浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|戦後史・冷戦史・現代史

1945年以降の右翼テロリズムを想起する展示――ナチ記録センター・ミュンヒェンより

2024年4月18日から7月28日まで、ナチ記録センター・ミュンヒェンで、「右翼テロリズム――1945年から今日まで」が開催されていることを知りました。 Rechtsterrorismus, in: NS-Dokumentationszentrum München. 上記のリンクをスクロールしていくと、展示の紹…

ドイツ民主共和国期工場経営における性差別についての書評

sehepunkte(視点、観点の意)というドイツ語圏の歴史学におけるオンライン書評ジャーナルの2024年第6号に、ヘンリケ・フォークトレンダーさんの近著についての書評が掲載されました。テーマはドイツ民主共和国期の工場経営にみられた性差別についてです。 H…

移民流入国としてのドイツ連邦共和国――ローザ・ルクセンブルク財団より

2024年5月20日、「移入国ドイツ連邦共和国――移民社会において争われた民主主義75年」というタイトルの論説が、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページに掲載されました。 Massimo Perinelli: Einwanderungsland BRD. 75 Jahre umkämpfte Demokratie in ei…

『社会史年報』第63巻特集「1945年以降の極右」について

ドイツ社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が出版している学術誌『社会史年報(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻は「1945年以降の極右」です。リンクを貼っておきます。 Rechtsextremismus nach 1945, in: Archiv für Sozialgeschichte, Bd.…

マイ・アイムの「下からのコスモポリタニズム」――History Workshopより

先日、第40回日本ドイツ学会大会シンポジウムで報告してきました。「植民地主義、ホロコースト、想起の文化――いま『負の歴史』にいかに向き合うか」というものです。 そこで、マイ・アイム(May Ayim)について触れましたが、報告を準備している過程で、Hist…

ザクセンのライヒスビュルガーについてのハンドブック

1998年に設立されたアマデウ・アントニオ財団のホームぺージに、『帝国なき市民――ザクセンのライヒスビュルガー(帝国市民)のミリュー』と題したハンドブックが公表されました。 紹介ページのリンクはこちらです。 Bürger*innen ohne Reich, in: Amadeu Ant…

1980年代のドイツ連邦共和国における母親センター運動について――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し以前の記事ですが、2024年2月12日にデジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「母親センター運動へのスポットライト――モニカ・イェッケルの遺稿」という記事が掲載されました。 Lisa Schug, Spotlight auf die Mütterzentrumsbewegung: Der Nachl…

ベルリンと反アパルヘイト闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ出身者に関する展示会について

2024年は南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の終焉から30年であり、またアフリカ分割で知られるベルリン会議から140年になります。それに関連して、「闘争――ベルリンへ亡命した南部アフリカ人(1884-1994年) 反植民地抵抗110年」という展示会が、5月9日…

インゲボルク・ガイスラーについて――ドイツ民主共和国期キリスト教平和運動の女性芸術家

2024年1月25日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代のキリスト教平和運動のなかで積極的に活動した女性芸術家、インゲボルク・ガイスラー(1941-2020年)について紹介する記事が掲載されました。 Ingeborg Geißler: Ein L…

アイデンティティ・ポリティクスとしてのドイツ歴史建造物――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトの書評より

ちょっと興味がわいたので、ここにメモしておきます。 2024年5月2日にローザ・ルクセンブルク財団のホームぺージに、"Bauen am nationalen Haus: Architektur als Identitätspolitik(国民の家を建てる――アイデンティティ・ポリティクスとしての建築)"とい…

IGメタルのナチズムからの解放70年――同時代証言プロジェクトのYouTube動画

ちょっとしたことから、IGメタルの同時代証言プロジェクト「始まりからの記憶」というYouTube動画を知りました。 Zeitzeugenprojekt: "Vom Erinnern an den Anfang", in: YouTube, 6. November 2015. この動画は、ナチズムからの解放から70年を経て、IGメタ…

ナチ司法の不正の検証についての歴史――ターゲスシュピーゲル紙より

2024年4月19日のTagesspiegel紙オンライン版で、「法学史――ナチ不正の時効に抗う競争」というタイトルの記事が掲載されました。 Jochen Staadt, Rechtsgechichte: Ein Rennen gegen die Zeit und die Verjährung, in: Tagesspiegel, 19. April 2024. 最初の…

ドイツ民主共和国の女性作家を新/再発見する――デジタルドイツ女性アーカイブより

少し前の記事ですが、2023年12月22日と29日に、デジタルドイツ女性アーカイブのホームぺージに、ドイツ民主共和国時代の3人の女性作家を紹介する記事が相次いで掲載されました。以下にリンクを貼っておきます。 Reimann, Wander, Morgner: Autorinnenschaft …

世界革命の旅行者と苦い泉――ローザ・ルクセンブルク財団の討論会動画

2024年3月12日、ローザ・ルクセンブルク財団が主催となって、以下の2冊にの著者を交えた討論会が開催されました。 Brigitte Studer, Reisende der Weltrevolution: Eine Globalgeschichte der Kommunistischen Internationale, Berlin: Suhrkamp, 2020. Regi…

ハンブルクの女性移民の「抵抗の歴史」について――デジタルドイツ女性アーカイブより

2023年11月27日に、デジタルドイツ女性アーカイブのウェブサイトに、「抵抗の(諸)歴史」というタイトルの論説が掲載されました。 Cäcilia Maag, Geschichte(n) des Widerstands, in: Digitales Deutsches Frauenarchiv, 27. November 2023. リード文では、…

