浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ連邦文書館のツイッター動画シリーズ――文書館員が2分で所蔵史料を解説します(2020年7月22日更新)

 

はじめに

 ドイツ連邦文書館のツイッター動画シリーズ「連邦文書館所蔵史料――2分で『私に史料を説明して』」について紹介します。この投稿記事は適宜、更新していきます。*1 

 同文書館ウェブサイトの"Über uns"から"Aus unserer Arbeit "のページに行くと"Twitter-Video-Serie"のリンク先にたどりつきます。

 アップされた動画の一部は現代史史料のページでも公開されています(同文書館トップページの"Entdecken"から"Dokumente zur Zeitgeschichte"へ)。

 この企画は、コロナ危機で閲覧室閉鎖中の特別企画でして、主に現代史史料が対象です。文書館員が書庫に入るシーンから史料を解説するので、連邦文書館の書庫に入ることのできない身としては、それだけで興奮します。

 第1回はなんと「シンドラーのリスト」です!映画を思い出します。リンク先はこちらです。

 2020年6月19日までに全8回の動画がアップされています。順次、興味深いものについて、いくつかを紹介していきます。

 

1 これまでの投稿動画一覧

  1. "Schindlers Liste" (18. April 1945)
  2. Entführung der Lufthansa-Maschine "Landshut" (14. Oktober 1977)
  3. Dankschreiben der deutschen Fußball-Nationalmannschaft (15. Juni 1958)
  4. Abschiebung Günter Guillaumes in die DDR? (26. August 1974)
  5. Entwürfe für eine neue Reichsflagge (1919)
  6. Nominierung von Elisabeth Schwarzhaupt zur ersten Bundesministerin (11. November 1961)
  7. Queen Viktoria und die Pandemie in Großbritannien
  8. Der Filmpionier Max Skladanowsky

2 投稿動画についての簡単な紹介

第4回 ギョーム事件(1974年)

 第4回は、1974年8月、当時のCDU党首ヘルムート・コールと当時の連邦首相ヘルムート・シュミットとのギョーム事件に関する往復書簡についてです。

 ブラント首相の辞任劇を引き起こしたスパイ事件の関連史料を文書館員が解説しています。
 リンク先はこちらです。

 

第5回 新しい国旗案(1919年)

 第一次世界大戦のさなか、革命を経て帝政から共和政へ移行したドイツ。ヴァイマル共和国の成立は新しい国旗を選択する機会ともなりました。
 第5回は「R32 Reichskunstwart mit Entwürfen zu einer neuen Reichsflagge 1928」ファイルを紹介し、1919年以降、様々な新しい国旗案が構想されていたことが解説されています。

 ヴァイマル共和国と国旗の歴史に関心がある人にはおススメです。

 リンク先はこちらです。

 

第6回 最初の女性閣僚へのエリーザベト・シュヴァルツハウプトの指名

 この回は男女同権の歴史の一コマです。

 1961年11月、キリスト教民主同盟(CDU)女性問題担当が当時の首相アーデナウアーへ女性の連邦大臣が絶対必要であると訴えた史料を、文書館員が解説しています。

 紹介された文書は、最初の女性閣僚にエリーザベト・シュヴァルツハウプトが就く契機になったとのことです。講義やゼミでよく女性の権利向上のきっかけは何かと質問されます。そのときに紹介しようと思います。

 リンク先はこちらです。

 ドイツ連邦文書館では、エリーザベト・シュヴァルツハウプト氏についてのオンライン展示のページもあります。1961-66年に連邦保健相を務め、生涯にわたって男女同権を目指したとのことです。

 また、動画では、CDU女性問題担当者が1961年11月9日に訴えていたことが指摘されています。11月9日といえば、20世紀ドイツの歴史の「運命の日」です。ドイツ現代史における11月9日については、バーデン=ヴュルテンブルク州政治教育センターのサイトの解説をどうぞ。

 

*1:2020年5月19日から6月1日にかけてTwitter「あさだしんじ」でツイートした内容を改めたものです。