2021年9月、ローザ・ルクセンブルク財団のウェブサイトに、国際的な左翼運動のなかのユダヤ系の人びとに焦点をあてた論文集がオンライン公開されました。そのリンク先のある紹介記事はこちらです。
この紹介文では、19世紀から20世紀前半にかけて、人口比を考慮すれば、西ヨーロッパ・東ヨーロッパだけではなく、米国、カナダ、南アフリカでも革命・改革運動のなかでのユダヤ系の人びとの存在は際立つものであったと指摘されています。しかし、ユダヤ系の出自は、たいていそれらの人びとにはあまり意味をなさなかったとも述べられています。むしろ、社会主義者・共産主義者として、自らを「世界市民」・国際主義者と理解し、経済的・政治的・精神的な解放のために行動したといいます。
現在、「左翼」と「ユダヤ」を結びつけることは、左翼から、一方では、反ユダヤ主義批判、他方では反シオニズム・イスラエル批判という論争に突き当たってしまいます。そして、1970年頃にユダヤであることと労働者運動の同盟が終わりを告げたと指摘されています。こうした現状に対して、改めて歴史を振り返ろうとする論文集です。
本論集についての編者・執筆者間の討論が YouTube 上にアップされています。
以下、本論集の目次を転載します。
- Die Linke, Jüdinnen und Juden und die «jüdische Frage»
Eine Einführung- Gertrud Pickhan: National-kulturelle Autonomie, Jiddischkeit und Internationalismus
- Der Allgemeine Jüdische Arbeiterbund «Bund» im östlichen Europa
- Angelika Timm: Wider den Strom! Die zionistische Linke: europäische Wurzeln und israelische Gegenwart
- Dana Mills: Rosa Luxemburg. Die Frau, die im Herzen der Revolution gelebt hat
- Hanno Plass: Jüdische Erfahrungen, universelle Antworten. Linke Jüdinnen und Juden in Südafrika
- Florian Weis: Ein sozialistisches Neues Jerusalem? Jüdinnen und Juden in der britischen Arbeiterbewegung
- Axel Fair-Schulz: Jürgen Kuczynski und die jüdische Moderne. Ein deutsch-jüdischer Kommunist und Wissenschaftler in verschiedenen Epochen
- John S. Will: Jakob Moneta – jüdischer Internationalist und sozialistischer Gewerkschafter. Ein Leben im «kurzen 20. Jahrhundert»
- Mario Keßler: Theodor Bergmann (1916–2017). Ein jüdischer Ketzer im Kommunismus
- Zarin Aschrafi: Deutsch-jüdische Scheidungen. Das Wirken linker Jüdinnen und Juden aus Frankfurt am Main in den 1970er und 1980er Jahre
【2021年11月26日追記】
2021年10月29日、このテーマと関連する論説が、ドイツ連邦政治教育センター（bpb: Bundeszentrale für politische Bildung）のウェブサイトに掲載されました。リンクはこちらです。
また、2021年11月12日、同じく左派系メディアであるnd紙オンライン版でも、関連するテーマの論説が掲載されました。
【2022年2月16日追記】
こちらの論説も関係するものです。 Geschichte der Gegenwart （現在の歴史）というオンライン雑誌にアップされました。「国民的インターナショナリズムか――国民と階級のはざまのユダヤ労働者同盟」というタイトルです。
