研究メモです。
以前に、マイケル・ロスバーグさんの『多方向的記憶』について紹介しました。
2022年7月4日、ローザ・ルクセンブルク財団のホームページに、「植民地化、占領と和解」と題した、そのロスバーグさんへのインタビュー記事が掲載されました。
ここでは、まず、インタビュアーが、『多方向的記憶』で、ドイツについて、ホロコースト、ドイツの植民地犯罪、そして人種主義の関連性を問題にしているものの、アルジェリア独立闘争のピークにあたる、1961年10月17日の出来事については、ほとんどそのような関連性についての言及が見当たらないと指摘しています。
この1961年10月17日の出来事について、この記事では次のように説明しています。
パリで3万人のアルジェリア出身のFLN(民族解放戦線)支持者が「アルジェリア出身のフランス人イスラーム教徒」に課された外出禁止令に対する抗議デモを行いました。この外出禁止を呼びかけた、パリ警視総監モーリス・パポンは、ナチ・ドイツに協力したヴィシー政権下で、ジロンド県に住んでいたユダヤ系住民の強制移送に責任がある人物でした。
このように前置きしたうえで、この論説では、アルジェリア独立闘争を事例に、脱植民地化、1961年10月17日、ホロコーストの関連性について、ロスバーグ氏にコメントを求めるところからインタビューが始まります。
ちなみに、これとは別のテーマですが、2022年6月から9月にかけてカッセルで開催されているドクメンタ15で起きた、いわゆる「反ユダヤ主義スキャンダル」についても、ベルリナー・ツァイトゥング紙で長文のコメントを寄せています。