浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ史|移民史

移民概念についての用語目録――Inventar der Migrationsbegriffe

学際的研究グループを謳う「移民にかんする知の学術的生産」のプロジェクト「移民概念の用語目録」というドイツ語のウェブサイトを知りました。 Inventar der Migrationsbegriffe このプロジェクトは、移民をめぐる現在と歴史にかかわる議論の中心的な概念に…

DeKolについて――ドイツ・ニーダーザクセン州における脱植民地的ネットワーク

DeKolというホームぺージを知りました。 DeKol 「脱植民地的ネットワーク・ノルトヴェスト(Dekoloniales Netzwerk Nordwest)」を名乗っていまして、ドイツのニーダーザクセン州、とくに農村地域におけるBIPoC(Black, Indigenous and People of Color 黒人…

メルン、1992年――現在の歴史より

体調を崩してしばらく寝込んでいました。ようやく少しずつ日常に戻りつつあります。このブログも無理しすぎずに更新していきたいと思います。 だいぶ前の記事ですが、2022年11月23日に、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「メルン、1992年――暴力と…

オスナブリュック博物館地区の多様な都市史の展示について

ドイツのニーダーザクセン州の都市オスナブリュックの「博物館地区( Museumquartier)」というウェブサイトを知りました。そこに、多様な視点から、オスナブリュックの移民・難民・差別の歴史へ様々なまなざしを向ける展示についての解説ページがあり、関連…

移民視点の東ドイツ史図像記録――De-Zentralbildより

移民視点からドイツ民主共和国史の記憶を作ろうとするウェブサイト、De-Zentralbild (脱中心的イメージの意)を知りました。 De-Zentralbild – Migrant:innen in der DDR このトップページでは、私的な写真や記憶を記録することで、ドイツ民主共和国の図像…

ドイツにおける難民政策についての歴史的位置について――Geschichte der Gegenwartより

2023年5月24日、ドイツ語圏の現代史をテーマとしたウェブサイト、Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、「『難民妥協』――現在の調停の試みの歴史的位置づけ」というタイトルの論説が掲載されました。 Stefan Zeppenfeld, Der „Asylkompromiss“. Histor…

ドイツのストライキと移民、1973-2023年――ローザ・ルクセンブルク財団より

ローザ・ルクセンブルク財団ノルトライン=ヴェストファーレン支局は、2023年8月から10月にかけて、半世紀前からのストライキの過去を振り返る映画鑑賞や討論企画を各地で開催するとのことです。*1 „Ihr Kampf ist unser Kampf!“ Streik 1973 bis 2023 und d…

ゾーリンゲン放火殺害事件から30年――オープンアクセス論文集

1993年5月29日の夜間にゾーリンゲンでトルコ人移民家庭に対する放火殺害事件が発生しました。2023年はそれからちょうど30年になります。その事件を振り返る論文集が、4月に刊行されました。オープンアクセスです。 Birgül Demirtas / Adelheid Schmitz / Der…

『わたしたちのドイツ・メルヘン』について――3satより

2023年4月19日、3satというドイツ公共放送のウェブサイトで、2023年ライプツィヒ見本市で受賞したディンツァー・ギュンツェーターさんの小説『わたしたちのドイツ・メルヘン』(2022年)を紹介する番組が放送されました。 Literaturgespräch: "Unser Deutsch…

ドイツの右翼テロとその連続性、(非)記憶について――ローザ・ルクセンブルク財団より

2023年2月、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、「メルン、NSU、ハレ、ハーナウ――右翼テロ、連続性、ドイツの(非)記憶」というタイトルの論説が掲載されました。 Efsun Kızılay, Mölln, NSU, Halle, Hanau, in: Rosa-Luxemburg-Stiftung, Februar …

東ドイツにおける移民経験を焦点にあてた論集について

「・・・ドイツ民主共和国は私には約束の地に思えた」というタイトルで、東ドイツにおける移民についての論考を集めた論文集が、2022年3月に出版されました。最近、移民視点の東ドイツをテーマにした本をよく目にします。この本もその一つでしょう。 Carina …

移行期の東ドイツ社会と移民についてのインタビュー論集

「忘却に反対し、民主主義に賛成する」(Gegen Vergessen – Für Demokratie e. V.)という協会のホームページに、『東ドイツにおける移民社会と移行社会』というタイトルの論集が掲載されました。 Deniss Hanovs/ Dennis Riffel/ Anastasia Sudzilovskaya/ A…

ブレーマーハーフェンの「ドイツ移民の家」博物館とキューバ=ドイツ関係史特別展

東ドイツ時代から今日までのキューバ=ドイツ関係史を扱った展示が、ブレーマーハーフェンにある博物館「ドイツ移民の家(Deutsches Auswandererhaus)」で開催されています(2023年2月28日まで)。 „… bisschen anders, aber genauso.“ Kubanisch-deutsche …

移民史視点の1970・80年代西ドイツ労働運動について

研究メモです。 このブログでも、移民史の視点から第二次世界大戦後のドイツ連邦共和国における労働運動・労働組合・ストライキが移民史の視点から問われるようになってきたことを紹介してきました。*1 また関連書籍を目にしましたので、ここにリンクを貼っ…

1992年ロストック=リヒテンハーゲンでのポグロムについて

1992年8月、ロストック=リヒテンハーゲンで起きた大規模なポグロム、人種差別的な排斥運動・暴動から30年目ということで、当事者の経験を回顧するインターネットラジオ放送や論説を紹介します。 まず、Radio Dreyeckland というインターネットラジオ放送か…

