浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

1920年「東方諸民族大会」から100周年――ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイト記事より

 2020年8月28日、ローザ・ルクセンブルク財団ウェブサイトに、100年前に開催された「東方諸民族会議」を記念する論説が掲載されました。

 

 

 「エンパワーメントのための7日間――100年前にバクーで開催された反植民地的『東方諸民族大会』」というタイトルです。論説のトップには、約1900名にものぼった参加者のために演奏された「東方オーケストラ(Eastern Orchestra)」の写真が掲載されています。

 

 1920年6月15日、コミンテルンの執行委員会は植民地支配の抑圧の下にあったアジア・アフリカ地域の民衆にバクーへ代表者を派遣するように呼びかけました。ボルシェヴィキが占領したばかりのバクーでは、内戦の影響で開催がいくぶん遅れたことが紹介されています。

 1920年9月1日に開催されたこの会議には、約2000名の代表者、そのうち55名の女性がいたとのことです。参加者リストは、国ごとではなく、民族ごとに区分され、トルコ人235名、ペルシャ人192名、アルメニア人157名、ロシア人104名、グルジア人100名、チェチェン人82名が記載されたほか、ユダヤ系、インド人、ポーランド人、ドイツ人、ハンガリー人、カルムイク人朝鮮人、アラブ人も参加したとあります。この論説には記載されていませんが、日本からも参加者がいたはずです。

 

 この大会ではもちろん農業問題などの重要なテーマも議論されましたが、この論説では宗教問題と革命路線の対立軸について紹介されています。

 

 さらに、他者を抑圧するものは自らも解放されえないというエンゲルスの見解を引きつつ、女性に対する抑圧の問題が大会最終日で取り上げられたことが指摘されています。ここでは、トルコから参加したNaciye Sumanの発言――「どの共同体でもその半数を構成する女性が男性と対立し、男性との同権を持たないのであれば、その社会が前進できないことは明らかである」など――やソ連邦中央アジアから参加したBibnurという女性の男女同権を求める発言が引用されています。

 

 著者によるさらなる詳細な論説は、以下のリンク先よりどうぞ。