「下からの反ファシズム」特集――Partecipazione e Conflittoより

イタリアの社会科学・政治学系のジャーナル、Partecipzione e Conflitto の第17巻第1号(2024年)に「下からの反ファシズム」という特集が組まれました。ちょっと興味がわきましたので、リンクを貼っておきます。 Partecipazione e Conflitto, Vol. 17, No. …

1945年以降のハンブルクにおける右翼の暴力を記録するウェブサイト

「1945年以降のハンブルクにおける右翼の暴力」というウェブサイトを知りました。リンクを貼っておきます。 Rechte Gewalt in Hamburg 「地図」、「年表」、「テーマ」、「用語集」の項目が立てられ、それぞれのページで整理されています。 "Hamburg rechtsa…

創設から1990年までのドイツ連邦憲法裁判所の訴訟資料が利用可能に

かなり以前のニュースですが、2023年9月11日にドイツ連邦文書館のプレスリリースで、ドイツ連邦憲法裁判所に関する、1951年の創設から1990年までの期間の訴訟資料が利用可能になったことが発表されました。 Verfahrensakten des Bundesverfassungsgerichts v…

ブレーメン・アフリカ資料館の検証作業終了報告書について

ブレーメン大学のワーキンググループ「ブレーメンの植民地史と現在(Bremens koloniale Geschichte & Gegenwart | Bremen's Colonial History Working Group)」というホームぺージに、ブレーメン・アフリカ資料館(Bremer Afrika Archiv)の収蔵物を検証す…

21世紀のグローバルな記憶を議論するドイツ語新刊書について

研究メモです。 2023年10月に、21世紀におけるグローバルな記憶文化を議論する新刊書が出ました。出版社のウェブサイトからの紹介ページをリンクしておきます。 Mirjam Zadoff: Gewalt und Gedächtnis. Globale Erinnerung im 21. Jahrhundert, München: Han…

左翼、近東紛争、反ユダヤ主義についての解説付き文献目録――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトより

2014年にローザ・ルクセンブルク財団の 「分析(Analysen)」 シリーズの一冊として、ペーター・ウルリヒさんによる『左翼、近東紛争、反ユダヤ主義――一つの論争を通じた道案内』という解説つき文献目録の第3版が公刊されました。オンライン版のみでオープン…

東ベルリンの環境図書館について

東ベルリンにある環境図書館(Umwelt-Bibliothek)のホームぺージを知りました。 Die Ostberliner Umwelt-Bibliothek この図書館は、1986年に設立されたとのことです。それから12年の間、この図書館は、左派のドイツ民主共和国反対派の待ち合わせ場所、図書…

1945年以降の極右――Archiv für Sozialgeschichteより

社会民主党系のフリードリヒ・エーベルト財団が刊行する年報『社会史アーカイヴ(Archiv für Sozialgeschichte)』の第63巻(2023年)は、「1945年以降の極右」特集です。 リンクを貼っておきます。 Archiv für Sozialgeschichte - Aktuelle Bände 巻頭論文…

フーアマン『共同決定の歴史のなかの女性』――オープンアクセスの近刊書について

ドイツ労使関係における共同決定の歴史について、女性に焦点を当てた本を知りました。フーゴ・ズィンツハイマー労働・社会法研究所のシリーズの一冊でして、以下にリンクを貼っておきます。オープンアクセスになっています。 Uwe Fuhrmann, Frauen in der Ge…

1945年以降のドイツにおける極右についての連続講演――ハンブルク現代史研究所より

2023年10月19日より、ハンブルク現代史研究所では、"Mehr als eine Randnotiz. Die extreme Rechte nach 1945(欄外の注より以上の――1945年以降の極右)"という題の連続講演が開催されていることを知りました。主催者による企画趣旨についてのリンクを貼って…

ドイツ民主共和国期の労働現場における性差別について――ドイツ連邦政治教育センターより

2023年10月4日、Deutschland Archiv (ドイツ・アーカイブ)オンライン版に、ドイツ民主共和国の工業経営における性差別の問題を取り上げた論説が掲載されました。 Henrike Voigtländer, Sexismus unter gleichberechtigten Werktätigen: Geschlecht und Her…

50年前のドイツ労働総同盟の不一致決議について――フリードリヒ・エーベルト財団ブログより

2023年9月29日に、フリードリヒ・エーベルト財団のブログで、「寛容の限界――ドイツ労働総同盟の不一致決議50年」という記事が掲載されました。 Marcel Bois/ Alexandra Jaeger, Die Grenzen der Toleranz: 50 Jahre Unvereinbarkeitsbeschlüsse des DGB, in:…

経営トップに占める女性の割合についての東西ドイツ比較――ターゲスシャウより

2023年7月25日、北ドイツ放送が制作し、第1ドイツテレビジョン(Der Erste)で放映されるターゲスシャウ(tagesschau)のホームぺージに、「西ドイツよりも東ドイツに多い女性上司」という番組の内容を説明する記事を知りました。 Warum gibt es im Osten me…

メルン、1992年――現在の歴史より

体調を崩してしばらく寝込んでいました。ようやく少しずつ日常に戻りつつあります。このブログも無理しすぎずに更新していきたいと思います。 だいぶ前の記事ですが、2022年11月23日に、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「メルン、1992年――暴力と…

ドイツ民主共和国におけるユダヤ――ベルリン・ユダヤ博物館の展示について

ベルリン・ユダヤ博物館で2024年1月14日まで、ドイツ民主共和国におけるユダヤ系の人びとの経験をテーマにした展示会が開催されています。 Ein anderes Land, in: Jüdisches Museum Berlin タイトルをどう訳すかは悩みますね。「(かつてと)違う国を」あた…