浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ローザ・ルクセンブルク生誕150周年ということで(2021年10月9日更新)

 

はじめに

 2021年はローザ・ルクセンブルク生誕150周年です*1

 彼女は1871年3月5日に現在のポーランドのザーモシチ(Zamość)で生まれました。ちなみに2019年はローザ・ルクセンブルクが亡くなって100周年でした。

 そのためか、この間、ローザ・ルクセンブルクの伝記・資料集の公刊が相次いでいます。

 日本でも姫岡とし子さんが伝記を著しましたね。

 

 

 同書では、対比するようにクラーラ・ツェトキンについても言及され、ローザ・ルクセンブルクの立ち位置がより理解しやすく工夫されています。とても参考になりました。日本語でこういった本が読めることはありがたいです。 

 この間、ローザ・ルクセンブルク財団のSNSでも、関連書籍・論説などの情報が随時発信されていました。

 気づいたものを紹介しておきます。

 

英語とドイツ語での伝記

 

Dana Mills, Rosa Luxemburg (2020)

 まずは英語での伝記から。

 

 

 マンスリー・レビューでの著者インタビューはこちら。

 

 

 この著者による関連論説はこちら。

 

 

Ehmsen / Scharenberg (eds.) Rosa Remix (2016)

 ローザ・ルクセンブルク財団ニューヨーク事務局から出版されました。こちらは150周年ということではないですが、ここに加えておきます。その生涯・理論、さらに現代的意義について様々な角度から論じられています。

 

 

Jacob/Scharenburg/Schütrump (Hg.) Rosa Luxemburg (2021)

 ドイツ語での2巻本。

 

 無料ダウンロードはこちら。

 

 

Brie/Schütrumpf, Rosa Luxemburg (2021)

 こちらもドイツ語での伝記。解説と無料ダウンロードへのリンクはこちら。

 

 

Jacob, Rosa Luxemburg (2021)

 80頁の短いドイツ語での伝記。

 

ドイツ語資料集

 ユダヤ系であったローザ・ルクセンブルクの家族に焦点をあてたドイツ語資料集がこちら。

 

 

 同書の書評はこちら。

 

カウツキー夫妻の往復書簡

 カール・カウツキーとルイーゼ・カウツキーの間の往復書簡のなかで語られたローザ・ルクセンブルク評についてのローザ・ルクセンブルク財団研究報告はこちら(PDF版の無料ダウンロードのリンクあり)。

 

 

 ちなみに、2020年12月19日付でJacobin誌のウェブサイトでルイーゼ・カウツキーの生涯についての論説が掲載されています。

 

 

ドイツ連邦文書館所蔵ローザ・ルクセンブルク関連史料

 ドイツ連邦文書館に所蔵される以前の経緯も含めた、ローザ・ルクセンブルク関連史料についての詳細な解説が付いています。

 

 

ドイツ革命時のローザ・ルクセンブルク関連年表

 同じくローザ・ルクセンブルク財団がまとめたドイツ革命時のローザ・ルクセンブルク関連の年表(PDF版の無料ダウンロードのリンクあり)。

 

ブログ

 ローザ・ルクセンブルクについてのブログです。

 

ローザ・ルクセンブルク財団による生誕150周年特集まとめサイト

 ローザ・ルクセンブルク生誕150周年を機に、世界各地のローザ・ルクセンブルク財団の各事務局ウェブサイトで公開されたローザ・ルクセンブルク関連の解説記事・シンポジウム記録など多数のプロジェクトがまとめられています。2021年3月4-5日に開催されたシンポジウム記録も含まれています。

 

 

 こちらは、生誕150周年を記念したポツダムでの展覧会 Rosa Luxemburg - ein Leben für die sozialistische Idee(ローザ・ルクセンブルク――社会主義思想のための生涯)および関連催しのリンク集 Rosa 150 です。

 

Deutschlandfunk Nova の生誕150周年記念講演ウェブ放送

 

