浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

#Westsplainingと#Eastsplaining――現在の歴史より

 2023年5月28日、ドイツ語圏の現代史オンライン・ウェブサイト Geschichte der Gegenwart(現在の歴史)に、#Westsplaining und #Eastsplainingというタイトルの論説が掲載されました。

 

 

 著者のズィルヴィア・ザッセさんは、チューリヒ大学でスラブ文学を教えており、Zentrum Künste und Kulturtheorie (ZKK、芸術・文化理論センター)の共同設立者です。この Geschichte und Gegenwart の編集者の一人でもあります。

 

 この記事のリード文では、ウクライナに対するロシアの侵略戦争が開始されて以降、ウェストプレイニング、イーストプレイ二ング、またロシアプレイニングという概念が流通していると指摘します。

 

 「男性」と「説明する」を組み合わせた造語、マンスプレイニングという言葉がありますが、上記の概念はそれをもじった表現でしょう。マンスプレイニングが男性が女性に対して上から目線で知識をひけらかしたり、解説したりする行為を意味しますが、ウェストプレイニングは、西洋の知識人、ここでは西ヨーロッパや北米のそれを指しますが、東ヨーロッパに対してもつ理解の枠組みを批判するための概念です。とくに、その枠組みは、ロシアと比べて東ヨーロッパは、説明される対象にすぎず、ともに取り組む価値のある相手と見なしていない、と批判されるものです。

 

 ザッセさんの論考は、そこでの西と東がもつ意味は何かと問い直すものです。読了の目安は10分です。