスマン社は、偽造された『ヒトラー日記』をドイツ連邦文書館に引き渡す、とのプレスリリースを発表しました。同社のプレスリリースはこちら。 Bertelsmann wird gefälschte „Hitler-Tagebücher“ an das Bundes…

アパルトヘイトに抗議したドイツ福音主義女性運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

2023年5月22日、デジタルドイツ女性アーカイブに「連帯からボイコットへ」と題した短い論説が掲載されました。こちらは、1978年に始まった、ドイツ福音主義女性事業(Evangelische Frauenarbeit in Deutschland、略称EFD)のプロジェクト・グループ「南アフ…

アナ・ハーク(Anna Haag)について

ローザ・ルクセンブルク財団のSNSで、2023年7月10日がアナ・ハーク(Anna Haag)生誕135周年ということを知りました。アナ・ハークさんは、ドイツ語圏の女性の伝記をまとめているウェブサイト、FemBioでは、ジャーナリスト、作家、政治家、平和活動家として…

いかにナチ富豪が戦後ドイツでさらに豊かになったのか――Jacobin誌より

だいぶ前になりましたが、2023年1月10日、ドイツの左派系メディア、Jacobin誌に「どのようにナチ億万長者が戦後ドイツでさらに豊かになったのか」という記事が掲載されました。 Wie Nazi-Milliardäre im Nachkriegsdeutschland noch reicher wurden, in: JAC…

移民視点の東ドイツ史図像記録――De-Zentralbildより

移民視点からドイツ民主共和国史の記憶を作ろうとするウェブサイト、De-Zentralbild (脱中心的イメージの意)を知りました。 De-Zentralbild – Migrant:innen in der DDR このトップページでは、私的な写真や記憶を記録することで、ドイツ民主共和国の図像…

Twentieth Century Communismの反人種主義・反植民地主義特集(2023年第24号)

Twentieth Century Communism という学術誌の第24号(2023年)が公刊されまして、「コミンテルン時代における共産主義反人種主義・反植民地主義」特集です。 "Communist anti-racism and ant-colonialism in the Comintern era," Twentieth Century Communis…

ローザ・ルクセンブルク財団歴史ポッドキャスト第23回「1945年以降の極右」について

ローザ・ルクセンブルク財団の歴史ポッドキャスト Rosalux History の第23回放送が同ホームページにアップされています。今回は、「1945年以降の極右――選挙政党から右翼テロリズムまで」です。リンク先はこちら。 Rosalux History, in: Rosa-Luxemburg-Stift…

いかに戦後西ドイツの歴史学界が米国亡命歴史家のホロコースト研究に抵抗したか――『南ドイツ新聞』より

2023年6月25日に『南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeiung)』のオンライン版に、「部外者の正確なまなざし(Der präzise Blick der Außenseiter)」というタイトルの記事が掲載されました。 Probst Robert, Holocaust-Forschung nach 1945: Präziser Blick der A…

『歴史家論争2.0』、『ムベンべの彼方』へのH-Soz-Kult掲載書評

2023年6月15日、ドイツ語圏の歴史学総合ポータルサイト、H-Soz-Kultに、以下の2冊についての書評が掲載されました。 Neiman, Susan/ Michael Wildt (Hrsg.): Historiker streiten. Gewalt und Holocaust – die Debatte. Berlin: Propyläen Verlag, 2022. Böc…

旧東ドイツ・アイデンティティと左派政治――ローザ・ルクセンブルク財団評論誌『ルクセンブルク』より

2023年5月、ローザ・ルクセンブルク財団の評論誌 Luxembuerg: Gesellschaftsanalyse und linke Praxis に、ドイツ民主共和国、つまり旧東ドイツ出身であることのアイデンティティが左派の政治にどのようなインスピレーションを与えるか、というテーマの対談…

グリゴリス・ランブラキスについて――ローザ・ルクセンブルク財団より

ギリシャ現代史に関心がありまして、2023年5月25日、ローザ・ルクセンブルク財団ホームページに、グリゴリス・ランブラキス(1912-1963年)の足跡をたどる論説が掲載されましたので、リンクを貼っておきます。 Evi Gkotzaridis, "When Feelings Precede Tho…

ドイツにおける難民政策についての歴史的位置について――Geschichte der Gegenwartより

2023年5月24日、ドイツ語圏の現代史をテーマとしたウェブサイト、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「『難民妥協』――現在の調停の試みの歴史的位置づけ」というタイトルの論説が掲載されました。 Stefan Zeppenfeld, Der „Asylkompromiss“. Histor…

マリア・ミースの追悼記事について

2023年5月15日、日本でも『国際分業と女性――進行する主婦化』(奥田暁子訳、日本経済評論社、1997年)や共著の『世界システムと女性』(古田睦美・善本裕子訳、藤原書店、1995年)で知られる、マリア・ミースさんが亡くなりました。 エラスムス・ロッテルダ…

ドイツのストライキと移民、1973-2023年――ローザ・ルクセンブルク財団より

ローザ・ルクセンブルク財団ノルトライン=ヴェストファーレン支局は、2023年8月から10月にかけて、半世紀前からのストライキの過去を振り返る映画鑑賞や討論企画を各地で開催するとのことです。*1 „Ihr Kampf ist unser Kampf!“ Streik 1973 bis 2023 und d…

ゾーリンゲン放火殺害事件から30年――オープンアクセス論文集

1993年5月29日の夜間にゾーリンゲンでトルコ人移民家庭に対する放火殺害事件が発生しました。2023年はそれからちょうど30年になります。その事件を振り返る論文集が、4月に刊行されました。オープンアクセスです。 Birgül Demirtas / Adelheid Schmitz / Der…

社会的市場経済の形成についての神話と事実――L!NXより

2023年4月、「デジタル教育プラットフォーム」を掲げる、ドイツ語圏の左派系ウェブサイト L!NX に、「社会的市場経済の形成についての神話と事実」という項目が掲載されました。 Mythen und Fakten zur Sozialen Marktwirtschaft, in: L!NX, April 2023. リ…