浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

「署名のない手紙」――BBCラジオのなかのドイツ民主共和国史

 今日は「署名のない手紙」という博物館展示についてです。ローザ・ルクセンブルク財団からの情報で知りました。すでに色々な方が紹介していますが、こちらでも情報提供します。*1

 

 ベルリン情報通信博物館(Die Ausstellung im Museum für Kommunikation Berlin)が、”Briefe ohne Unterschrift. DDR-Geschichte(n) auf BBC Radio(署名のない手紙――BBCラジオ放送上の[複数の]ドイツ民主共和国史)"。という展覧会を開催しています(2021年1月10日まで会期延長とのこと)。

 

 1949年から1974年にかけてイギリスのBBCラジオは、”Programm für Ostdeutschland(東ドイツ向け番組)"という番組で、東ドイツのリスナーに手紙を募集しました。匿名で書かれた手紙がベルリンの西側地区を経由してロンドンに届いたそうです。東ドイツの日常を映し出す貴重な史料であり、BBCアーカイブに4万点の手紙が所蔵されています。

 

 この展示は、展示と同じタイトルの以下の書籍を基にしたものです。

Susanne Schädlich, Briefe ohne Unterschrift: Wie eine BBC-Sendung die DDR herausforderte, München: Albrecht Knaus Verlag, 2017

 

 展示を解説したウェブサイトの充実ぶりが凄いです。

 写真と解説はもちろん、音声記録、元になった本の著者ズザンネ・シェードリヒさんへのインタビュー(Youtube動画)、当事者の証言インタビュー(「プラハの春」をきっかけに投稿を決断し、投稿後18歳の誕生日直後に逮捕・2年の禁固刑を経験したカール=ハインツ・ボルヒャルトさんほか)にくわえ、さらにキュレーターのカタリーナ・シュリンガーさんの10分間の展示紹介動画がアップされています。

 展示についてのリンクはこちらからどうぞ。リンク先下の「Zum Expotizer」をクリックしてください。

 

【2021年11月20日追記】

 ドイツ連邦文書館・シュタージ文書館(Stasi-Unterlagen-Archiv)のウェブサイトに、このテーマについてスザンネ・シェードリヒさんが解説するポッドキャストがアップされました。リンク先はこちらです。

 

 

*1:2020年5月28日Twitter「あさだしんじ」のツイートを改めたものです。