2020年9月のことですが、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに「移民の長征――戦後ドイツにおける移民自己組織化の開始」というタイトルの冊子PDFがアップされました。
紹介ページへのリンクはこちらです。
こちらでは、ドイツ連邦共和国の多文化的な現在にもかかわらず、多くの市民がいまでも文化的な同質性を思い浮かべてしまっている状況を批判しています。そのうえで、戦後東西ドイツの外国人労働者の受け入れの歴史を簡単に振り返っています。
ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトでは、越境的な人の移動とそれとの社会の向き合い方に関する取り組みを紹介する論説が数多くありますが、この冊子もその一つでしょう。とくに、分断ドイツを統合的に議論するアプローチが目を引きます。
序論も含めて、あわせて8本の論説が掲載されています。 イタリア、トルコ、クルド、ギリシア、ポルトガル、東ドイツ、南北問題、アフリカ系といった興味深い事例が並んでいます。小冊子へのリンクはこちらからどうぞ。
- Albert Scharenberg, Einleitung: Der lange Marsch der Migration
- Edith Pichler, Don Camillo und Peppone nördlich der Alpen: Italienische Institutionen und Vereine in Deutschland nach 1945
- Murat Çakır, Eine deutsch-deutsch-türkische Geschichte
- Ayten Kaplan und Elisabeth Kenan, Im Zangengriff der Repression: Kurdische Selbstorganisation in Deutschland
- Johanna Panagiotou, Griechische Anfänge
- Nélson Pereira Pinto und Manuel Campos, Portugiesische Vereine und die Rolle der Gewerkschaften
- Patrice G. Poutrus, Von der Planwirtschaft in die ethnische Ökonomie: Vertragsarbeiter in der DDR und Ostdeutschland
- Angelika Nguye, Nord oder Süd, Ost oder West: Die beiden vietnamesischen Communities im Nachkriegsdeutschland
- Katharina Oguntoye, Kampf dem Rassismus: Die Selbstorganisierung Schwarzer Menschen in Deutschland
- Autorinnen und Autoren
【2021年5月13日追記】
2021年は西ドイツとトルコの間に締結された最初の労働移民がやってきてから60年になるそうです。その節目の年を記念して、ローザ・ルクセンブルク財団ヘッセン支部の Murat Çakır 氏による
【2023年1月19日追記】
2022年11月10日、「ミュンヒェン=ヴェローナ共通の歴史を探して」のシリーズで、ドイツへのイタリア人労働移民について著書(Italienre in Hamburg: Migration, Arbeit und Alltagsleben vom Kaiserreich bis zur Gegenwart, Peter Lang 2004)をもつエリア・モランディさんへのインタビューが公開されました。リンクを貼っておきます。