浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ベルリンのレズビアン文書館・図書館 Spinnboden と Ilse Kokula

 ベルリンにレズビアン文書館・図書館シュピンボーデン(Spinnboden - Lesbenarchiv und Bibliothek Berlin)があります。*1

 

 

 そのシュピンポーデンにレズビアン歴史家・活動家イルゼ・コクラ(Ilse Kokula、1944年生まれ)氏より彼女自身の資料を譲渡され、デジタルドイツ女性アーカイブの助成を受けて整理しているという紹介記事が、同アーカイブのウェブサイトで掲載されました。

 

 

 きっかけは2020年春にイルゼ・コクラ氏の自宅に火事があったことです。幸い、ご自身と仕事場の資料は無事でした。しかし、歴史家クラウディア・ショップマン氏らがシュピンボーデンにかけあい、コークラ氏と同文書館の間で資料の譲渡契約が交わされたとのことです。

 コクラ氏は1970年代以降の西ドイツのレズビアン運動のなかで、もっとも重要な活動家・研究者の一人として、その経歴が簡単に紹介されています。

 その譲渡された資料は、1965年から2020年まで彼女の活動・ネットワーク・研究テーマについてのおよそ200の資料ケースからなり、それにくわえて250冊の雑誌、200冊の図書、20~30箱の公的・私的な通信、アルバム、音声記録があるといいます。

 

 没後に文書館に所蔵された資料は、Nachlass といいますが、生前に譲渡されたものを Vorlass というんですね。

 

 現代史を理解するうえで重要な歴史家・活動家が収集・作成した史資料をどう整理して保管するかは、日本の歴史家にとっても大きな課題です。いい案を考えないといけませんね。