浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ドイツ民主共和国における元モザンビーク出身契約労働者への補償を求める公開書簡について

 2021年4月13日、ドイツの歴史系ウェブサイトに、ドイツ民主共和国時代に二国間協定によって就労したモザンビーク出身契約労働者に対する補償支払いを、ドイツ連邦政府に求める公開書簡が掲載されました。2つのサイトを見つけましたので、それぞれリンクを貼っておきます。

 

 

 この公開書簡の冒頭部分を要約しましょう。

 1979年から1989年にかけてドイツ民主共和国、すなわち東ドイツに1万7000人以上のモザンビーク出身の「契約労働者」が滞在しました。これは東ドイツモザンビークの政府間協定によるもので、「社会主義的経営」での有期雇用でした。しかし、1989年の「ベルリンの壁」の崩壊、そして東西ドイツ統一とともに、このモザンビークの人たちの多くはドイツに滞在できなくなりました。

 これらの人たちは職場と住まいを失い、また人種主義と闘わなければならなかったといいます。多くの事業者、かつての同僚、隣人はこのモザンビークの人たちをできるかぎり早くドイツから追い出そうとし、モザンビークへの帰国が余儀なくされました。

 帰国したモザンビークは内戦で荒廃しており、また自分たちが東ドイツで稼いで個人口座に振り込まれていたはずのお金も見当たりませんでした。その金はドイツ民主共和国に残され、モザンビーク政府の負債に繰り入れられ、清算されてしまったとのことです。

 それ以来、30年以上もこのドイツから帰国した人たち――マッド・ジャーマンズ(Madgermanes)と呼ばれる――は支払われなかった賃金とモザンビークでの差別に対して闘っているといいます。2019年にマグデブルク覚書(Magdeburger Memorandum)がこの件に関わる倫理的・政治的・法的諸問題の解決を要求したそうですが、いまだに解決にいたっていないとのことです。

 この公開書簡は研究者によるもので、クリスティーネ・バルトリッツ氏(ポツダム現代史研究ライプニッツ・センター)とイザベル・エンツェンバッハ氏(ベルリン工科大学反セム主義研究センター)の2名が問い合わせ先になっています。ここでは、ドイツ政府に対する、いち早い、そして官僚主義的ではない形での補償金支払いが要求されています。

 

 この公開書簡が掲載されたウェブページには、関連する色々な情報へのリンクも貼られています。

 

 「マッドジャーマンズ」については、関連するコミックの日本語訳が2017年に発売されています。

 

 

 アジア経済研究所の網中昭世さんが書評されています。リンクを貼っておきます。

 

 

【2022年1月21日追記】

 2021年11月18日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、関連するインタビュー記事が掲載されました。