浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

ベルリンにおける植民地主義の検証――教育ポータル「歴史から学ぶ」より

 「歴史から学ぶ」(Lernen aus der Geschichte, LaG)という教育ポータルがあります。

 そのポータルはオンライン雑誌を発行しており、その2020年4月号(LaG-MAGAZIN, 04/20)は「ベルリンにおける植民地主義の検証(Aufarbeitung von Kolonialismus in Berlin)」です。リンク先はこちらになります。*1

 ベルリンは1884年11月15日から翌年2月26日にまで開催された「アフリカ分割」で悪名高いベルリン会議(ベルリン・コンゴ会議)の舞台となった都市です。ドイツの歴史学界でも、2000年代に入り、ポストコロニアリズムに触発された研究潮流が現れていますが、それは歴史教育、あるいは社会運動に広がっています。

 ドイツ連邦政治教育センターのウェブサイトでも、"Kolonialismus"と検索すると多くの論説がヒットします。こちらについてはまた後日、整理するつもりです。

 今回紹介する「歴史から学ぶ」の取り組みも、こうした流れを受けたものといえるでしょう。

 構成は以下の通りです。

1)討論用教材

  • Berliner Erinnerungslandschaft, postkolonial [ベルリン記憶景観・ポストコロニアル](Reinhart Kößler)
  • Berlin dekolonisieren [ベルリンを脱植民地化する](Joachim Zeller)
  • Das Humboldt-Forum im Berliner Schloss: Ein Symbol des Fortwährens kolonialer und absolutistischer Herrschaft [ベルリン王宮フンボルト・フォーラム――植民地・絶対主義支配の継続の象徴](Ingolf Seidel)

2)推薦専門書

  • Kolonialismus-Debatte (2019)
  • Black Berlin (2014)

3)推薦教材

  • Neuengammer Studienhefte. Verflechtungen. Koloniales und rassistisches Denken und Handeln im Nationalsozialismus

4)推薦ウェブサイト

  • Stadt neu lesen[同サイトの解説、リンクあり]
  • Lern- und Erinnerungsort Afrikanisches Viertel[同上]
  • Berlin Postkolonial[同上]

 わたしもとても参考になります。

*1:2020年5月25日Twitter「あさだしんじ」のツイート内容を加筆・修正したものです。2020年7月20日、一部語句・訳語追記。