浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ民主共和国と移民史――ウェブサイト「国家市民学」より

 "Staatsbürgerkunde”というウェブサイトを知りました。ドイツ民主共和国、つまり東ドイツでの日常生活を、いわゆる「オスタルギー(東ドイツ時代への郷愁)」なしに振り返るインタビュー記録がアップされています。*1

 

 

 2020年6月11日、このサイトに東ドイツ時代、そして東西ドイツ統一後を経て暮らすベトナム出身の2人の女性のインタビューがアップされました。

 

 

 1980年にベトナムから東ドイツへ最初の契約労働者がやってきました。研修と「ドイツ民主共和国を学ぶ」ことが目的でしたが、多くは低賃金の簡単な仕事に就き、4年後にはベトナムへ帰らざるをえませんでした。しかし、多くはベトナム戦争後に機会を求めて希望を胸に抱いて、東ドイツにやってきたとのことです。

 2人のうち、1人はベルリンで経済情報学を学び、一度ベトナムに帰国し、その後契約労働者として東ドイツに戻り、そのまま暮らし続けました。

 1989年・90年の東西ドイツ統一を経て、1990年代は人種差別的な風潮がドイツで強まりました。かつてのベトナム人同僚が憎悪と敵対の標的になったといいます。2人目の女性はロストックでの経験を語ります。

 このインタビュー記録のタイトルが「契約に従って――協力・敵対・賛同して」とあるように、東ドイツに暮らしたベトナム人女性の多面性が窺われます。

 

*1:2020年6月12日Twitter「あさだしんじ」からツイートした内容を改めたものです。