浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

「学問の自由に関する声明」(2021年2月12日)――欧州ホロコースト研究基盤より

 欧州ホロコースト研究基盤(European Holocaust Research Infrastructure, EHRI)のウェブサイト*1に、「学問の自由(Academic Freedom)」に関する声明が公表されました。リンク先はこちらになります。

 

 

 2月9日にポーランドの裁判所で、二人のホロコースト研究者が共同で編集した2巻本、Barbara Engelking and Jan Grabowski eds., Night Without End: The Fate of Jews in Selected Counties of Occupied Poland (2018) による名誉棄損を訴えた原告を支持し、二人の著者に対して原告に謝罪を表明する判決を下しました。同書はワルシャワにあるポーランドホロコースト研究センター(Polish Center for Holocaust Research in Warsaw)によって出版されたものです。

 この判決に対して、欧州ホロコースト研究基盤の声明の趣旨は、ポーランドそのほかでのホロコースト研究における「学問の自由」を支えるように訴えるものです。

 声明では、研究者は「有罪/無罪および英雄的行為/裏切りのような二元論的な区分では簡単に包摂されえない歴史についての資料を批判的に読み、脈絡のもとに置き、分析する」ものであり、そして「そのような状況を実際に理解するために、歴史家およびそのほかの研究者は科学的調査の自由と人間の行為の多面的な性質と両義性を表出させ、そして討論するための自由を要求する」と述べています。

 この判決については、英語圏を中心に多くのメディアが報道していました。編者の一人がカナダのオタワ大学で歴史学を教えています。ここでは、カナダ放送協会のウェブサイトの記事のリンクを貼っておきます。