ローザ・ルクセンブルク「大衆ストライキ、党および労働組合」についての解説動画

 2021年5月1日、つまりメーデーに合わせて公開された、ローザ・ルクセンブルク財団フローリアン・ヴィルデ氏によるYouTube解説動画(12分59秒)です。

 

 

ベルリンでのローザ・ルクセンブルクの足跡をたどる伝記的都市案内

 生誕150周年を機に、ローザ・ルクセンブルク財団の依頼で写真家ファルク・ヴァイスがベルリンでのローザ・ルクセンブルクの足跡を撮影しました。それをウェブ上の地図と組み合わせたものです。とても良くできています。ベルリンを訪れたら、こちらを参考に散策したいです。*2

 

 

 ディーツ出版社による伝記と都市案内を組み合わせた一冊。面白いですね。136頁です。

 

 

 tip Berlin というベルリン案内ウェブサイトでも、生誕150周年を記念して、ベルリンを含めたヨーロッパの12の場所からローザ・ルクセンブルクの生涯をたどる記事が掲載されています。

 

 

1919年1月15日のローザ・ルクセンブルクの足跡をたどる音声ガイド

 ローザ・ルクセンブルクが殺害された1919年1月15日の足跡を解説するページと3本の音声ガイドへのリンクはこちら。

 

 

 彼女の最後の避難先であったヴィルマースドルフからホテル・エーデンでの聴取へ、そして射殺されたブダペシュト通り沿いからティーガルテンにあるラントヴェーア運河にある記念碑までをたどります。

 

ローザ・ルクセンブルクの思想を解説するYouTube動画

 Paul Mason氏によるドキュメンタリー動画シリーズです。第1回は「改革か革命か」です。

 

 

 第2回はこちら。「帝国主義と戦争」です。

 

 

 第3回はこちら。「ベルリンで秩序が支配する」です。

 

 

 第4回はこちら。「今日のローザ・ルクセンブルク」です。

 

 

キャスリーン・チャルファントによるローザ・ルクセンブルクの手紙の朗読(YouTube動画、2012年)

 

 2012年11月、ローザ・ルクセンブルク財団ニューヨーク事務局開設記念の催しで、俳優キャスリーン・チャルファントさんが10通のローザ・ルクセンブルクの手紙を朗読しました。そのYouTube動画です。

 

 

 手紙の出典は上記のYouTube動画の説明欄をご覧ください。

 

スイス時代のローザ・ルクセンブルク

 2021年4月30日、ローザ・ルクセンブルク財団ジュネーブ事務所のホームページで、スイス時代のローザ・ルクセンブルクについての解説およびラファエル・ハーブによって編集された動画が公開されました。リンク先はこちら。

 

 

ウクライナにおけるローザ・ルクセンブルク

 2021年2月、ローザ・ルクセンブルク財団が編集したオンライン冊子『ソヴィエト・ウクライナにおけるローザ・ルクセンブルク――記憶・翻訳・受容』が公刊されました。リンク先はこちらです。

 

 

ラテンアメリカでの反響

 「ローザ・ルクセンブルク生誕150周年がラテンアメリカよりも熱狂的に祝賀されたところはなかった」との書き出しから始まるアルゼンチン発のウェブ記事です。

 

 

人種的資本主義批判とローザ・ルクセンブルク

 ブラック・ライヴズ・マター運動で注目されている人種的資本主義論ですが、ローザ・ルクセンブルクの思想がこのテーマの理解に手助けになるかを分析する論考です。

 

ナチによる焚書と『資本蓄積論』

 1933年5月10日、ベルリンでローザ・ルクセンブルクのあらゆる著作が焚書になった一方で、ボンではナチは個々の著作から『資本蓄積論』を選別的に焚書の対象にしました。プロパガンダ的なものではなく、学術的な本であった彼女の同書がなぜ焚書の対象になったのか。この問いに応えようとする論説です。

Rosa Kanal

 ローザ・ルクセンブルクについてのYouTubeチャンネル。かなり前衛的で、好みは分かれると思います。

 

 

 

*1:2021年4月19日、見出しをつけ、一部加筆しました。

*2:2021年6月7日追記。