浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

『第七の十字架』の刊行から80年――nd紙より

 2022年7月3日、ドイツ語圏の左派系オンライン・ジャーナル nd 紙に、アンナ・ゼーガース『第七の十字架』刊行から80年を機に、比較的長い記事が掲載されました。

 

 

 リード文では、ちょうど80年前の1942年に刊行された『第七の十字架』は、ドイツ農村地域の住民がファシズムへと流れていく過程、そしてまた個々人の抵抗の余地を探す叙述になっていると指摘しています。

 

 日本では、1952年に筑摩書房から山下肇・新村浩訳で日本語版が刊行され、1972年に河出書房新社より再版された後、さらに2018年に岩波文庫の一冊として岩波書店から出版されています。岩波書店のホームページに掲載されている情報へのリンクを貼っておきます。

 

1992年ロストック=リヒテンハーゲンでのポグロムについて

 1992年8月、ロストック=リヒテンハーゲンで起きた大規模なポグロム、人種差別的な排斥運動・暴動から30年目ということで、当事者の経験を回顧するインターネットラジオ放送や論説を紹介します。

 

 まず、Radio Dreyeckland というインターネットラジオ放送から。こちらでは、モザンビーク出身の元契約労働者デヴィッド・マコウさんが当時の体験を語っています。

 

 

 次に、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトから。こちらはヴェトナム出身の元契約労働者によるポグロム体験についてのインタビューを基に、演劇作品のように編集されたものです。

 

 

 同じく同財団ウェブサイトに掲載された関連する論説として、以下をどうぞ。

 

 

 以前に移民女性の視点からこの事件について論じたレポートを紹介しました。事件の内容について、若干、説明しています。関心をお持ちの方はどうぞ。

 

 

【2022年9月23日追記】

 関連記事を追記しておきます。

 まず、ドイツ語圏の左派系メディア nd 紙より、2022年8月20日に30年目を機とした論説が掲載されました。こちらは、東西ドイツ統一事業の国民主義的な動員は、当時の与党キリスト教民主同盟が約束した「栄えある景色」ではなく、人種主義的なポグロムの波を生み出したと批判しています。

 

 

 次に、2012年8月3日にYouTubeにアップされたドキュメンタリー動画(Spectacle London、JAKO videocoop、Rostock制作、1993年、78分)です。

 

 

 最後に、ak というオンライン論壇サイトで、1992年11月19日付の記事です。「ロストックの警察と政治――『機能不全』が望まれた」というタイトルで、人種主義的暴動が放置され、過激化した当時の様子が報告されています。

 

 

【2022年9月28日追記】

 ツァイト紙のオンライン版が提供するポッドキャスト放送で、2022年8月24日に、この出来事が取り上げられています(1時間12分)。

 

 

【2022年10月16日追記】

 2022年9月15日、ローザ・ルクセンブルク財団のポッドキャスト LUX.local のシリーズ #5 にこのテーマに関連した音声放送がアップされました。その紹介ページには、さらなる関連情報へのリンクが列挙されています。

 

 

ナチ犯罪を裁く法廷のアウシュヴィッツ生存者について――近刊書紹介へのリンク

 近刊の研究書の紹介です。

 『法廷を前にした生存者たち――ナチ裁判における証人としてのアウシュヴィッツ収容者(1950-1976年)』という本の紹介を目にしましたので、メモ代わりにリンクを貼っておきます。

 

 

 この紹介の冒頭部分では、ドイツ連邦共和国においてナチ裁判が、戦後初期にナチ犯罪を論じる一つのフォーラムであり、ホロコーストの生存者とかつての強制収容所の収容者は法廷の証人として、とくに論争を含んだテーマであったにもかかわらず、ほとんど研究のなかでは注目されてこなかったと指摘されています。

 上記のページの下の方に、オープンアクセスへのリンクもあります。

 

デジタルドイツ女性アーカイブの新しいポッドキャスト番組

 2022年5月3日、デジタルドイツ女性アーカイブ(Digitales Deutsches Frauenarchiv)の新しいポッドキャスト番組の開始が、同ウェブサイトで発表されました。

 

 

 第1回(5月3日配信)はアリーセ・ザーロモンについて、第2回はサッカーとフェミニズム(7月12日配信)についてです。

 上記のリンク先のページの下の方に、アプリケーションごとのリンクが貼られています。わたしはSpotifyで聴いてみました。

 

【2022年12月6日追記】

 第3回(10月11日配信)は、「移民、避難、都市政策――テヘランからケルンへ」です。詳細な解説は以下のリンクで、どうぞ。

 

 

カタリーナ・オグントイェさんについて

 備忘録です。

 2022年5月30日、歴史家・活動家・著述家カタリーナ・オグントイェさんが、ドイツにおけるアフリカ人およびアフリカ系ドイツ人の平等と文化間交流への参加のために長年にわたって尽力し、人種主義、性差別主義、同性愛差別主義に対峙してきたことを称え、ドイツ連邦共和国勲章を受章しました。5月31日のベルリン市のプレスリリースはこちら。

 

 

 関連したインタビュー記事が6月21日のターゲスシュピーゲル紙に掲載されています。

 

 

 オグントイェさんのホームページへのリンクはこちら。

 

 

 アフロドイツ人女性運動にとって記念碑的な著作、Farbe bekennen の共著者です。Farb bekennen については、以下のウェブサイトへのリンクを貼っておきます。