浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

いかにナチ富豪が戦後ドイツでさらに豊かになったのか――Jacobin誌より

 だいぶ前になりましたが、2023年1月10日、ドイツの左派系メディア、Jacobin誌に「どのようにナチ億万長者が戦後ドイツでさらに豊かになったのか」という記事が掲載されました。

 

 

 これは2022年に出版され、ベストセラーになった米国のジャーナリスト、デイヴィッド・デ・ヨングさんの『ナチ億万長者』のドイツ語訳出版を機に行われたインタビューです。

 

 著者のウェブサイトはこちらで、英語版へのリンクが貼られています。ドイツ語版の出版社サイトへのリンクを以下に貼っておきます。

 

 

 Jacobin誌の記事のリード文では、最大手のドイツ名門企業の多くがナチ期に途方もなく富を増したが、なぜそれらは非ナチ化から無害のままで、さらに豊かになったのか、と問いかけています。

 冒頭では、2019年にドイツの大衆紙ビルドで、投資会社JABホールディングスという家族企業の創設者アルベルト・ライマンが確信的ナチであり、第二次大戦期に彼の会社で強制労働者を性的に虐待し、拷問し、辱めた過去を暴露した出来事が紹介されています。ライマン家は330億ユーロの資産を所有すると推計されており、同家はその暗い過去に向き合い、数百万ユーロを宗教的・国民的少数者を支援し、戦時捕虜となり祖父の会社で働かざるをえなかった人びとの家族を探す共益団体に寄付することを決めたとのことです。