浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

Slave Voyages のウェブサイトとメアリー号の航海日誌についての記事

 大西洋奴隷貿易についての総合的なデータベースを提供するウェブサイト、Slave Voyages について、ご存知の方も多いかと思います。

 

 

 日本語文献では、布留川正博さんによる以下の研究論文がありますし、また布留川さんは岩波書店から2019年に公刊した『奴隷船の世界史』の第1章でもこのデータベースについて解説してくれています。『奴隷船の世界史』はわたしの経済史の講義や2年次のゼミでも使っています。

 

 

 このデータベースサイトを紹介しながら、奴隷船メアリー号の航海日誌を紹介する論説が Atlas Obscura というウェブサイトに掲載されました。

 

 

 最近、ワシントンD.C.ジョージタウン大学図書館に寄贈されたとのことです。メアリー号は、1795年末に米国ロードアイランド州を出発し、大西洋を横断し、現在のセネガルリベリア、ガーナを経て、1796年8月に米国ジョージア州サバンナに入港したことが分かっています。この航海日誌は、その航海が奴隷とされた人びとにとっていかに恐怖に満ちたものであったかを明らかにするものです。リポジトリで公開されています。解説とリンクはこちら。

 

 

 この論説では、ジョージタウン大学に設置されている Georgetown Slavery Archive の文書館員はこの記録を「死の記録」と呼んでいることが紹介されています。ちなみに同史料館のリンクはこちら。

 

 

 また、メアリー号で起きた奴隷とされた人たちの蜂起の記録や寄贈の経緯にも言及されています。史料論としても読むことのできる論説記事です。来年度の講義やゼミで紹介しようかと思いました。