浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ヘレーネ・シュテッカーとデジタルドイツ女性アーカイブの活動紹介―― ブログ・パレード #femaleheritage によせて

 2020年11月11日から12月9日にかけて、ミュンヒェン市立図書館のモナツェンシア・イム・ヒルデブラントハウス(Manacensia im Hildebrandhaus)フェミニズム運動としてのブログ・パレード Blogparade #femaleheritage を呼びかけました。

 

 

 デジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)はそれに応えて、そのウェブサイトにヘレーネ・シュテッカー(Helene Stöcker, 1869-1943)を紹介しつつ、同アーカイブの活動を紹介する記事を掲載しました。

 

 

 ヘレーネ・シュテッカーについて、まさに女性の自己決定権を要求した女性として紹介されています。どの人間も自己目的をもち、道具とみなされていはならないはずであるにもかかわらず、女性は旧来の性道徳のなかでこれまで「人間として、魂として、人格としてではなく、物として、肉体として、享楽あるいは出産する者として価値づけられてきた」と批判する彼女の言葉を紹介しています。

 その後、この論説では、「女性参政権と性の自己決定」の見出しでヘレーネ・シュテッカーについて解説した後、「女性活動家、ネットワーク、史料」、「フェミニズム的歴史叙述」の見出しを設けて、同文書館の取り組みが紹介されています。

 ヘレーネ・シュテッカーについては、同アーカイブのウェブサイトでより詳細な伝記が掲載されています。

 

 

 また、日本語でもいくつも研究があります。

 

  • 水戸部由枝「ヘレーネ・シュテッカーと帝政ドイツの堕胎論争」『西洋史学』第198号、2000年
  •  同   「ヴェーバー・サークルにおける性倫理論争――H.シュテッカーの『新しい倫理』とO.グロースのエロス論をめぐって」『政治学研究論集』第21号、2004年
  • 太田恭子「近代ドイツにおけるヘレーネ・シュテッカーの『新しい倫理』」『日本ジェンダー研究』第7号、2004年
  • 掛川典子「ヘレーネ・シュテッカーのエルバ―フェルト時代(1862-1892)」『学苑』第828号、2009年
  •  同  「ヘレーネ・シュテッカーの学問修行時代(1892-1901)」『学苑』第850号、2011年