浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

「抗議と民主主義」――ボンの歴史館YouTube動画の紹介

 ボンにあるドイツ連邦共和国歴史館(Haus der Geschichte der Bundesrepublik Deutschland)のYouTubeチャンネルに「抗議と民主主義(Protest und Demokratie)」と題された短い動画(2分32秒)がアップされました。2020年12月1日のことです。

 

 

 この動画では1962年のシュピーゲル事件を紹介し、その事件に対する社会の反応から、1960年代を通じてドイツ連邦共和国の社会に、「報道の自由」とデモがいかに民主主義にとって重要な価値をもつかが理解されるようになったと説明しています。

 

 ここではシュピーゲル事件について、次のように解説されています。

 1962年、シュピーゲル誌が掲載したドイツ連邦軍の防衛構想を批判した記事に対して、当時の連邦国防省は国家機密の漏洩と国家反逆罪にあたると判断しました。シュピーゲル誌のハンブルク事務所が差し押さられ、編集長も逮捕され、家宅捜索が行われました。また、編集者も未決勾留の対象となり、さらにスペインに休暇中だった記事を執筆した記者がスペイン警察に逮捕されました。

 この事件に対する世論の批判の高まりに始まり、1960年代は抗議の10年に、そして抗議デモは市民社会の民主主義的な手段となったと評しています。

 

 戦後史は専門ではないのですが、動画に字幕がついていて、ドイツ語のよい教材になると思います。