浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

フランクフルト社会研究所創設100周年に寄せたフランクフルト学派を振り返る記事

 2023年3月30日、ドイツの左派系ジャーナル『ジャコバン』(Jacobin)誌に「階級闘争から文明批判へ(Vom Klassenkampf zur Zivilisationskritik)」という記事が掲載されました。こちらは、フランクフルト・アム・マインにあるフランクフルト社会研究所(Institut für Sozialforschung in Frankfurt am Main)が1923年に創設されて100年目にあたることを記念して、「フランクフルト学派」を批判的に振り返るものです。

 

 

 リード文では、かつてフランクフルト学派は、マルクス主義を刷新しながらも、その代表的思想家のうち何人かは資本主義の擁護者となったと指摘します。そのうえで、その理論の批判的主張は、マルクス主義とのみ取り戻すことができると述べています。

 冒頭の段落では、1923年に創設されたフランクフルト社会研究所において、フランクフルト学派として知られる批判的理論の基盤が築かれたといいます。そして、それは今日まで――良かれ悪しかれ――ドイツ連邦共和国の左派の自己理解となっていると指摘されています。その初期の代表的人物として、マックス・ホルクハイマー、テオドーア・W・アドルノ、ヘルベルト・マルクーゼが挙げられています。

 

 戦後西ドイツの左派系の思想を、さらに左派の視点から批判的に回顧した論説といえるでしょう。