浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ハンペル夫妻と「普通の」人びとのナチ体制への抵抗――ドイツ連邦文書館バーチャル展示より

 今回は、ドイツ連邦文書館ホームページに掲載されている「ハンペル夫妻とナチ体制に対する『普通の』人びとの抵抗」というタイトルのヴァーチャル展示を紹介します。

 

 

 背景説明の最初の部分を紹介します。

 労働者であったハンペル夫妻は、当初、ナチズムに基本的には反感をもっていませんでしたが、妻のエリーゼの兄弟クルト・レンネが対フランスへの行軍で「英雄的死」を迎えたことで、激しく抗議するようになりました。

 ゲスターポの調査によれば、ハンペル夫妻は、1940-42年の間に、200以上の「扇動ビラ」を配ったとのことです。その際、ポストカードとビラに、やや大きめにブロック体で体制転覆を呼びかけました。

 正書法的にはぎごちない筆致ですが、内容的には内的な自由と社会的権利の喪失による人間の権利剥奪、戦争犯罪、そして大量虐殺をはっきりと訴えていました。

 1943年4月8日、二人ともベルリンの処刑場であったプレッツェンゼー刑務所でギロチンによって処刑されました。

 

 このバーチャル展示には、二人が配布したポストカード、ゲスターポの資料、写真など24点が掲載されています。また、同館所蔵史料へのリンクも貼られています。