2022年3月3日に、ドイツ労働史協会(German Labor History Association)の会員総会が開催され、そこで2022年同会博士論文賞が授与されました。出版された受賞作はこちらです。
同協会による受賞作の紹介はこちらをどうぞ。
出版社の紹介文を要約します。
1950年代から1970年代にかけて、イタリア南部から高度成長の波に乗っていた北イタリア諸都市とドイツ連邦共和国へ数百万人が職を求めて移動しました。イタリア国内では、労働移民がぜい弱な国民化のために南北の異なる社会的・文化的境界を横断した一方で、1955年のドイツ・イタリア間の労働者募集に関する条約と1961年からのヨーロッパ経済共同体内での移動の自由の導入によって越境が容易になったといいます。そのうえで、イタリアとドイツの工業都市であるトリノとミュンヒェンでの移民を比較しようという研究です。
本書のタイトルは、ちょっと訳しにくいですが、要は、労働移民にとっての「よそのイタリア」であるトリノを Fremde Heimat と、そして普通に外国の都市である「よその遠方」であるミュンヒェンを fremde Ferne と表現しているのでしょう。
著者は、1979年生まれで、ベルリン自由大学で提出された博士論文です。ほかにも、ウィーン労働者協会(Arbeiterkammer Wien)の移民協会のアントニオ・グラムシ賞と2020年の都市史・都市化研究会(Gesellschaft für Stadtgeschichte und Urbanisierungsforschung)の博士論文賞を受賞しているとのことです。
【2022年12月22日追記】
GHLAの博士論文賞、名称がトーマス・ヴェルスコップ博士論文賞になりましたが、その受賞に際してのシュテファン・ベルガーさんによる紹介と受賞者のシュパーシューさんによるテクストがPDFで公開されました(オープンアクセスへのリンクはこちら)。