浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ノイエンガメ強制収容所記念館の新しいオンライン展示

 2022年11月30日、ハンブルク近郊にある、ナチのホロコーストを追悼・記録・検証するノイエンガメ強制収容所記念館が新しいオンライン展示の公開を告知しました。

 

 

 紹介文を要約します。

 

 このオンライン展示は、反ユダヤ主義、人種主義、政治そのほかの理由で迫害された親族をもつ人を紹介するものです。しかしまた、同時に、その迫害の傍観者、受益者、実行者の親族もその歴史を語ります。親族が連合軍兵士あるいは日常生活で間接的にしかナチ犯罪に関わっていなかった親族をもつ人も発言します。語り手の家族の生活拠点は、ヨーロッパ諸国、北米、アジアと様々な国々にあります。

 展示は4章構成で、そこでインタビューを受けた人たちが短編映像をつうじてその家族史と自らの生にとってのその意義を報告します。ナチ迫害者の子孫たちh、ナチ支配と社会・個人への迫害の影響について語っています。さらに、語り手は自己の理想と社会参与について語るとともに、どうしたら異なる家族史をもった人間が互いに語り合うことができるようになるか、と問いかけます。

 

 このオンライン展示は、学校などでの教材となるように構成されています。対象年齢は16~27歳とのことです。そのための資料も自由にダウンロードできます。ダウンロードのリンクも上記のホームページからアクセスできます。

 

21世紀のオーラル・ヒストリー――H-Soz-Kult の書評

 2022年12月2日、ドイツ語圏の歴史学系総合ポータルサイト H-Soz-Kult に、リンデ・アーペル編『記憶する、語る、歴史を書く――21世紀のオーラル・ヒストリー』というタイトルの論文集の書評が掲載されました。

 

 

 この論文集は、「記憶のワークショップ」の30周年を記念した一連の講演を収録したもので、オープンアクセスになっています。1980年代以降のオーラル・ヒストリーの成果だけではなく、デジタル・インフラの拡充によるオーラル・ヒストリーの方法と新しい研究戦略の試みが含まれているとのことです。

 

 オープンアクセスへのリンクはこちらからどうぞ。

 

歴史学関係イベント情報(2023年1月~)

 そろそろ在外研究も終盤になりまして、忘れていたこのページについて、気づいたら更新するようにします。

 学会・研究会そのほか、歴史学にかかわるイベントの周知への協力と同時に、自分の備忘録として活用します。

 

2023年3月

 

 

東フェミニズムは存在するか――デジタルドイツ女性アーカイブより

 2022年11月9日、デジタルドイツ女性アーカイブに、「東フェミニズムは存在するか」というタイトルの記事が掲載されました。

 

 

 リード文を紹介します。

 

 1989年11月9日、ベルリンの壁が開放された。その日は、東西ドイツに住んでいた人びと――とくに女性――の生活を継続的に変化させた。その二つの女性運動の出会いは今日でも影響を及ぼしている。デジタルドイツ女性アーカイブの歴史家イェシカ・ボックは、東フェミニズムの概念について、連続性と差異をさらに批判的に議論することを提案する。

 

 これは、2022年9月に開催された、ブランデンブルク州女性政策評議会の記念祭での基調講演を紹介するものです。この基調講演をダウンロードできるリンクも貼られています。リンクはこちら。そのほか関連するこれまでの特集へのリンクもあります。

 

 こうした機会の講演原稿は、参考にできそうです。

 

ポツダム現代史研究所ライプニッツ・センターが提供する現代史ポッドキャスト番組

 歴史研究者・歴史研究機関のポッドキャスト番組を知る機会が多くなりました。

 今回は、ポツダム現代史研究所ライプニッツ・センター(ZZF、Leibniz-Zentrum für Zeithistorische Forschung Potsdam)が提供するポッドキャスト番組を紹介します。

 まずリンクを貼っておきます。

 

 

 最近の放送は、クリスマス・ソングです。

 

 2021年5月から第1シリーズの第1回放送が開始され、現在、第2シリーズが放送されています。

 

第1シリーズ(2021年5月~2022年6月)

  • 第1回 ZZFの自己紹介
  • 第2回 ヴィジュアル・ヒストリー
  • 第3回 保健政策の過去と現在
  • 第4回 ソ連のヒッピーたち
  • 第5回 It's a match!――20世紀のカップル関係
  • 第6回 躓きの石――ぶつかる石?
  • 第7回 デジタル現代史――インターネットにおける研究と公表について
  • 第8回 ポップ・ヒストリー――NDWDDRメタル、東ドイツ・ロックについて研究する
  • 第9回 移民史――西ベルリンにおけるトルコ系の労働世界
  • 第10回 共産主義の遺産――1989/91年後の連続性と転換
  • 第11回 危機の時代――概念と意味
  • 第12回 過去の価値――あるいはなぜわたしたちに歴史が重要なのか
  • 第13回 独裁者と交渉するか――1949年以降の協調・制裁・人権
  • 第14回 エネルギー安全保障と依存――どのようにわたしたちはロシアからの輸入に依存するようになったのか
  • 第15回 ウクライナにおける緊急文書館作業
  • 第16回 ウクライナに対する戦争――「転換期」における現代史

 

第2シリーズ(2022年10月~)

 

 およそ30分~1時間くらいです。興味を引かれるタイトルが並びます。