浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツの「女性文書館の日」について

 5月11日はドイツでは「女性文書館の日(Tag der Frauenarchive)」ということを知りました。2021年5月11日、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページにこの日についての解説記事が掲載されています。*1

 

 

 この記念日構想は、1987年のフェミニズム系文書館の会合で生まれたそうです。ブレーメンの女性協会ベラドンナbelladonna)の創設者マーレン・ボック氏の回想が引用されています。

 

問題は女性文書館が 世論にほとんど知られていないことでした。・・・私たちはフェミニズムの歴史のための可視性をもっと作りたく、また自立的な関係の外側にある女性に手が届くようにしたかったのです。

 

 翌年から女性文書館の日が個々の関係文書館によって始まったとのことです。デジタルドイツ女性アーカイブに掲載された記事には、当時のポスターなどの画像が掲載されています。

 この5月11日は、ユダヤ系詩人ローゼ・アウスレンダー(Rose Ausländer, 1901–1988)の誕生日であり、もちろんその日を意識したことが記されています。ローゼ・アウスレンダー協会のホームページへのリンクをつけておきます。

 

 

 そのうえで、ベルリン・フンボルト大学学際的ジェンダー研究センターのジェンダー図書館創設者であるカーリン・アレクサンダー氏の論考が紹介されています。

 

 

 「なぜ、そしてどのような目的で女性・レズビアンジェンダー図書館があるのか」というタイトルです。

 

 2021年の女性文書館の日の標語は "alles digital(みんなデジタルに)" ということで、各文書館がその存在を可視化させるために、様々なオンラインでの取り組みが紹介されています。紹介されている文書館のホームページへのリンクを貼っておきます。

 

 

【2022年6月27日追記】

 2022年5月11日の催しについての案内が、デジタルドイツ女性アーカイブのホームページに掲載されています。こちらでは、「フェミニズム文書館の日」になっています。

 

 

【2023年8月28日追記】

 2023年5月11日、デジタルドイツ女性アーカイブに、ドイツ語圏のレズビアン・女性アーカイブ・図書館・資料センター連合 i.d.a. の設立を振り返る論説が掲載されました。リンクは以下の通りです。

 

 

*1:こちらは 2021年5月3日にドイツ語圏レズビアン・女性アーカイブ・図書館・資料センター連合 i.d.a. のホームページに掲載された記事の転載です。https://www.ida-dachverband.de/aktuelles/aktuell/article/frauenarchive-digital-entdecken/

*2:英語の人物事典はこちらをどうぞ。Kirsten Krick-Aiger, Rose Ausländer, in: The Encyclopedia of Jewish Women. また詩の朗読サイトにも彼女の詩がありました。Rose Ausländer, Bukowina I, in: Lyrik-line: listen to the poet.