浅田進史研究室／歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ローザ・ルクセンブルク財団によるドイツ右翼・ファシスト歴史政策分析――「プロイセン」と「ジェンダー秩序」をテーマに

ドイツ史｜植民地主義 研究ノート 現代社会・経済

　2021年6月、「現在の昨日――今日における右翼の歴史政策」と題する小冊子が、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトにオンライン刊行されました。「討論グループ『歴史』（Gesprächskreis «Geschichte»）」の編集グループが作成したものです。

 

 

　その紹介リード文では、ここ数年、右翼の暴力と暴力的で人種主義的な言葉が国家と社会の権威的な形成をますます伴走するようになったと現状分析が語られています。そのうえで、左翼の立場から意識的に右翼の歴史・歴史政策像を捉える必要を訴えています。とくに、ドイツ右翼の歴史像に重要な役割を果たしている「プロイセン」と「ジェンダー秩序」をテーマに扱うと述べられています。

 

　5本の短い論説が掲載されており、個人的には「愛国主義者とポップシンガー」を扱う序章、「プロイセン、ドイツ帝国、植民地主義、右翼」と題された第2章とジェンダーとセクシュアリティを取り上げた第3章が気になります。

　

Anke Hoffstadt und Michael Sturm, Einleitung: Geschichte für Patrioten und Volksliedsänger. Historische Bezüge und Geschichtspolitik in den Strategien des völkisch-autoritären Populismus


Yves Müller, Preußen, das Kaiserreich, der Kolonialismus und die Rechten: Sehnsuchtsorte des deutschen Nationalismus


Sebastian Bischoff und Anna Schiff, (Niemals) Zurück in die 1950er Jahre: Gender und Sexualität in rechter Geschichtspolitik


Das Prinzip Hoffnung: «Was tun mit der Geschichte?» Ein Austausch über linke Geschichtspolitik mit dem AK Loukanikos


Wider den Strich: Linke Geschichtsschreibung gegen nationalistische Indienstnahme

 

　このほか3本のインタビュー動画へのリンクがアップされています。