カタリーナ・オグントイェさんについて

備忘録です。 2022年5月30日、歴史家・活動家・著述家カタリーナ・オグントイェさんが、ドイツにおけるアフリカ人およびアフリカ系ドイツ人の平等と文化間交流への参加のために長年にわたって尽力し、人種主義、性差別主義、同性愛差別主義に対峙してきたこ…

ドイツ・テューリンゲン州の植民地主義的過去への取り組み

今回は、ドイツのテューリンゲン州における植民地主義的過去についての取り組みを紹介します。 Koloniales Erbe in Thüringen. Wissenschaftliche Koordinationsstelle Erfurt/Jena. 直訳すれば「テューリンゲンにおける植民地遺産――エアフルト/イェナ学術…

ハンブルク現代史研究所の動画チャンネル

最近、vimeo というインターネットサービスを使って、ドイツ語圏の歴史系の動画がアップされていることに気づきました。 たとえば、ハンブルク現代史研究所(Forschungsstelle für Zeitgeschichte in Hamburg, FZH)は、このコロナ危機以降、チャンネルを開…

2022年のドイツ労働史協会博士論文賞――1950-75年トリノとミュンヒェンにおけるイタリア系労働移民

2022年3月3日に、ドイツ労働史協会(German Labor History Association)の会員総会が開催され、そこで2022年同会博士論文賞が授与されました。出版された受賞作はこちらです。 Olga Sparschuh, Fremde Heimat, fremde Ferne. Italienische Arbeitsmigration…

2021年のリンツ会議(労働運動史家国際会議)「世界の移民」について

2021年9月23日から25日にかけて、第56回労働運動史家国際会議(Internationale Tagung der HistorikerInnen der Arbeiter- und anderer sozialer Bewegungen)がリンツで開催されました。毎年、オーストリアのリンツで開催されるので、リンツ会議と呼ばれま…

「想起/抵抗/団結」――ザクセン州ホイエルスヴェルダ市での排外主義的暴行事件から30年

1991年9月17日から23日にかけて、ザクセンの小さな都市ホイエルスヴェルダ(Hoyerswerda)で、契約労働者居住施設および難民宿泊施設への人種主義的な暴行事件が起こりました。それからちょうど30年が経ち、ベルリン州政治教育センターが「想起/抵抗/団結…

「排除された者たちの同盟か」――『他者たちの社会』の著者へのインタビュー記事

2021年5月、ウェブサイト「ルクセンブルク――社会分析と左翼の実践(Luxemburg. Gesellschaftsanalyse und linke Praxis)」に、ヤナ・ヘンゼル(Jana Hensel)と共著で『他者たちの社会(Die Gesellschaft der Anderen)』(2020年)を刊行した、ナイカ・フ…

ルール博物館特別展「わたしたちはここから――トルコ=ドイツ生活、1990年」

ドイツのルール博物館(Ruhr Museum)で、2021年10月31日まで、1961年に締結された西ドイツ・トルコ間二国間協定(労働者募集協定)60周年を機に、写真展が開催されています。 Foto-Ausstellung: Wir sind von hier. Ergun Çağatay | Ruhr Museum 展示された…

アフリカ系ドイツ人の短編歴史ドキュメンタリー紹介記事――西部ドイツ放送より

2021年6月4日、西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk, WDR)のウェブサイトに「黒人でありドイツ人――アフリカ系ドイツ人の歴史」と題された記事が掲載されました。 Emily Thomey, "Schwarz und Deutsch" – Die Geschichte der Afrodeutschen, in: WDR, 4.…

「移民としてのマルクス」――MARX 200より

いまさらですが、2018年はマルクス生誕200周年ということで、日本でも映画を始め記憶に新しいかと思います。 その生誕200周年を記念した、MARX 200 というウェブサイトを知りました。リンクを貼っておきます。 MARX 200 「移民としてのマルクス」をテーマに…

トルコからの「ガストアルバイター」女性について――Deutschlandfunk Kulturより

2021年4月12日、「ドイチュラントフンク(Deutschlandfunk)」というドイツのラジオ放送局のウェブサイトに、「故郷と郷愁のはざまで」というタイトルで、トルコからの出稼ぎ労働者(ガストアルバイター)の女性に焦点をあてた記事が掲載されました。 Luise …

ドイツ民主共和国における元モザンビーク出身契約労働者への補償を求める公開書簡について

2021年4月13日、ドイツの歴史系ウェブサイトに、ドイツ民主共和国時代に二国間協定によって就労したモザンビーク出身契約労働者に対する補償支払いを、ドイツ連邦政府に求める公開書簡が掲載されました。2つのサイトを見つけましたので、それぞれリンクを貼…

フランクフルトの住宅占拠闘争(1970ー1974年)について

Frankfurter Archiv der Revolte(フランクフルト反乱文書館)という文書館を知りました。運営団体は2019年5月に設立されたとのことです。ウェブサイトへのリンクを貼っておきます。 Frankfurter Archiv der Revolte その文書館が2020年秋にフランクフルト大…

歴史雑誌『労働-運動-歴史』の特集「労働者と他者」より

Arbeit-Bewegung-Geschichte(労働-運動-歴史)という労働史を専門とするドイツ語の学術雑誌があります。その2021年第1号の特集が、「労働者と他者」です。目次はこちらからどうぞ。 20. Jahrgang - Heft 2021/I | Arbeit – Bewegung – Geschichte: Zeit…

ラインラント=プファルツ州文書館のバーチャル閲覧室について

2021年1月22日、ラインラント=プファルツ州文書館がヴァーチャル閲覧室を開室したという知らせを目にしました。以下、そのお知らせのリンク先です。 Landesarchivverwaltung Rheinland-Pfalz | Eröffnung Lesesaal APERTUS, 22. Januar 2021. 記者会見映像…