2023年4月21日、ドイツ語圏の左派系メディア nd 紙に、「マルクス=エンゲルス著作集――責任のない読み物ではない」という趣旨のインタビュー記事が掲載されました。インタビューに答えている人は、マルクス=エンゲルス著作集(MEW)を改訂しているカール・ディーツ出版社(ベルリン)のインゴ・シュッツレさんです。
最初に、質問者は、2023年3月末に、マルクス=エンゲルス全集(MEW)第21巻の改訂新版が刊行されたことが指摘され、そのうえで、なぜ今日もなおこの巻が読まれるべきなのかと問います。
シュッツレさんは、この巻には、1883年3月にマルクスが亡くなった後に出版されたテクストが含まれていると説明します。そのうえで、エンゲルスがこの時期にマルクスの遺稿と彼ら共通の政治的・ジャーナリズム的な遺産を委託されていたといいます。そして、この巻から、エンゲルスがどのようにこの遺産を受け継ぎ、そこから何を作り上げたかを跡付けることができると指摘します。第21巻には、『家族・私有財産・国家の起源』と『ルートヴィヒ・フォイエルバッハとドイツ古典哲学の終結』が含まれ、それらはマルクスの死後に形成された史的唯物論の参照文献となったと語ります。
その後、インタビューでは、次のような質問と回答が続きます。
- この場合の「改訂」は何を意味しているのか
- 注釈はイデオロギー的に脚色されていたのか
- どこに改訂作業の最大の挑戦があったのか
- 新しい知見はあったのか
- MEGA2との関係は何か
- 近年のマルクス研究のどれがとくに重要だと考えているか
- MEWのなかでどの巻の改訂版が続くのか
- 資本論の巻と並んで、どの本がもっとも問い合わせが多いのか
- MEWのデジタル化は計画されているか
- 2018円には完全に新しいMEWの第44巻が出版されたが、さらに完全に新しい巻はありうるか
- 第45巻にわれわれは何を期待できるか
こういう出版の裏話は面白いですね。